愛しの君へ

秋霧ゆう

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第1章

第3話 部活設立・前編

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 妖精部の設立を試みるものの全然人が集まらない。
 今の時期は4月の終わり。もう既に部活に入部しているのだ。
 声をかけてもかけても「野球部」「吹奏楽部」「宇宙人交信部」「パンツ研究会」など答えられるだけで入部してない人は見つからなかった。

「なぁ、翠兄ちゃんは?」

 翠は、桐生蒼の兄である。

「無理。2年だし吹奏楽部だし生徒会にも入ってるし」
「そうだよな~」
「旭!僕が居るからもう3人だぞ」
「…」

 一度、暁を見る旭だが、すぐに

「誰か居ねぇかな」
「無視するな!」

 今は旭と蒼しか居ないから話かけたのに無視されたことにイラつく暁。

「ねぇ」
「うぉ。何、誰!?」

 背後から急に話しかけられ焦る旭。

「誰か居ねぇかなって言ってたから何かあったのかなって」

 小柄な男子生徒で前髪が目にかかっている。

「あぁ。部活」
「部活?」
「新しく作ろうとしてんだけどあと1人捕まんなくて」
「ぼ、僕、入ろうか?」
「いや、でもお前それ入部届けだろ」

 この男子生徒、手には園芸部の入部届けを持っている。

「正直、僕はどこでもいいんだ」
「ふーん。でもいいや。ありがとな」

 男子生徒と別れた。

「なんで、断ったの?」
「んー。暁が嫌そうだったから」

 そう。この男子生徒と話している時、暁は旭に「嫌な感じがする」とずっと伝えていたのだ。

 次の日。
 この男子生徒は校門の前で旭達を待ち構えていた。
 それに気づいた暁はすぐに旭に伝えた。

「旭、旭!昨日のあいつが校門に居る」
「あいつって?」
「ほら!昨日旭に話しかけてきた嫌な感じがしたあいつ!」
「は!?」

 旭はすぐに蒼の腕を引っ張り、裏門へ向かった。

「何?」
「あいつが居た」
「あいつ?」
「昨日の、あいつ」
「あー、部活誘った子?」
「誘ってねぇよ!」
「別に良いじゃん」
「やだよ。暁が嫌そうだし」
「ふーん」

 3人は裏門から学校に入った。
 その日は一日中警戒して過ごした。廊下に出る時は周りを見てあの男子生徒が居ないか確認して出る。そうして、一日が過ぎた。だが放課後、またあいつは校門の前に居た。

「げっ。また居んのかよ」

 教室から校門を覗いていた旭達。すると、クラスメイトから声をかけられる。

「おーい、九条。校門にお前を待ってるやつが居たぜ」
「知ってる」
「は?じゃあ、早く行けよ」
「嫌だよ」

 ニヤつき始めるクラスメイト。

「テメッ。もしかして…」
「おーい!!校門に居るやつ、九条はここに居るぞ!」

 校門にいる男子生徒が振り返り、教室に向かって走ってくる。
 旭はクラスメイトに捕まり動けなくなっていた。蒼は笑いながら傍観していた。暁は、

「はーなーせー」

 と、クラスメイトを叩いたりしていた。が、攻撃は通じなかった。
 そうこうしているうちに例の男子生徒が教室に入ってきた。
 旭の前に立ち、紙を渡す。

「ん?なにこれ」
「入部届け」
「妖精部?そんなんあったっけ」
「僕、部員になるよ」

 少し間を置いて一言。

「俺、お前に部活名伝えてないんだけど」
「え、九条作んの?」
「おう。良いだろ。それじゃな」

 立ち去ろうとする旭に一言。

「た、たまたま聞いたんだ。部員が見つからないって。だから、僕入ろうかなって…」
「良いやつじゃん」
「どうすんの?」
「どうするって…」

 クラスメイトの視線が旭に集まる。

「あーもー、分かったよ」
「え?旭??だ、ダメだよ!」
「お前の入部認めてやるよ」
「ありがとう。じゃあ、またね」

 教室を出ていく男子生徒。その後、旭、蒼、暁の3人は職員室へと向かった。

「なんであいつを入れるんだよ!僕、言ったよね!嫌な感じがするって!!」
「あー、だってあんな空気で断れねぇし。それに断って呪われたりするんだったら近くに居てくれた方がいい気がするし」
「それは、そうだけど…」
「それに!俺、部活する気ねぇから。そうそう会わねぇだろ」
「……分かった」

 暁はこの男子生徒の入部を渋々受け入れた。

 職員室。

「せんせー。はい。3人集まったよ」
「よく、見つけたな。九条に桐生に仙道椿。他クラスのやつか」
「こいつどんなやつなの?」
「仙道椿、C組の生徒か。すまないが教えてないから分からないな」
「そっか」

 ちなみに、旭と蒼はA組である。
 
「山田先生!」

 高槻先生は向かい側に座っている山田先生に声をかけた。

「何ですか?」
「山田先生のクラスの仙道椿君、どんな子ですか?」
「仙道君ですか?どうかしましたか?」
「この2人が部活を作ったんですが、部員の中に仙道君の名前があって、どういった生徒なのかなと」
「あぁ、なるほど、そういうことですか。仙道君はね良い子ですよ。凄く周りを見ている子です。私が困っていると率先して助けにきてくれる優しい子なんですよ」
「へぇ」
「でも、1人でいる時間が多くて少し心配してたんですが、お友達が出来たみたいですね。良かった」

 嬉しそうな表情で語る山田先生。
 仙道椿に関して、ある程度情報が聞けたためそのまま職員室を出る。

「失礼しました~」
「あ、九条!部長はお前なんだろ?じゃあ、部活の活動日とか顧問とか書いた紙を明後日までに提出しろ」
「部長?顧問?」
「は?お前考えてないのか?」
「蒼、蒼!お前部長やれよ」
「え、嫌だよ」
「言い出しっぺはお前だろ」
「けど、作ると決めたのは旭だろ」

 納得のいかない旭だが、普段から何かあると、ことある事に言いくるめられてるいるため受け入れることにした。

「あー、分かったよ。俺が部長やるよ」
「そういうのは職員室を出てからやれ」
「はーい。失礼しました~」
「にしても、仙道椿君は良い人そうだね」
「だな。でも、暁の勘は昔からよく当たるから心配っちゃ心配なんだよな」
「まぁそこらへんは話してみたら分かるんじゃない?」
「あぁ。まぁ部活はそんなやる気ねぇし大丈夫だろ」
「楽観的だな~」


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