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第1章
第23話 結果
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旭と蒼は学校へ向かった。
職員室前にて、深呼吸をし気持ちを落ち着かせる3人。
「だ、だ、だ、大丈夫だぞ」
「落ち着いて、暁」
当事者の2人より慌ててる暁の姿を見て、何故か気持ちが落ち着いた旭と蒼。
「ありがとね、暁」
蒼は暁の頭をポンっと叩き、職員室のドアを開ける。
「失礼します」
職員室には、校長先生、高槻先生、小林先生、山田先生、金城先生が居た。
ピリっとした空間に緊張しながらも中に入る。
すると、校長先生が言った。
「今回の件、仙道君が大事にはしたくないと言うことなので、2人には停学処分とし、次の学期からまた通ってもらうことになりました」
「えっ」
「何だ、嬉しくないのか?桐生」
「いや、退学だと思ってたから…」
蒼の声が震える。
「良かった、良かったな蒼」
そんな蒼にもらい泣きをする旭と暁。腕で目元を隠し、下を向き泣いてる蒼に抱きつく旭、そして蒼の頭の上で大泣きする暁。そして、廊下から「よっしゃー」というクラスメイトと仲の良い先輩達の声。
そんな姿に青春してるなと微笑みながら笑う先生達。
「さてと、もう1つお伝えしなければならないことがあります」
「なんですか?」
「実は、今回の一件で仙道君のお母様が仙道君をこの学校には通わせられないとのことで、転校が決まってしまいました」
「…うす」
正直、旭も蒼も暁もホッとした。
また、この後も顔を合わせるとなると、地獄でしかない。同じ部活でもあるし。
「それでな九条。お前この学校の部活動の最低人数って覚えてるか?」
「3人」
「そう。仙道が転校となると、九条と桐生の2人だけになる。つまり廃部だ」
「えっ」
「まあまあ、すぐにという話でもありません。救済処置と致しまして、新入生が入るまでは廃部にはしません。しかし、来年度からの新ルールで部活動の最低人数が代わります。3人だったのが5人となりますので、妖精部存続には最低3人見つけなければいけませんのでよろしくお願いします。話は以上です」
「最後に俺から、次やったら退学だからな、忘れるな」
「は、はい」
基本的にのほほんとした先生達ばかりで少し気が緩んでいたが、金城先生の圧によりまた緊迫した空間が戻ってきた。
そして逃げるように廊下に出る。
「し、失礼しました」
「失礼しましたー」
廊下に出ると、ずっと心配してくれて、一緒に喜んでくれたクラスメイトと先輩達が待っていてくれた。
「やったな!桐生、九条」
「このあと飯行こうぜ」
騒いでいると職員室から金城先生が。
「廊下で騒ぐな!!」
声が鳴り響く。
旭、蒼を初めとする生徒達はそそくさと学校を出ていった。
一方、職員室では。
「ありがとうございました」
高槻先生が頭を下げた。
今回の件、椿が大事にしたくないと言ったのは事実。転校すると言ったのも事実。だが、停学期間が短いのは高槻先生のおかげなのだ。校長先生や理事長先生に何度も何度も頭を下げた。そして、2人の普段の生活態度をあげ、どうにか次の学期から通うことを許可してもらった。
「良いんですよ。それにしても、あの2人は担任が高槻先生で良かったですね」
「俺の時はこんなに良い先生は居なかったですよ」
「ははは、あいつらは良いやつなんでね、たった3年の高校生活、楽しんでもらいたいですから」
一方、旭と蒼達はというと。
ハンカチが風に飛ばされ木に引っかかって困ってる女の子を助けていた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんたちがすぐに取ってあげるからね」
「うん!ありがとう」
蒼が優しく女の子に話しかけ、翠が下から右左を伝え、江田が木に登っていた。クラスメイトは下で江田とハンカチが落ちてきた場合に回収する係だ。
