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第1章
桐生蒼
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僕には小さい頃から前世の記憶があった。
人を殺した記憶。大切な人を殺された記憶。そして僕自身も…。
小さい頃は現世の僕と前世の僕とが混ざりあって訳が分からず混乱していた。
家族に向かって、
「なんで生きてるの?」
と聞いたこともある。
前世の僕の家族は死んでいたから。
前世の僕を育ててくれたじいちゃんとばあちゃん。
「じいちゃんとばあちゃんは?」
と聞くと、現世のじいちゃんとばあちゃんはもうすでに亡くなって居るんだとか。
僕はいったいなんなのか、そんなことを毎日考えていた。
家族は、まだ僕が小さいから僕の前世の話は絵本の中の物語だと思っていたようだ。
僕がそういう物語が好きなんだろうと、沢山の絵本を買ってきた。
僕自身、僕の記憶にあるこれは僕が作り出した物語だったのだろうか。そう思うようになった。
けれど、ある日公園で同い年くらいの男の子と男の子の傍を飛ぶ妖精に出会った。
僕はすぐに理解した。
僕の中にある記憶はどこにでもある物語ではなく、僕が生きてきた人生であること。
男の子と妖精は僕が殺した人、殺そうとした人。そして、僕を救ってくれた人。
そのことを思い出したら一気に涙が流れ落ちた。
謝らないと、早く謝らないと。
すぐ砂場で遊ぶ2人に駆け寄る。
砂場には2人の他に何人か遊んでいたけど、妖精が見えるのは男の子だけのようで、他の子供たちからからかわれていた。
「嘘つきー」
「まだそんなこと信じてるんだー」
男の子は涙を堪えていた。
妖精は男の子を慰めつつ他の子供たちに攻撃を仕掛けようとしていた。
妖精は大魔法使い。こんなところで魔法を使ったら人が死んでしまうかもしれない。
僕が止めないと!!
「やめろ!」
今まで出したことのない大きな声を出した。男の子といじめっ子の間に僕は割り込んだ。
僕の声に反応して、いじめっ子達の母親が僕たちの元へと駆け寄ってきた。
状況的に見て、男の子をいじめてるんだと思ったのか母親達は男の子と僕に向かって何度も謝ってきた。その後いじめっ子達は母親に連れられていった。
妖精は怒りをおさめたようだ。
男の子も僕を見ている。
僕は口を開いた。
「妖精ってどんななの?」
男の子は嬉しそうに笑った。
男の子は俺に説明を始めた。出会いは半年前、迷子になったところを助けてくれたんだとか。目が赤くて綺麗だったから暁にしたんだたとか。いつも一緒に居てくれる親友で家族で1番大切な人なんだとか。
「…ごめん」
嬉しそうに話すその姿を見て、僕は苦しくなってそう呟いた。
目を見て謝れない僕自身に嫌気がした。
「なんで?助けてくれたじゃん」
妖精も大きく頷いていた。
もしかしたら、この2人は僕のことが分かっていないのかもしれない。
前世、この2人が恋人関係にあったことは知っていた。
邪魔をしてはいけない。この2人が命に関わる何かが起きた時、僕が助けられるように傍に居ることを決めた。強くなることを決めた。
僕は妖精が見えることは秘密にすることにした。2人の関係に僕が入っていい訳がない。
でもいつか、僕の我儘になるけれど、どうか僕の話を聞いてくれ。
必ず謝らせてくれ。
どうか、どうか。
人を殺した記憶。大切な人を殺された記憶。そして僕自身も…。
小さい頃は現世の僕と前世の僕とが混ざりあって訳が分からず混乱していた。
家族に向かって、
「なんで生きてるの?」
と聞いたこともある。
前世の僕の家族は死んでいたから。
前世の僕を育ててくれたじいちゃんとばあちゃん。
「じいちゃんとばあちゃんは?」
と聞くと、現世のじいちゃんとばあちゃんはもうすでに亡くなって居るんだとか。
僕はいったいなんなのか、そんなことを毎日考えていた。
家族は、まだ僕が小さいから僕の前世の話は絵本の中の物語だと思っていたようだ。
僕がそういう物語が好きなんだろうと、沢山の絵本を買ってきた。
僕自身、僕の記憶にあるこれは僕が作り出した物語だったのだろうか。そう思うようになった。
けれど、ある日公園で同い年くらいの男の子と男の子の傍を飛ぶ妖精に出会った。
僕はすぐに理解した。
僕の中にある記憶はどこにでもある物語ではなく、僕が生きてきた人生であること。
男の子と妖精は僕が殺した人、殺そうとした人。そして、僕を救ってくれた人。
そのことを思い出したら一気に涙が流れ落ちた。
謝らないと、早く謝らないと。
すぐ砂場で遊ぶ2人に駆け寄る。
砂場には2人の他に何人か遊んでいたけど、妖精が見えるのは男の子だけのようで、他の子供たちからからかわれていた。
「嘘つきー」
「まだそんなこと信じてるんだー」
男の子は涙を堪えていた。
妖精は男の子を慰めつつ他の子供たちに攻撃を仕掛けようとしていた。
妖精は大魔法使い。こんなところで魔法を使ったら人が死んでしまうかもしれない。
僕が止めないと!!
「やめろ!」
今まで出したことのない大きな声を出した。男の子といじめっ子の間に僕は割り込んだ。
僕の声に反応して、いじめっ子達の母親が僕たちの元へと駆け寄ってきた。
状況的に見て、男の子をいじめてるんだと思ったのか母親達は男の子と僕に向かって何度も謝ってきた。その後いじめっ子達は母親に連れられていった。
妖精は怒りをおさめたようだ。
男の子も僕を見ている。
僕は口を開いた。
「妖精ってどんななの?」
男の子は嬉しそうに笑った。
男の子は俺に説明を始めた。出会いは半年前、迷子になったところを助けてくれたんだとか。目が赤くて綺麗だったから暁にしたんだたとか。いつも一緒に居てくれる親友で家族で1番大切な人なんだとか。
「…ごめん」
嬉しそうに話すその姿を見て、僕は苦しくなってそう呟いた。
目を見て謝れない僕自身に嫌気がした。
「なんで?助けてくれたじゃん」
妖精も大きく頷いていた。
もしかしたら、この2人は僕のことが分かっていないのかもしれない。
前世、この2人が恋人関係にあったことは知っていた。
邪魔をしてはいけない。この2人が命に関わる何かが起きた時、僕が助けられるように傍に居ることを決めた。強くなることを決めた。
僕は妖精が見えることは秘密にすることにした。2人の関係に僕が入っていい訳がない。
でもいつか、僕の我儘になるけれど、どうか僕の話を聞いてくれ。
必ず謝らせてくれ。
どうか、どうか。
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