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第2章
第33話 部活存続危機
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妖精部に新入部員、朱音と康太が入った。だが、あと1人が見つからない。
仮入部期間は4月30日まで。今日は4月25日。もうほとんどの生徒は部活に入部していて、これから人が入るかと言われると絶望的状態。
「旭くんのせいじゃん!!」
「お前旭さんになんて口を聞きやがる!!」
「はぁ!?旭くんがあんな変な部活紹介したからこんなことになってんじゃん」
「つうかお前なんなんだよ。旭さんに無礼な態度取りやがって」
「旭くんとお兄ちゃんは親友で小さい頃から家族ぐるみで遊ぶなかです~」
「なっ!?…旭さんの小さい頃だと」
席に座って悩んでいる旭の目の前で言い争いをする朱音と康太。
「お前ら少し黙れ!!」
部屋が静まり返る。
「で、どうすんの?どうすればいいの?」
朱音は普段蒼が座っている旭の横の席に座った。
冷静に話し始める朱音を見て康太も席に着き話を聞く。
「……とりあえず、片っ端から声をかける」
「了解っす!!」
そういうと、旭と康太は外に出て行った。
「ばっかじゃない?こういう時はお兄ちゃんに電話して対策を聞いた方がいいって」
朱音は蒼に電話する。
「あ、もしもしお兄ちゃん?」
「どうしたの?」
「あのねあのね、本当は心配かけたくなくて言ってなかったんだけど」
朱音は妖精部の新入部員が見つからず廃部危機のことを話し始めた。
「そんなことより朱音、妖精部入ったの?」
「うん!」
「でも朱音ダンス部に入りたいって言ってなかった?」
「そんなこと、言ったっけ?」
「言ってた。廃部危機だから入るとか止めてね。朱音は朱音のやりたいことやりな」
「…うん」
本当はダンス部に入る予定で高校を選んだ。けど、大好きな大好きな兄の部活を廃部にしたくなく、人数合わせに入部した妖精部。
蒼は朱音の気持ちを汲み取り話をしていくうちに朱音の目には涙が溜まっていた。
蒼と朱音が電話している途中、廊下から足音が聞こえてきた。
「おい朱音!お前の女のお色気パワーで男子生徒を獲得しろ」
人が捕まらなすぎてパニックになった旭が叫ぶ。だが、丁度この時、お兄ちゃんと電話中。
「朱音、旭に変わって」
朱音が携帯電話を旭に渡す。
「ん?誰だ?」
朱音から渡された携帯電話を耳に近づける。
「旭さ、朱音に何やらせようとしてんの」
「そ、蒼?」
旭の顔がサーっと青くなる。
その後蒼から大説教を受けた旭。
そして、朱音が旭に本心を打ち明けた。
「旭くん。…本当はね、ダンス部に入りたいの」
「あー」
「この学校のダンス部って強いのはもちろんなんだけど、カッコよくて憧れで、それで…」
「だろうな」
「え?」
「中学でもダンス部入ってたじゃん。毎日朝から晩までやってたし。お前の入部届けまだ受け取ってねえから」
「は!?」
「だから早く行けよ」
「…ありがとう」
「おー」
「でね、相談なんだけど」
「相談?」
「兼部ってダメなのかな?」
旭と朱音は妖精部の顧問山田先生とダンス部の顧問高槻先生に聞きに行く。
「ダメだ。そんな生徒今まで居なかった」
「どっちの部にも迷惑はかけません!!」
「そういう問題じゃねぇんだ!」
先生と言い争っていると、校長先生が来た。
「どうかしましたか?」
「兼部ってダメなんですか!?」
「基本的にはダメですね」
「…そう、ですか」
「ちなみに何部を兼部したいのですか?」
「ダンス部と妖精部です!」
「九条君、新入生は何人入りましたか?」
「まだ、1人です」
「では特別に許可してあげましょう」
「校長先生!?」
「妖精部は昨年色々大変でしたし、今も新入生獲得のために1人で頑張っています。許可してあげましょう。でも、いいですか?ちゃんとどちらの部も全力で取り組み、勉強も疎かにしてはいけませんよ」
「はい!!」
校長先生が許可してくれて、朱音は嬉しそうに返事をした。
「じゃあ旭くん、あと1人!早く見つけよう!!」
「おう!」
「あれ?お前ら知り合い?」
高槻先生が二人の関係性を聞いてきた。
「あー、蒼の妹っす」
「桐生の!?桐生家、1学年に1人居るのか」
「そーなりますよね」
そして、また2人は部員探しに行く。
一旦部室に戻ると、そこには康太とまた1人男子生徒が居た。
「え、誰?」
「入部希望者っす!!」
「マジで!?」
「この学校絶対に部活入らないといけないってルール知らなくて、そんな活動してないとこはここしか無かったので…」
部活紹介の時に翠があんなに言ったのに聞いてないやつは聞いてなかった。
「それで、入部してもいいですか?」
「大歓迎だ!!」
廃部危機は無くなった。全員その場で大喜びだ。旭と朱音はほぼ同時に蒼に電話をかけ朱音からの電話に蒼は出た。
「もしも…」
「蒼!部員3人入ったぞ!!これで廃部にはならねえ!やった、やったぞ」
「ふふっ」
朱音がかけたが部活存続が決定し朱音の携帯電話を奪い取り、旭は蒼に報告する。
あまりにも嬉しそうにする旭に蒼は笑いがこぼれた。
「お前、名前は!?」
「兎田近衛です」
「よろしくな、近衛」
