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第26話 父親へ
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彼方と別れ1週間が経った。
ゲームにインすれば、彼方がまた笑いかけてくれるんじゃないか。そんなことに縋りながらただ何もせず世界を見ていた。
「こんなところで何をしておるのだ?」
顔を見上げるとそこにはナナが立っていた。
「…ナナ」
「今日はソードと一緒じゃないのか?」
「ソ、ソードは…辞めたよ」
「…そうか」
その日は特に何も言わずにナナは拓海のそばに居た。
会社には行けなくなっていた。会社に向かうとするもその途中にある彼方の家。家を見るだけで彼方のことを思い出す。見なければいいのに見てしまう。そして脳裏に過ぎる彼方の姿。足が前に動かなくなり、家に帰った。
きっと、クビだろう。そう思いながら毎日を過ごしていた。
ピーンポーン。
家のチャイムが鳴った。だが無視した。
ピーンポーン。ピーンポーン。ピピピーンポーン。
しつこいチャイムに拓海は返事をした。
「はい」
「調子はどう?」
「柴田…先輩」
「うん。ちょっと心配なことがあって。これから一緒にご飯でも行かない?」
「いえ、俺は」
「ほら、行くよ」
柴田は無理矢理、拓海を外に連れ出した。
拓海と柴田は近くの個室居酒屋に向かった。
「乾杯」
それからたわいもない話を30分くらい話し、柴田は本題に入った。
「平君、最近BWOやってる?」
「…最近は、あまり」
「そっか。実はね、BWOのプレイヤーが1人亡くなったらしいの」
「え?」
「嘘か本当かは分からないんだけど、初心者っぽい人がBWOを人殺しゲームって叫んでるみたいで」
「…」
「それでね、亡くなったのは獣人の子で、名前で有名だったオ○二ーソードって子らしくて。平君、もし知り合いだったら伝えといた方が良いかなって思って」
「…。柴田先輩」
「何??」
「その、ソードが死んだって言ってるやつの名前分かりますか?」
「うん。剣崎統領だったと思う」
「剣崎、統領」
「そうそう。剣崎って有名な剣道一家でしょ。だから何となく記憶に残ってて」
拓海の頭の中には絶対にあいつだと、特定していた。彼方の父親。
「先輩すみません。俺、帰ります。それでこれからBWOに行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
「お代は、えっと」
「私の奢り!!その代わり、早く会社復帰してよね!」
「はい。ありがとうございます」
拓海はすぐに家に帰り、ログインした。
すると案の定、叫んでる男を見つけた。
獣人の男。
「このゲームは人殺しのゲームだ。ストレス緩和のためのゲーム?そんなものねぇよ。クソ食らえだ。お前ら知ってるか?オ○二ーソードとかいうゴミが実際に死んだんよ。そのゴミが自殺したせいで俺の人生も狂わせやがっ」
その時、ログインした拓海は全力で剣崎頭領を殴りかかろうとした。
だが、武芸の達人。簡単にかわされる。
「何だ貴様は。あぁ。もしかして夜中に我が家へ忍び込んだゴミの友達か?」
「ソード、彼方はゴミなんかじゃねぇ」
「あんな役立たずゴミ以外の何者でもない」
「ふざけん…」
「あの。ソード君のことを言ってるんですか?」
魚人族の女性が1人は会話に入ってきた。
「ソード君とはゲームでしか会ったことないし話したこともないけど、彼は本当に良い人なんです。道に迷ったら教えてくれて、モンスターからも助けてくれて」
「良い人じゃダメなんだよ。結果だ。結果が全てなんだよ」
「結果なら出してるぞ」
「は?」
ナナも入ってきた。
「先日行われたイベント、ダンジョンリアルファイト。ダンジョンを1層から10層まで1人で潜り、1番早く到達したものの勝ちというのがあってな、そこでソードは優勝した。ナナを差し置いて。」
「ふんっ。たかがゲームだろ」
「例え、ゲームだったとしても優勝は優勝だ。結果を出してる」
「その結果は現実で出せといってるんだ」
「現実で結果を出せなかったのは俺のせいだ」
次は獣人族の男、アリスが入ってきた。
「さっきから言ってるオ○二ーソードって、剣崎彼方のことなんだよな。彼方、死んじゃったのか?」
頷く拓海。
「そんなことより貴様のせいとは?」
「彼方は俺の親友で、中学の時から彼方が学校に来なくなる前まではずっと2人で居残り練習とかもして俺なんかよりずっとずっと強くて」
アリスは泣きながら話し続ける。
「俺、小さい頃から不幸体質で、毎回毎回彼方の足を引っ張って、だから俺彼方に一緒に過ごさない方が良いって言ったんだ。それでも彼方は一緒に居てくれて。彼方が学校に来なくなる前の最後の大会。彼方は決勝まで進んだ。でも俺の不幸が彼方を襲ったんだ。決勝直前に会場に積んであった荷物が俺に向かって倒れてきて、彼方は俺を助けようと身代わりになった。その後足がパンパンに腫れて、俺どうしたら良いか分かんなくて、でも彼方は大丈夫って言って決勝を向かえて。普通に立つのも厳しいような怪我。だからあれは俺のせい、で」
「その話は本当です」
また、1人。
「1年前の剣道の大会。僕は、あの剣崎彼方君と当たりました。彼方君は強くて僕とは因縁のライバル的存在でした。でも、あの日は動きが変で試合後彼方君に会いに行ったら足が腫れ上がり、意識はなくなり、病院へ運ばれる姿を僕は見ました」
「だから、彼方は強くて、皆の光みたいな存在で」
その場が静まり返った。
「で?話は終わったか?」
「テメッ」
「だから何だと言うのだ。それもアイツの運のうち。怪我したからと言って負けていい理由にはならん」
その場に居たメンバーが剣崎頭領を攻撃しようとした時、
パンパン。
弓月が手を叩き、視線をずらした。
「これ以上は見てられん」
「誰だ貴様は」
「私の名は弓月。ここから先は剣崎頭領との一騎打ちにしたらどうだ?」
「いいだろう。お前らは誰が出るのが話し合って決めるが良い」
ゲームにインすれば、彼方がまた笑いかけてくれるんじゃないか。そんなことに縋りながらただ何もせず世界を見ていた。
「こんなところで何をしておるのだ?」
顔を見上げるとそこにはナナが立っていた。
「…ナナ」
「今日はソードと一緒じゃないのか?」
「ソ、ソードは…辞めたよ」
「…そうか」
その日は特に何も言わずにナナは拓海のそばに居た。
会社には行けなくなっていた。会社に向かうとするもその途中にある彼方の家。家を見るだけで彼方のことを思い出す。見なければいいのに見てしまう。そして脳裏に過ぎる彼方の姿。足が前に動かなくなり、家に帰った。
きっと、クビだろう。そう思いながら毎日を過ごしていた。
ピーンポーン。
家のチャイムが鳴った。だが無視した。
ピーンポーン。ピーンポーン。ピピピーンポーン。
しつこいチャイムに拓海は返事をした。
「はい」
「調子はどう?」
「柴田…先輩」
「うん。ちょっと心配なことがあって。これから一緒にご飯でも行かない?」
「いえ、俺は」
「ほら、行くよ」
柴田は無理矢理、拓海を外に連れ出した。
拓海と柴田は近くの個室居酒屋に向かった。
「乾杯」
それからたわいもない話を30分くらい話し、柴田は本題に入った。
「平君、最近BWOやってる?」
「…最近は、あまり」
「そっか。実はね、BWOのプレイヤーが1人亡くなったらしいの」
「え?」
「嘘か本当かは分からないんだけど、初心者っぽい人がBWOを人殺しゲームって叫んでるみたいで」
「…」
「それでね、亡くなったのは獣人の子で、名前で有名だったオ○二ーソードって子らしくて。平君、もし知り合いだったら伝えといた方が良いかなって思って」
「…。柴田先輩」
「何??」
「その、ソードが死んだって言ってるやつの名前分かりますか?」
「うん。剣崎統領だったと思う」
「剣崎、統領」
