39 / 62
第2章
第34話 存続決定
しおりを挟む
近衛はその場で入届けを書き、旭に渡した。
「それじゃあバイトなんで帰ります。お疲れ様でした」
そう言うと、近衛は帰って行った。
「旭さん!さっさとこれ顧問に渡して飯行きましょ!」
「あたしも行きたーい」
「ダンス部は?」
「あー、忘れてた…」
「ダンス部って?」
「あー、朱音はダンス部と妖精部を兼部することになったんだ」
「兼部ってありなんすか?」
「康太もやっぱ宇宙人交信部に入りたかったか?」
「だから俺は旭さんと会えたから目的は達成されたんすよ!俺が旭さんのこと独占出来る時間が増えると思うと嬉しくて」
顔の筋肉が緩みニヤニヤしている康太に対し本気で引いている旭と暁も朱音。
「な、なんすか!その顔」
「いや、なんでもねぇ」
「それじゃあ行きましょ!旭さん。じゃあな、桐生」
「むー」
一緒にご飯に行きたかったが、兼部を許してもらい全部全力で頑張ると決めたばかりの朱音は休む訳には行かずダンス部の練習場の体育館に向かった。何より、他のダンス部メンバーは既にチームを組んでるかもしれないし、ダンス部は強豪なので実力が離されてるかもしれない。旭、暁、康太と別れた朱音は走って体育館へ向かった。
「どこ行きますか?旭さん!」
「マツク」
「良いっすね!!」
旭、暁、康太はマツクへと向かった。
するとそこには、江田が居た。
「あれ?江田ぱいせん?」
「おおー、九条かー。久しぶりだな」
「お久しぶりっす」
旭と江田が楽しそうに話す姿を見て嫉妬する康太。
康太は旭の腕を掴み、話しに割り混む。
「旭さ~ん。この人誰っすか?」
康太は江田に対し睨みながら旭の腕をギュッと掴む。
「離れろ」
「嫌っす」
「はぁ。江田ぱいせんはただの先輩だ」
「でも妖精部って旭さんが作ったんすよね?無関係じゃないすか」
「江田ぱいせんは元吹奏楽部部長で部長会議で世話になったり、蒼のことで世話になったり色々あったんだよ」
「そっすか…」
「だーから離れろって」
「っす…」
康太は不満そうに旭から離れた。
その光景を微笑ましく江田は見ていた。
「妖精部の後輩か?」
「それだけじゃないっすけど」
「そうか」
江田は深くは聞こうとしなかった。
「気にならないすか?」
「別に」
「ふーん」
「それより桐生はどうなった?」
「蒼は……」
旭の表情が暗くなり、拳に力が入る姿を見て江田は察した。
「そうか。それは…」
江田が言葉に詰まっていると、旭が言った。
「蒼は、まだ退院出来てなくて…」
「………は?」
「いやだから、目は覚ましたんすけどなかなか退院の許可が降りないらしくて」
笑いながら江田に話した。すると、大きく拳を振り上げ、旭の頭に拳骨した。
「痛っ」
「何してるんすか!!」
「ざけんな!!…良かった、良かったな」
旭の冗談に怒りを見せたあと、下を向き泣き出した。
「すんません」
「旭さんが謝る必要ないっすよね?こいつ旭さんを傷つけやがって」
「黙れ康太。俺が悪かったんだ」
その後、お詫びも兼ねて、旭は江田に生姜焼き味のシェイクを奢った。
「それで、本当に無事なんだろうな」
「うす、来週退院で」
「そうか」
「退院の日お前は迎えに行くのか?」
「その予定っすね」
「じゃあ俺も行く」
「えっ?」
「行っちゃ悪ぃのか?」
「そんなことはないけど、大学は?」
「多少休んでも平気だろ」
「ぱいせんが良いなら行きますか」
「小鳥遊も誘うか」
「そういや、小鳥遊ぱいせんは今何してるんすか?」
「浪人生してる」
「あー、そうなんすね」
「あいつ、試験で解答欄ズレてることに残り3分で気づいて絶望してたな」
「うわ、それはキツイっすね」
旭と江田が楽しそうに話す姿に自分だけ疎外感を感じ旭に近づく康太。
あからさまな態度に江田も仕方なく話しかける。普段ならば絶対に話しかけはしないタイプではあるが、話しかけた。
「そういえば自己紹介してなかったな。元吹奏楽部部長の江田だ。お前は?」
「…妖精部1年、三月康太」
「そうか、よろしくな三月」
江田に目を合わせようとしない康太に思わずため息が出る旭。
「さーせん」
「別にいいよ。それじゃあ俺これからバイトだから。桐生の迎えの時間とかメールしてくれ」
「うす」
「じゃあな」
「はい」
江田はマツクを出ていった。
「康太」
「はい!」
江田が出ていき、やっと2人になれることに嬉しそうに返事をする。
「いいか康太。さっきも言った通り、あの人は俺が世話になった人だ。前世で言うところの、そうだな、隊長みたいな」
「…はい」
「俺より身分が上の人だ」
「…はい」
「だから次会った時はあんな素っ気ない態度はとるな」
「けど」
「命令だ。良いな?」
「…はい」
嫌々そうではあるが次はちゃんと話すと約束させた旭。
前世の時から康太は変わらずこういう態度だった。
旭のことを尊敬し、大好きすぎるが故に他の周りを貶すような態度をしていた。
これからどうなることやらと少し心配する旭であった。