「よろしくお願いします」
「あ!私のことも朱音って呼んでよ。そっちの方が仲間っぽいじゃん!」
「おう!」
仮入部期間は4月30日まで。今日は4月25日。もうほとんどの生徒は部活に入部していて、これから人が入るかと言われると絶望的状態。
「旭くんのせいじゃん!!」
「お前旭さんになんて口を聞きやがる!!」
「はぁ!?旭くんがあんな変な部活紹介したからこんなことになってんじゃん」
「つうかお前なんなんだよ。旭さんに無礼な態度取りやがって」
「旭くんとお兄ちゃんは親友で小さい頃から家族ぐるみで遊ぶなかです~」
「なっ!?…旭さんの小さい頃だと」
席に座って悩んでいる旭の目の前で言い争いをする朱音と康太。
「お前ら少し黙れ!!」
部屋が静まり返る。
「で、どうすんの?どうすればいいの?」
朱音は普段蒼が座っている旭の横の席に座った。
冷静に話し始める朱音を見て康太も席に着き話を聞く。
「……とりあえず、片っ端から声をかける」
「了解っす!!」
そういうと、旭と康太は外に出て行った。
「ばっかじゃない?こういう時はお兄ちゃんに電話して対策を聞いた方がいいって」
朱音は蒼に電話する。
「あ、もしもしお兄ちゃん?」
「どうしたの?」
「あのねあのね、本当は心配かけたくなくて言ってなかったんだけど」
朱音は妖精部の新入部員が見つからず廃部危機のことを話し始めた。
「そんなことより朱音、妖精部入ったの?」
「うん!」
「でも朱音ダンス部に入りたいって言ってなかった?」
「そんなこと、言ったっけ?」
「言ってた。廃部危機だから入るとか止めてね。朱音は朱音のやりたいことやりな」
「…うん」
本当はダンス部に入る予定で高校を選んだ。けど、大好きな大好きな兄の部活を廃部にしたくなく、人数合わせに入部した妖精部。
蒼は朱音の気持ちを汲み取り話をしていくうちに朱音の目には涙が溜まっていた。
蒼と朱音が電話している途中、廊下から足音が聞こえてきた。
「おい朱音!お前の女のお色気パワーで男子生徒を獲得しろ」
人が捕まらなすぎてパニックになった旭が叫ぶ。だが、丁度この時、お兄ちゃんと電話中。
「朱音、旭に変わって」
朱音が携帯電話を旭に渡す。
「ん?誰だ?」
朱音から渡された携帯電話を耳に近づける。
「旭さ、朱音に何やらせようとしてんの」
「そ、蒼?」
旭の顔がサーっと青くなる。
その後蒼から大説教を受けた旭。
そして、朱音が旭に本心を打ち明けた。
「旭くん。…本当はね、ダンス部に入りたいの」
「あー」
「この学校のダンス部って強いのはもちろんなんだけど、カッコよくて憧れで、それで…」
「だろうな」
「え?」
「中学でもダンス部入ってたじゃん。毎日朝から晩までやってたし。お前の入部届けまだ受け取ってねえから」
「は!?」
「だから早く行けよ」
「…ありがとう」
「おー」
「でね、相談なんだけど」
「相談?」
「兼部ってダメなのかな?」
旭と朱音は妖精部の顧問山田先生とダンス部の顧問高槻先生に聞きに行く。
「ダメだ。そんな生徒今まで居なかった」
「どっちの部にも迷惑はかけません!!」
「そういう問題じゃねぇんだ!」
先生と言い争っていると、校長先生が来た。
「どうかしましたか?」
「兼部ってダメなんですか!?」
「基本的にはダメですね」
「…そう、ですか」
「ちなみに何部を兼部したいのですか?」
「ダンス部と妖精部です!」
「九条君、新入生は何人入りましたか?」
「まだ、1人です」
「では特別に許可してあげましょう」
「校長先生!?」
「妖精部は昨年色々大変でしたし、今も新入生獲得のために1人で頑張っています。許可してあげましょう。でも、いいですか?ちゃんとどちらの部も全力で取り組み、勉強も疎かにしてはいけませんよ」
「はい!!」
校長先生が許可してくれて、朱音は嬉しそうに返事をした。
「じゃあ旭くん、あと1人!早く見つけよう!!」
「おう!」
「あれ?お前ら知り合い?」
高槻先生が二人の関係性を聞いてきた。
「あー、蒼の妹っす」
「桐生の!?桐生家、1学年に1人居るのか」
「そーなりますよね」
そして、また2人は部員探しに行く。
一旦部室に戻ると、そこには康太とまた1人男子生徒が居た。
「え、誰?」
「入部希望者っす!!」
「マジで!?」
「この学校絶対に部活入らないといけないってルール知らなくて、そんな活動してないとこはここしか無かったので…」
部活紹介の時に翠があんなに言ったのに聞いてないやつは聞いてなかった。
「それで、入部してもいいですか?」
「大歓迎だ!!」
廃部危機は無くなった。全員その場で大喜びだ。旭と朱音はほぼ同時に蒼に電話をかけ朱音からの電話に蒼は出た。
「もしも…」
「蒼!部員3人入ったぞ!!これで廃部にはならねえ!やった、やったぞ」
「ふふっ」
朱音がかけたが部活存続が決定し朱音の携帯電話を奪い取り、旭は蒼に報告する。
あまりにも嬉しそうにする旭に蒼は笑いがこぼれた。
「お前、名前は!?」
「兎田近衛です」
「よろしくな、近衛」
「よろしくお願いします」
「あ!私のことも朱音って呼んでよ。そっちの方が仲間っぽいじゃん!」
「おう!」
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