愛しの君へ

秋霧ゆう

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第2章

第34話 存続決定

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 近衛はその場で入届けを書き、旭に渡した。

「それじゃあバイトなんで帰ります。お疲れ様でした」

 そう言うと、近衛は帰って行った。

「旭さん!さっさとこれ顧問に渡して飯行きましょ!」
「あたしも行きたーい」
「ダンス部は?」
「あー、忘れてた…」
「ダンス部って?」
「あー、朱音はダンス部と妖精部を兼部することになったんだ」
「兼部ってありなんすか?」
「康太もやっぱ宇宙人交信部に入りたかったか?」
「だから俺は旭さんと会えたから目的は達成されたんすよ!俺が旭さんのこと独占出来る時間が増えると思うと嬉しくて」

 顔の筋肉が緩みニヤニヤしている康太に対し本気で引いている旭と暁も朱音。

「な、なんすか!その顔」
「いや、なんでもねぇ」
「それじゃあ行きましょ!旭さん。じゃあな、桐生」
「むー」

 一緒にご飯に行きたかったが、兼部を許してもらい全部全力で頑張ると決めたばかりの朱音は休む訳には行かずダンス部の練習場の体育館に向かった。何より、他のダンス部メンバーは既にチームを組んでるかもしれないし、ダンス部は強豪なので実力が離されてるかもしれない。旭、暁、康太と別れた朱音は走って体育館へ向かった。

「どこ行きますか?旭さん!」
「マツク」
「良いっすね!!」

 旭、暁、康太はマツクへと向かった。
 するとそこには、江田が居た。

「あれ?江田ぱいせん?」
「おおー、九条かー。久しぶりだな」
「お久しぶりっす」

 旭と江田が楽しそうに話す姿を見て嫉妬する康太。
 康太は旭の腕を掴み、話しに割り混む。

「旭さ~ん。この人誰っすか?」

 康太は江田に対し睨みながら旭の腕をギュッと掴む。

「離れろ」
「嫌っす」
「はぁ。江田ぱいせんはただの先輩だ」
「でも妖精部って旭さんが作ったんすよね?無関係じゃないすか」
「江田ぱいせんは元吹奏楽部部長で部長会議で世話になったり、蒼のことで世話になったり色々あったんだよ」
「そっすか…」
「だーから離れろって」
「っす…」

 康太は不満そうに旭から離れた。
 その光景を微笑ましく江田は見ていた。

「妖精部の後輩か?」
「それだけじゃないっすけど」
「そうか」

 江田は深くは聞こうとしなかった。

「気にならないすか?」
「別に」
「ふーん」
「それより桐生はどうなった?」
「蒼は……」

 旭の表情が暗くなり、拳に力が入る姿を見て江田は察した。

「そうか。それは…」

 江田が言葉に詰まっていると、旭が言った。

「蒼は、まだ退院出来てなくて…」
「………は?」
「いやだから、目は覚ましたんすけどなかなか退院の許可が降りないらしくて」

 笑いながら江田に話した。すると、大きく拳を振り上げ、旭の頭に拳骨した。

「痛っ」
「何してるんすか!!」
「ざけんな!!…良かった、良かったな」

 旭の冗談に怒りを見せたあと、下を向き泣き出した。

「すんません」
「旭さんが謝る必要ないっすよね?こいつ旭さんを傷つけやがって」
「黙れ康太。俺が悪かったんだ」

 その後、お詫びも兼ねて、旭は江田に生姜焼き味のシェイクを奢った。

「それで、本当に無事なんだろうな」
「うす、来週退院で」
「そうか」
「退院の日お前は迎えに行くのか?」
「その予定っすね」
「じゃあ俺も行く」
「えっ?」
「行っちゃ悪ぃのか?」
「そんなことはないけど、大学は?」
「多少休んでも平気だろ」
「ぱいせんが良いなら行きますか」
「小鳥遊も誘うか」
「そういや、小鳥遊ぱいせんは今何してるんすか?」
「浪人生してる」
「あー、そうなんすね」
「あいつ、試験で解答欄ズレてることに残り3分で気づいて絶望してたな」
「うわ、それはキツイっすね」

 旭と江田が楽しそうに話す姿に自分だけ疎外感を感じ旭に近づく康太。
 あからさまな態度に江田も仕方なく話しかける。普段ならば絶対に話しかけはしないタイプではあるが、話しかけた。

「そういえば自己紹介してなかったな。元吹奏楽部部長の江田だ。お前は?」
「…妖精部1年、三月康太」
「そうか、よろしくな三月」

 江田に目を合わせようとしない康太に思わずため息が出る旭。

「さーせん」
「別にいいよ。それじゃあ俺これからバイトだから。桐生の迎えの時間とかメールしてくれ」
「うす」
「じゃあな」
「はい」

 江田はマツクを出ていった。

「康太」
「はい!」

 江田が出ていき、やっと2人になれることに嬉しそうに返事をする。

「いいか康太。さっきも言った通り、あの人は俺が世話になった人だ。前世で言うところの、そうだな、隊長みたいな」
「…はい」
「俺より身分が上の人だ」
「…はい」
「だから次会った時はあんな素っ気ない態度はとるな」
「けど」
「命令だ。良いな?」
「…はい」

 嫌々そうではあるが次はちゃんと話すと約束させた旭。
 前世の時から康太は変わらずこういう態度だった。
 旭のことを尊敬し、大好きすぎるが故に他の周りを貶すような態度をしていた。
 これからどうなることやらと少し心配する旭であった。
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