素晴らしい世界から脱却を

秋霧ゆう

文字の大きさ
14 / 28

第14話 イベントへ⑤Lv50以下ギルド対抗戦

しおりを挟む
『続いての対戦は狩りギルドVS魚群ギルド。狩りギルドから昨日も出場したこの男、あと1匹でもウルフを倒したらレベルが上がり50を超えるからという理由で狩りに行くことを禁止されたというシルバームーンさん。狩りを禁止されたあげく魔法の特訓をさせられていたシルバームーンさんです!!結果は、全然でしたが(笑)』

「実況詳しくね?」
「だな」

『次に魚群ギルドから水野さん。えー。彼に対しては特に知りません。では、準備は良いですか!?それでは、頑張ってください!』

3・2・1  START

 始まってすぐ魚人が居なくなった。土の中に潜ったのだ。魚人は最初は水の中だけしか潜れなかったのだが、数回のアップデートにより土の中も潜れるようになったのだ。

 静寂が流れる中、シルバームーンの足は地面に飲み込まれた。すぐに気づき避けたが魚人も負けてはいない。

 観客からしたら凄く地味な光景に見えるが白熱した試合に盛り上がりを見せていた。

「ちょこまかとウザってぇんだよ」

 イラつき始めたシルバームーンは少しでも地面が揺れると全力殴り始めた。
 試合が動き出し興奮する観客。
 
 そして、1発。

「おらぁ」
「ぐっ」
 
 攻撃が入った。
 手応えがあるところを殴り続けた。
 
 誰もがこれで決着がつくと思っていたが、勝者は水野だった。
 シルバームーンの攻撃が入っていたのは水野が手を離さなかったから。彼は少しずつシルバームーンを土の中に引きずり込んでいた。
 その後は魚人以外は見れない戦いが起きた。3分後、水野はぐったりとしたシルバームーンを抱えて土の中から出てきた。

『今回の勝者は魚群だー!!!!皆様お疲れ様でした。続いて3位決定戦と行きたいとこですが、シルバームーンさん大丈夫でしょうか』

「実況さん、シルフィさん、良かったら先に決勝戦しませんか?」
「私は大丈夫です…けど」

『えぇ、水野さん?あなたも顔面腫れ上がってますけど、大丈夫なんですか?』

 先程の戦いでタコ殴りにされた水野。

「大丈夫です。お2人がよろしければ先に」

『はい。では水野さんの案で行きます。それでは、あの鏡月さんを討ち取ったシルフィさんVS顔面腫れまくりの水野さんとの戦いです。頑張ってください』

3・2・1  START

「すみません。シルフィさん、よろしくお願いします」
「いえいえ。こちらこそ、よろしくお願いします」

 するとシルフィは空を飛んだ。
 水野は忘れていた。

(あ、シルフィさん。エルフだった)

 先程の鏡月VSシルフィだが、空を飛ばずに戦っていたのだ。
 その為、“エルフ”という空を飛べる種族だということを完全に忘れていた。
 地面を潜る魚人と空を飛ぶエルフ。どちらが有利かというとすぐに分かる。
 空から見ると水野の位置は一目瞭然。

風刃ウィンドカッター

 すると水野に向かって風の刃が襲ってきた。逃げても逃げても落ちてくる刃に逃げ場などなかった。
 決勝戦はすぐに終わった。

『ゆ、ゆ、優勝!!優勝は自由ギルド、シルフィ』

「あ、ありがとうございます。水野さんもありがとうございました」

『ここでね、優勝インタビューなんかもしたいんだけど、3位決定戦が残ってるから。行けますかー!?シルバームーンさん』

「大丈夫です」

 キレ気味のシルバームーン。…いや、彼はキレている。

「潰す…」

 小声で何か言ったが盛り上がる観客の声に誰も聞き取れなかった。

「よろしくな、獣人」
「殺す殺す殺す殺す」

 殺気立つシルバームーンに唖然とする鏡月。

『さぁさぁ、それでは最終対決。シルバームーンさんVS鏡月さんだー!!頑張ってくださいね。それでは』

「いやいや、ちょっと待って」

3

「殺す、絶対殺す」

2

「怖すぎるんだけど…」

1

START!!!!

「まぁ、やるしかないよね。我が名。鏡月の呼び掛………ぐぇ」

 鏡月が呪文を唱えているとお腹に全力パンチをしたシルバームーン。
 鏡月は吹っ飛び壁にめり込んだ。
 これが本当にLv50以下の戦いなのだろうか。

『決まったー!3位はシルバームーンさんだー。Lvも50に上がったー!!そして、地に落ちた強者、鏡月さん』

「なんか、実況、ひどくねぇか?」
「だな」

『本日のLv50以下のギルド対抗戦は1位自由ギルド、2位魚群ギルド、3位狩りギルド、4位社畜ギルドとなりました。そして、総合順位も変更となります。1位は変わらず自由ギルド。2位に魚群と狩りが並びました。明日の競技はギルド対抗リレーとなります。明日も頑張ってくださいね~』

「なぁ、ソードもキレたらあんな感じ?」
「…ならねぇよ。確かに獣人は血の気が多いやつ多めだけどあんなにはならねぇ」
「そうか。なら安心だ」

 そうして、Lv50以下ギルド対抗戦は幕を閉じた。


 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...