愛しの君へ

秋霧ゆう

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第1章

第14話 告白

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 1人寂しそうにする暁。何も言わず後ろを着いてくる蒼だったが、遂に口を開く。

「なぁ、暁」
「なんだよ」
「…僕にはさ前世の記憶があって」
「何の話…」
「前世でとある偉大な剣士を殺した」
「だから何の…」
「そいつの名はギルベルト」
「……は?」
「暁の恋人を殺したのは、俺だ」
「何言って…」
「お前のことも初めて会った時から見えてる」
「何言ってんだよ、お前」
「ごめんな。ずっと早く真実を言わないとって思っていてもお前らとの時間が楽しくてこの時間を無くしたくなくて、なかなか言えなくて」
「意味分かんねぇって」
「僕は王国軍の一兵士だった」
「は?」
「戦争を終わらせるためにお前らを狙った」

 下を向き淡々と話す蒼に怒りの感情と蒼のことを認め始めていたからこその悲しみの感情がぐちゃぐちゃに混ざり合う暁。

「何なんだよ。何でそんな話を急に…」
「ずっと考えていたんだ。2人の人生を奪い取った僕が2人の傍に居続けて良いわけがない。旭は前世の記憶が無いみたいだったから暁には、暁だけには言わないとって」
「だからって、何で今」
「暁はさ、絶対に旭の傍を離れないじゃん。こんな話、旭を前には言えなかった」
「当たり前だろ」
「旭と暁が離れたタイミングで言わなきゃって思ってて」
「それで今」
「うん」
「…お前の顔当分見たくない」
「うん。嫌ならもう二度と会わない」
「…」
「転校もするしお前らの生活範囲には近づかない」

 蒼の話に落ち着いて聞いていた暁だったが、『二度と会わない』この言葉に怒りを見せる。

「無理に決まってんだろ。ギルは、旭は記憶ないのに。お前は旭にとって親友で、お前が急に旭の元を去ったら…!」
「ごめん」

 旭と蒼が出会ってから10年。
 離れなければと思いながらも築きあげてしまった2人の関係。
 暁に言われて気づいた蒼。自分のことしか考えていなかったと後悔する。

「…桐生蒼、また話そう」

 そう言うと、暁は旭を探しに行った。
 花火の音が鳴り響くなか、蒼は1人立ち尽くしていた。





 今から15分前のこと。
 旭は千夏と屋台を回っていた。

「旭君!あたしはやきそばを買いに行くから旭君はりんご飴買ってきてもらってもいい?」
「それなら一緒に」
「うーん、でも混んでるし、別々に動いた方がよくない?」
「そ、それもそうですね。じゃあ連絡先だけでも」
「おっけー」

 嬉しそうな表情でりんご飴の屋台に並ぶ旭。暁と蒼が2人で、距離を保って神社に続く階段を登っているのを見た。

「あれは暁と蒼か?」

 そんなことを言いつつ、自分の順番が回ってきて、大・中・小を1本づつ買った。
 
「どのサイズが良いか分からないしな。余ったら暁にあげて~。……告白したら付き合ってくれるかな?」

 ワクワクしながら旭は千夏の元へと向かう。

「千夏さ~ん!」

 千夏を目の前に突如現れた壁。
 この壁240cmの黒人だった。

「千夏、こいつ誰?」

 いや、日本生まれ日本育ちの日本国籍の黒人だった。

「今日一緒に回ってたんだぁ」
「一緒に?俺を断って?」

 この言葉に場の空気が冷たくなるのを感じた。

「うん!ゆっかちゃんに頼まれちゃって」
「由香里ちゃんね…」
「うん!」
「でも坊や、こっからは俺と千夏が一緒に回るから君はお帰り」
「は、はい」

 千夏は別に追いかけてきたりはしなかった。旭は3つのりんご飴を持って2人を見かけた神社へ階段を登って行った。
 そこで蒼と暁の話が聞こえてきた。

「前世でとある偉大な剣士を殺した」

 旭は蒼と暁が何かの物語を話しているんだと思った。俺も混ぜてと、2人の話に割り込もうとする。

「そいつの名はギルベルト」

 旭の足が止まった。
 胸の中で何かが動いた感じがした。ギルベルト。物語ではよくある名で、今までは特に気にしたことはなかった。
 けれど、蒼と暁が呼ぶギルベルトには少しの違和感を感じとった。
 今までに聞いたことがない見たことがない暁と蒼の声色、表情にその場で立ち尽くしていた。

「嫌ならもう二度と会わない」

(二度と会わない?何言って早く、早く2人の前に行かないと)

 けれど、旭の足は動かなかった。
 だが、暁が蒼を止めたことにホッとした。

「…桐生蒼、また話そう」

 暁が移動し始めた瞬間、旭と遭遇する。

「あ、旭…」

 蒼もすぐに後ろを振り向く。

「今の話…」
「話?話ってなんだ?」

 暁も蒼も今にも死ぬんじゃないかと思うほど顔が青ざめていた。
 旭は咄嗟に嘘をついた。
 この嘘に暁も蒼も安心したように顔が緩んだ。
 心臓が大きく鳴り響いてる気がした。それとも花火の音なのか、確実に何かが動き出した、そんな夏となる。
 




 旭と蒼と別々になった由香里と千夏。

「ちーちゃん」

 由香里は泣きながら千夏の元へやってきた。

「どうしたの?ゆっかちゃん」
「私さ蒼君に一目惚れしちゃって告白するぞーって思ってたのに人混みではぐれちゃって…」
「そっかそっか」
「ちーちゃんは?」
「何が?」
「旭君」
「旭君は好みじゃないかな」
「旭君も相当イケメンだったと思うけど」
「うん。でもね私好きな人いるし」
「え?ボブ!?」
「ボブじゃないよ。ボブは旭君以下」

 笑いながら話す千夏に落ち着きを取り戻す由香里。

「え、ごめん!じゃあ、今日の夏祭り、その好きな人と一緒に回りたかったんじゃない?」
「ううん、大丈夫だよ」
「ごめん、ごめんね!」
「あはは、本当に大丈夫なんだって~」
「そう?」
「よーし!もう2人はどっか行っちゃったし、ちーちゃんの大事な時間奪っちゃったし、なんか奢ってあげる!!」
「あはは、ありがと」

 花火が上がる。

「ゆっかちゃん、好きだよ」
「ん?なんか言った?」
「なんでもなーい」

 その後由香里と千夏は夏祭りをいっぱい楽しんだ。
 その告白をボブは聞いていて失恋を感じていた。




 


 

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