旭はクラスメイトの1人矢島と話していた。
「…悪かった、九条」
「ん?何が」
「4月の時、お前らが妖精部作ってる時に、仙道椿が妖精部に入るように手助けして」
「あー」
「お前はさ、すげぇ嫌そうにしてたじゃん」
「矢島、関係ないって」
「でも」
「俺が妖精部の部長だからな。あいつの入部届けを受け取ったのは俺で、俺があいつを妖精部に入れたの。だから矢島は関係ないからそんなことで謝んなって」
「そんなことって…」
「蒼も気にしてないって」
「けど…」
そんな話をしていると、江田がハンカチを取り、下に居る蒼に渡した。
「はい。もう飛ばされないようにね」
「うん!ありがとう、お兄ちゃんたち!!」
女の子は去っていった。
「蒼!!」
「何?」
「矢島が言いたいことあるんだって」
「何?矢島」
「ごめん!」
矢島が蒼に向かって頭を下げる。
「ごめんって、何について謝ってるの?」
「俺が仙道椿を妖精部に入るように促したから」
「いやいやいや、矢島関係ないじゃん」
「けど…」
「あの時は、もう1人誰か入れなきゃいけない状態だったし、皆もう部活入ってるのに旭が頑なに入れようとしないからむしろ助かったし、矢島が謝ることなんて一つもなくない?」
「……」
「椿…のことは確かに嫌なこと言われてカッとなって、殴って怪我させて転校させた。けどさ僕は体育祭とか結構楽しかったんだよね。部活対抗リレーの時に旭が転んで最下位になって椿が1位を取った。そしたら、半年間学食食べ放題だったし。誰も頼まない5000円の高級ランチ食べれたし、矢島があの時促してくれなかったら高級ランチ食べられなかったし、だから椿のこと、ありがとう」
「…そっか。分かった。うん。あれなー、めっちゃ美味そうだった。俺も一口貰えば良かったな」
「はは、今度頼みなよ」
「高いって」
その後、矢島の表情は明るくなり皆でマツクに行きハンバーガーを食べ、旭の飲み物が勝手に減っていく状況に怪奇現象だと騒ぎ、(暁が飲んでいたのだが)騒ぎまくった結果、店を追い出された一同だった。
また、学校で会う約束をして解散した。
職員室前にて、深呼吸をし気持ちを落ち着かせる3人。
「だ、だ、だ、大丈夫だぞ」
「落ち着いて、暁」
当事者の2人より慌ててる暁の姿を見て、何故か気持ちが落ち着いた旭と蒼。
「ありがとね、暁」
蒼は暁の頭をポンっと叩き、職員室のドアを開ける。
「失礼します」
職員室には、校長先生、高槻先生、小林先生、山田先生、金城先生が居た。
ピリっとした空間に緊張しながらも中に入る。
すると、校長先生が言った。
「今回の件、仙道君が大事にはしたくないと言うことなので、2人には停学処分とし、次の学期からまた通ってもらうことになりました」
「えっ」
「何だ、嬉しくないのか?桐生」
「いや、退学だと思ってたから…」
蒼の声が震える。
「良かった、良かったな蒼」
そんな蒼にもらい泣きをする旭と暁。腕で目元を隠し、下を向き泣いてる蒼に抱きつく旭、そして蒼の頭の上で大泣きする暁。そして、廊下から「よっしゃー」というクラスメイトと仲の良い先輩達の声。
そんな姿に青春してるなと微笑みながら笑う先生達。
「さてと、もう1つお伝えしなければならないことがあります」
「なんですか?」
「実は、今回の一件で仙道君のお母様が仙道君をこの学校には通わせられないとのことで、転校が決まってしまいました」
「…うす」
正直、旭も蒼も暁もホッとした。
また、この後も顔を合わせるとなると、地獄でしかない。同じ部活でもあるし。
「それでな九条。お前この学校の部活動の最低人数って覚えてるか?」
「3人」
「そう。仙道が転校となると、九条と桐生の2人だけになる。つまり廃部だ」
「えっ」
「まあまあ、すぐにという話でもありません。救済処置と致しまして、新入生が入るまでは廃部にはしません。しかし、来年度からの新ルールで部活動の最低人数が代わります。3人だったのが5人となりますので、妖精部存続には最低3人見つけなければいけませんのでよろしくお願いします。話は以上です」
「最後に俺から、次やったら退学だからな、忘れるな」
「は、はい」
基本的にのほほんとした先生達ばかりで少し気が緩んでいたが、金城先生の圧によりまた緊迫した空間が戻ってきた。
そして逃げるように廊下に出る。
「し、失礼しました」
「失礼しましたー」
廊下に出ると、ずっと心配してくれて、一緒に喜んでくれたクラスメイトと先輩達が待っていてくれた。
「やったな!桐生、九条」
「このあと飯行こうぜ」
騒いでいると職員室から金城先生が。
「廊下で騒ぐな!!」
声が鳴り響く。
旭、蒼を初めとする生徒達はそそくさと学校を出ていった。
一方、職員室では。
「ありがとうございました」
高槻先生が頭を下げた。
今回の件、椿が大事にしたくないと言ったのは事実。転校すると言ったのも事実。だが、停学期間が短いのは高槻先生のおかげなのだ。校長先生や理事長先生に何度も何度も頭を下げた。そして、2人の普段の生活態度をあげ、どうにか次の学期から通うことを許可してもらった。
「良いんですよ。それにしても、あの2人は担任が高槻先生で良かったですね」
「俺の時はこんなに良い先生は居なかったですよ」
「ははは、あいつらは良いやつなんでね、たった3年の高校生活、楽しんでもらいたいですから」
一方、旭と蒼達はというと。
ハンカチが風に飛ばされ木に引っかかって困ってる女の子を助けていた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんたちがすぐに取ってあげるからね」
「うん!ありがとう」
蒼が優しく女の子に話しかけ、翠が下から右左を伝え、江田が木に登っていた。クラスメイトは下で江田とハンカチが落ちてきた場合に回収する係だ。
旭はクラスメイトの1人矢島と話していた。
「…悪かった、九条」
「ん?何が」
「4月の時、お前らが妖精部作ってる時に、仙道椿が妖精部に入るように手助けして」
「あー」
「お前はさ、すげぇ嫌そうにしてたじゃん」
「矢島、関係ないって」
「でも」
「俺が妖精部の部長だからな。あいつの入部届けを受け取ったのは俺で、俺があいつを妖精部に入れたの。だから矢島は関係ないからそんなことで謝んなって」
「そんなことって…」
「蒼も気にしてないって」
「けど…」
そんな話をしていると、江田がハンカチを取り、下に居る蒼に渡した。
「はい。もう飛ばされないようにね」
「うん!ありがとう、お兄ちゃんたち!!」
女の子は去っていった。
「蒼!!」
「何?」
「矢島が言いたいことあるんだって」
「何?矢島」
「ごめん!」
矢島が蒼に向かって頭を下げる。
「ごめんって、何について謝ってるの?」
「俺が仙道椿を妖精部に入るように促したから」
「いやいやいや、矢島関係ないじゃん」
「けど…」
「あの時は、もう1人誰か入れなきゃいけない状態だったし、皆もう部活入ってるのに旭が頑なに入れようとしないからむしろ助かったし、矢島が謝ることなんて一つもなくない?」
「……」
「椿…のことは確かに嫌なこと言われてカッとなって、殴って怪我させて転校させた。けどさ僕は体育祭とか結構楽しかったんだよね。部活対抗リレーの時に旭が転んで最下位になって椿が1位を取った。そしたら、半年間学食食べ放題だったし。誰も頼まない5000円の高級ランチ食べれたし、矢島があの時促してくれなかったら高級ランチ食べられなかったし、だから椿のこと、ありがとう」
「…そっか。分かった。うん。あれなー、めっちゃ美味そうだった。俺も一口貰えば良かったな」
「はは、今度頼みなよ」
「高いって」
その後、矢島の表情は明るくなり皆でマツクに行きハンバーガーを食べ、旭の飲み物が勝手に減っていく状況に怪奇現象だと騒ぎ、(暁が飲んでいたのだが)騒ぎまくった結果、店を追い出された一同だった。
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