「そうそう。剣崎って有名な剣道一家でしょ。だから何となく記憶に残ってて」
拓海の頭の中には絶対にあいつだと、特定していた。彼方の父親。
「先輩すみません。俺、帰ります。それでこれからBWOに行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
「お代は、えっと」
「私の奢り!!その代わり、早く会社復帰してよね!」
「はい。ありがとうございます」
拓海はすぐに家に帰り、ログインした。
すると案の定、叫んでる男を見つけた。
獣人の男。
「このゲームは人殺しのゲームだ。ストレス緩和のためのゲーム?そんなものねぇよ。クソ食らえだ。お前ら知ってるか?オ○二ーソードとかいうゴミが実際に死んだんよ。そのゴミが自殺したせいで俺の人生も狂わせやがっ」
その時、ログインした拓海は全力で剣崎頭領を殴りかかろうとした。
だが、武芸の達人。簡単にかわされる。
「何だ貴様は。あぁ。もしかして夜中に我が家へ忍び込んだゴミの友達か?」
「ソード、彼方はゴミなんかじゃねぇ」
「あんな役立たずゴミ以外の何者でもない」
「ふざけん…」
「あの。ソード君のことを言ってるんですか?」
魚人族の女性が1人は会話に入ってきた。
「ソード君とはゲームでしか会ったことないし話したこともないけど、彼は本当に良い人なんです。道に迷ったら教えてくれて、モンスターからも助けてくれて」
「良い人じゃダメなんだよ。結果だ。結果が全てなんだよ」
「結果なら出してるぞ」
「は?」
ナナも入ってきた。
「先日行われたイベント、ダンジョンリアルファイト。ダンジョンを1層から10層まで1人で潜り、1番早く到達したものの勝ちというのがあってな、そこでソードは優勝した。ナナを差し置いて。」
「ふんっ。たかがゲームだろ」
「例え、ゲームだったとしても優勝は優勝だ。結果を出してる」
「その結果は現実で出せといってるんだ」
「現実で結果を出せなかったのは俺のせいだ」
次は獣人族の男、アリスが入ってきた。
「さっきから言ってるオ○二ーソードって、剣崎彼方のことなんだよな。彼方、死んじゃったのか?」
頷く拓海。
「そんなことより貴様のせいとは?」
「彼方は俺の親友で、中学の時から彼方が学校に来なくなる前まではずっと2人で居残り練習とかもして俺なんかよりずっとずっと強くて」
アリスは泣きながら話し続ける。
「俺、小さい頃から不幸体質で、毎回毎回彼方の足を引っ張って、だから俺彼方に一緒に過ごさない方が良いって言ったんだ。それでも彼方は一緒に居てくれて。彼方が学校に来なくなる前の最後の大会。彼方は決勝まで進んだ。でも俺の不幸が彼方を襲ったんだ。決勝直前に会場に積んであった荷物が俺に向かって倒れてきて、彼方は俺を助けようと身代わりになった。その後足がパンパンに腫れて、俺どうしたら良いか分かんなくて、でも彼方は大丈夫って言って決勝を向かえて。普通に立つのも厳しいような怪我。だからあれは俺のせい、で」
「その話は本当です」
また、1人。
「1年前の剣道の大会。僕は、あの剣崎彼方君と当たりました。彼方君は強くて僕とは因縁のライバル的存在でした。でも、あの日は動きが変で試合後彼方君に会いに行ったら足が腫れ上がり、意識はなくなり、病院へ運ばれる姿を僕は見ました」
「だから、彼方は強くて、皆の光みたいな存在で」
その場が静まり返った。
「で?話は終わったか?」
「テメッ」
「だから何だと言うのだ。それもアイツの運のうち。怪我したからと言って負けていい理由にはならん」
その場に居たメンバーが剣崎頭領を攻撃しようとした時、
パンパン。
弓月が手を叩き、視線をずらした。
「これ以上は見てられん」
「誰だ貴様は」
「私の名は弓月。ここから先は剣崎頭領との一騎打ちにしたらどうだ?」
「いいだろう。お前らは誰が出るのが話し合って決めるが良い」
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