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第8話 日常へ

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 ここ最近毎日BWOをやっていた拓海だが、今日は疲れていた。やる気は起きなかった。
 後輩がやらかしたのだ。
 遡ること5時間前。

「すみませ~ん。先輩」

 この者身長163cm童顔。可愛らしい雰囲気を持つ拓海の後輩、悠木大成。男である。

「あはは、どんまい悠木君、頑張ろ」
「柴田せんぱ~い」
「提出直前にデータ消すなんてバカだな~」
「すすす、すみませ~ん」

 この男、よくやらかす。

「次、同じミスしたらス○バ1杯」
「は、はい。気をつけます」

 ス○バを要求したのは拓海の先輩、柴田の同期、冴木六花。

「冗談よ、冗談。本気にしないで」
「は、はい」
「じゃあ、さっさと終わらせて帰ってゲームしよう!」
「あはは、今イベント中だもんね」
「イベント?」
「そっか!平君は始めたばかりで知らないよね」
「何かあるんですか?」
「うん。3ヶ月に1回で、ギルド別で試合があるの」
「あんたはどの種族なの?」
「人間です」
「あんた、ハードモードだね。よく人間選んだな」
「はは、調べずに始めちゃって」

 そこに割って入る悠木。

「何のゲームなんですか?」
「Beautiful World Onlineっていうゲーム。知ってる?」
「あぁ、あれつまらないですよね。絵は平面だし、動きは基本かくついてるし、何が面白いのか全然分からなかったです」

 全員の動きが止まった。
 あのゲームをつまらないと感じる奴がこの会社に居ることに衝撃を隠せなかった。

「先輩達、あのゲーム楽しいと思うんですか?ちゃんと休まないとダメですよ~」
「お、お前のせいじゃろがい!!」
「六花ちゃん、落ち着いて」
「大成。俺達、帰っていいか?」
「すみません。今のなし。今のなしです!!すぐ終わらせるので手伝ってください!」
「はぁ。じゃあ皆さん、頑張りましょう!」

 そして、家に帰ってきた拓海だが、今日はやる気が起きなかった。
 いつも通りの残業に悠木の煽り。

「今日は早く寝よ」

 そして、眠りについた。
 次の日は日曜日。全員休みの日。

「よっし!今日は朝からやるぞ!!」

 ログインして、まずは久しぶりに町へ行った。ソードが教えてくれたのだ。
 町に入ってすぐの食べ物屋台。めちゃくちゃ美味いと。食べても満腹感は感じないが味を感じることが出来る。
 ゲーム接続してるヘッドホンが脳の波長を感じとって、そう思うのだ。
 ダイエット女子達にも人気で、食べてるのに太らないと。

「何、食おうかな~」

 目の前が暗くなった。

「ん?」
「久しいな。ゴリラエンジン」
「弓月さん!お久しぶりです」
「あぁ。ゴリラエンジンを探していたのだ」
「俺を?」
「あぁ。今イベント期間中なのは知ってるか?」
「はい。知り合いに教えてもらいました」
「そうか。ならば、ギルド方面へ行くことは止めておけ」
「なんでですか?」
「ギルドの連中が仲間欲しさに突っかかってくるぞ」
「うわぁ。分かりました。忠告、ありがとうございます」
「じゃあ、気をつけろよ」
「はい!ありがとうございます!!」

 このイベント期間中が一番人の駄目なところが見えるのだ。

 






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