愛しの君へ

秋霧ゆう

文字の大きさ
10 / 62
第1章

第8話 体育祭・前編

しおりを挟む
 体育祭当日。
 朝から張り切る生徒達。
 部活対抗リレーで1位を取った部には部員全員に「半年間学食食べ放題券」が貰える。2位は「1ヶ月間学食食べ放題券」、3位は「1週間学食食べ放題券」。
 この学校の学食は美味い!!

 午前の部の競技は、100m走、綱引き、騎馬戦、三輪車競走になるのだが、この競技ではまだ全力は出さない。
 三輪車競走に関しては遊び心もあってだいぶ盛り上がるのだが、他の種目はただたんたんと流れるだけなのだ。
 午前の部、ラスト種目は教員リレー。
 各学年の担任の先生が走って1位を決める。
 1位になった学年には、学校の前に美味しい唐揚げ屋さんがあるのだが、その唐揚げ屋さんの唐揚げおむすびを1人1個プレゼントされる。
 この唐揚げおむすび、略してからむす。半端なく美味い。
 正直学食より美味い。
 そして、1位を取れなかった学年の先生は、毎年生徒から軽蔑される傾向にあるため、全力で走る。

「それでは、参りましょう!実況は放送委員会2年の伊藤颯太がお送りします!教員リレー、まず1走者目に走るは、1年A組高槻先生、2年A組辻先生、3年A組北山先生。高槻先生は昨年1位を独走状態だったにも関わらずゴール間近で転倒し3位まで落ち生徒から残念な目で見られるようになったが今年は転ばず次の先生にバトンを渡せるか!?」
「バラしてんじゃねぇぞ、伊藤!」
「辻先生はお年寄りのため、もうすでに足がガクガクしているが2走者目にバトンを渡すことが出来るのか!?」
「がんばるよ~」
「そして、北山先生!!………特に言うことがないので」
「うぉい、なんか無ぇのかよ。お前の担任だぞ」
「それでは位置について、よーい、どん!」

 勢いよく飛び出したのは、高槻先生と北山先生。辻先生はゆっくり歩いている。
 2年生から辻先生への応援は「辻先生、今レース中、頑張って」「蝶々、蝶々は今いいから」などなど。
 盛り上がりを見せるは1年生対3年生。

「ほぼ同時で2走者目へとバトンが渡った!あーっと、高槻先生転倒。転倒です!しかし、今年はバトンが渡ってから転倒したため1年生諸君許して上げましょう。辻先生はまだ走っ…歩いています。まだ半分と行ったところでしょうか!」

 そして、3走者目へとバトンは変わり、

「山田先生ー!!!頑張れー!!!」

 1年生対3年生、3年生の先生は小山内先生と言って陸上部の顧問だ。この先生もともとはプロの選手だったこともありかなり速いと有名なのだ。

「山田先生、厳しいな…」
「なに言ってんの?」
「月見里先輩」
「山ちゃんはね、かなり速いわよ」
「え?」

「見た目とのギャップがえぐいと有名の山田先生!速い速い、全然離されない、さすがだ!4走者目へバトンを渡すは山田先生か、小山内先生か!!どっちが先だー!!??」

 緊迫した空間。バトンが先に渡ったのは、

「小山内先生、小山内先生です!!やはりこの男速い速すぎる!!そして、2年生辻先生もやっと2走者目へとバトンが渡りました!!」

 その後、バトンミスが起きたり、転倒したり、ボールが転がってきたり様々な問題か発生し、1位を取ったのは、

「2年生!!2年生が1位です!!正直、1走者目の辻先生を見た時は1位は絶望的でしたが、なんとか1位をもぎとりました!おめでとうございます!!そして、からむすをありがとうございます!それでは皆さん、頑張ってくれた先生方に大きな拍手を送ってください!」

 そうして午前の部は幕を閉じた。



 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

【完結】毎日きみに恋してる

藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました! 応援ありがとうございました! ******************* その日、澤下壱月は王子様に恋をした―― 高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。 見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。 けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。 けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど―― このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...