「それじゃあバイトなんで帰ります。お疲れ様でした」
そう言うと、近衛は帰って行った。
「旭さん!さっさとこれ顧問に渡して飯行きましょ!」
「あたしも行きたーい」
「ダンス部は?」
「あー、忘れてた…」
「ダンス部って?」
「あー、朱音はダンス部と妖精部を兼部することになったんだ」
「兼部ってありなんすか?」
「康太もやっぱ宇宙人交信部に入りたかったか?」
「だから俺は旭さんと会えたから目的は達成されたんすよ!俺が旭さんのこと独占出来る時間が増えると思うと嬉しくて」
顔の筋肉が緩みニヤニヤしている康太に対し本気で引いている旭と暁も朱音。
「な、なんすか!その顔」
「いや、なんでもねぇ」
「それじゃあ行きましょ!旭さん。じゃあな、桐生」
「むー」
一緒にご飯に行きたかったが、兼部を許してもらい全部全力で頑張ると決めたばかりの朱音は休む訳には行かずダンス部の練習場の体育館に向かった。何より、他のダンス部メンバーは既にチームを組んでるかもしれないし、ダンス部は強豪なので実力が離されてるかもしれない。旭、暁、康太と別れた朱音は走って体育館へ向かった。
「どこ行きますか?旭さん!」
「マツク」
「良いっすね!!」
旭、暁、康太はマツクへと向かった。
するとそこには、江田が居た。
「あれ?江田ぱいせん?」
「おおー、九条かー。久しぶりだな」
「お久しぶりっす」
旭と江田が楽しそうに話す姿を見て嫉妬する康太。
康太は旭の腕を掴み、話しに割り混む。
「旭さ~ん。この人誰っすか?」
康太は江田に対し睨みながら旭の腕をギュッと掴む。
「離れろ」
「嫌っす」
「はぁ。江田ぱいせんはただの先輩だ」
「でも妖精部って旭さんが作ったんすよね?無関係じゃないすか」
「江田ぱいせんは元吹奏楽部部長で部長会議で世話になったり、蒼のことで世話になったり色々あったんだよ」
「そっすか…」
「だーから離れろって」
「っす…」
康太は不満そうに旭から離れた。
その光景を微笑ましく江田は見ていた。
「妖精部の後輩か?」
「それだけじゃないっすけど」
「そうか」
江田は深くは聞こうとしなかった。
「気にならないすか?」
「別に」
「ふーん」
「それより桐生はどうなった?」
「蒼は……」
旭の表情が暗くなり、拳に力が入る姿を見て江田は察した。
「そうか。それは…」
江田が言葉に詰まっていると、旭が言った。
「蒼は、まだ退院出来てなくて…」
「………は?」
「いやだから、目は覚ましたんすけどなかなか退院の許可が降りないらしくて」
笑いながら江田に話した。すると、大きく拳を振り上げ、旭の頭に拳骨した。
「痛っ」
「何してるんすか!!」
「ざけんな!!…良かった、良かったな」
旭の冗談に怒りを見せたあと、下を向き泣き出した。
「すんません」
「旭さんが謝る必要ないっすよね?こいつ旭さんを傷つけやがって」
「黙れ康太。俺が悪かったんだ」
その後、お詫びも兼ねて、旭は江田に生姜焼き味のシェイクを奢った。
「それで、本当に無事なんだろうな」
「うす、来週退院で」
「そうか」
「退院の日お前は迎えに行くのか?」
「その予定っすね」
「じゃあ俺も行く」
「えっ?」
「行っちゃ悪ぃのか?」
「そんなことはないけど、大学は?」
「多少休んでも平気だろ」
「ぱいせんが良いなら行きますか」
「小鳥遊も誘うか」
「そういや、小鳥遊ぱいせんは今何してるんすか?」
「浪人生してる」
「あー、そうなんすね」
「あいつ、試験で解答欄ズレてることに残り3分で気づいて絶望してたな」
「うわ、それはキツイっすね」
旭と江田が楽しそうに話す姿に自分だけ疎外感を感じ旭に近づく康太。
あからさまな態度に江田も仕方なく話しかける。普段ならば絶対に話しかけはしないタイプではあるが、話しかけた。
「そういえば自己紹介してなかったな。元吹奏楽部部長の江田だ。お前は?」
「…妖精部1年、三月康太」
「そうか、よろしくな三月」
江田に目を合わせようとしない康太に思わずため息が出る旭。
「さーせん」
「別にいいよ。それじゃあ俺これからバイトだから。桐生の迎えの時間とかメールしてくれ」
「うす」
「じゃあな」
「はい」
江田はマツクを出ていった。
「康太」
「はい!」
江田が出ていき、やっと2人になれることに嬉しそうに返事をする。
「いいか康太。さっきも言った通り、あの人は俺が世話になった人だ。前世で言うところの、そうだな、隊長みたいな」
「…はい」
「俺より身分が上の人だ」
「…はい」
「だから次会った時はあんな素っ気ない態度はとるな」
「けど」
「命令だ。良いな?」
「…はい」
嫌々そうではあるが次はちゃんと話すと約束させた旭。
前世の時から康太は変わらずこういう態度だった。
旭のことを尊敬し、大好きすぎるが故に他の周りを貶すような態度をしていた。
これからどうなることやらと少し心配する旭であった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる