素晴らしい世界から脱却を

秋霧ゆう

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第5話 初めての戦闘へ②

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 次の日、拓海は1人で自主練習をしていた。
 もう手のひらに火を出すことは完璧にマスターした。

 すると、モンスターが現れた。スライムだ。スライムは踏めば倒せるくらい簡単なモンスターだが、拓海はそれを知らなかった。

「クソっ、今俺が出来るのは火を出すことだけ。どうしろってんだ」

 ジリジリと間合いを詰めるスライム。
 その時、昨日ナナが教えてくれた言葉を思い出した。

『魔法は想像』

 その単語だった。
 拓海は魔法が飛ぶことを知っている。初日に全力疾走をしてる時、火の玉が飛んでるいるのを見ていたのだ。
 あの時はゲームのバグかと思っていたが、昨日ナナから魔法を教えてもらいあの時見たのは魔法だったというこが分かっていた。

「飛べー!!!!」

シーン。

 飛ばなかった。
 静寂が流れ続ける。

「何だ?想像不足か?どうしたら飛ぶ?」

 もう1つ、ナナから言われた言葉を思い出した。

『自分が出してる火は熱くなく、他人には熱いと感じる』

「飛ばすのは無理だ。コンロを逆さまにするイメージで。手のひらから火を出すイメージで」

 鋭意奮闘し、スライムを上からジリジリと火を当てHPを削っていた。
 倒し方を知らない拓海は真剣にやっていたのだが、倒し方を知る周りの者達から、こんなあだ名がつけられていた。

【マッド】【狂気の初心者】

 拓海がスライムと遭遇したところから様子を伺っていたプレイヤー達。最初は初めての戦いだろうから「頑張れ」という気持ちで見ていたのだが、手のひらを逆さにしてジリジリと攻撃し始めた時、ヤバい奴、そういった印象となった。

「お前、何してるんだ?」
「ナナ! 何って、モンスター倒してるんだよ。でも、きついな。MPはどんどん減るし全然倒せねぇ」

 その時、パキンという音が鳴った。
 その音はモンスターを倒したという音だ。

「はぁ。はぁ。やった。やったぞ、ナナ!!」

 嬉しそうな拓海だが、ナナは何も言わず、空を飛び、周りを確認し、拓海を別の場所へと移動させた。
 そこには大量のスライムが居た。

「ゴリラエンジン、こいつらを全て倒せ」
「ナナ! 俺さっきのスライムでヘトヘトなんだけど。こんなの無理だろ」

ダン。

 ナナは思いっきりスライムを踏む潰した。

パキン。

「え?」

 呆然とする拓海。
 ドヤるナナ。

「マ、マ、マ、マジかよー!!!」
「だから言ったろ。お前何してんだ?って」
「なら早く教えろよ! 」
「周りからもすごい目で見られていたぞ」
「だから教えろって」
「Lv0のプレイヤーに教えることは禁止されてるんだぞ。暗黙のルールだ」
「魔法は教えてくれたじゃん」
「教えたらいけないのは戦い方だぞ」

 そう。モンスターへの恐怖心。それにより、BWOをプレイしても大丈夫か判断される。モンスターに怖いという感情を持つ者はストレス悪化の可能性があるためすぐに辞めるべきという判断から教えることは禁止され、逆に倒すことが出来たプレイヤーはこのゲームをプレイすることを推奨される。
 それから初心者の見分け方でいうのなら、プレイヤーの頭には名前が表示されるが、色で判断されている。


モンスターを狩ったことがない初心者は水色
Lv1~Lv20が緑
Lv21~Lv50が黄
Lv51~Lv80が赤
Lv81~Lv90が紫
Lv91~が金
となる。
ちなみにナナは赤で弓月は金である。


 拓海はスライムに勝ったことにより、色が緑に変わった。1匹でも倒すとLvは1になる。

「緑になったな!それじゃ、どんどん教えて行くぞ!」
「おう!」

 魔法を飛ばす練習だ。
 先程、拓海が挑戦したが出来なかった技だ。

「…全然飛ばねぇ」
「お前は想像力が欠けてるんだぞ」
「は?」
「お前はちゃんと考えているのか? どこまで飛ばすか、どう飛ばすか、そういったことも考えなきゃいけないんだぞ」
「そこまで考えんの?」
「当たり前だぞ。私を見とけ。丁寧にやってやるぞ」

 空気の流れが変わった。
 ただならぬ緊張感。

「はぁっ!!」

  手のひらから火が飛び出た。地面を抉るほどの破壊力。
 ナナは得意魔法は風だが、全属性使える数少ない魔法使いである。

「すっげ」
「ここまで出来るようにするぞ!」
「いやいやいや」
「無理とは言わせないぞ」

 その日からナナの魔法講習はいっそう厳しくなったのであった。











 
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