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第2章
第40話 夏休み・誕生日
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あっという間に過ぎていった海の家バイト。残り1週間になった。
「僕8月3日はどっか行こうか?」
「え?何で?」
「何でって。水の3日。まさか覚えてないの?」
「水の…。あっ!!!」
「はぁ。本当に恋人だったの?」
「当たり前だろ!」
「てか、何で知ってんだよ」
「僕兵士だったけど、諜報員の仕事もしてたんだよ?知らなかった?」
「知らねえーよ」
前世では、1月を月、2月を土、3月を花、4月を風、5月を木、6月を火、7月を太陽、8月を水、9月を雷、10月を氷、11月を光、12月を星、と呼んでいた。
つまり、水の3日は8月3日となり、暁、前世のロスの誕生日だ。
「旭さ」
「ん?」
「昨年、暁にした仕打ち覚えてる?」
「仕打ち?あ…」
昨年、暁にした仕打ち…。
小さな女子大生にメロメロになり、恋人の前で恋を見守ってとお願いし、恋人を1人にさせた。
「まぁ、僕が言えたギリじゃないんだけどね」
「いやそうだろ!1番追い詰めたのお前じゃん!!」
「うん…」
「いや、悪ぃ。俺が暁の傍から離れたのが行けなかったわ」
気まずい空気が流れる。
「うし!今年は思い出いっぱいにしてやる!!」
「うん。じゃあ僕はどうしようか」
「一緒に祝えば良いじゃん」
「嫌だよ。記憶思い出して初めての誕生日だよ」
「それもそうか…」
そして、旭は暁の誕生日会を計画しつつ、蒼はどこに行こうか迷いつつ、残りの海の家のバイトを終わらせた。
8月2日。夕方。
「今年もお疲れ様!!来年も頼むよ!!!」
「はは」
「ばあちゃん、先輩達、来年は受験生だから無理だと思うよ」
「いや、やります!!な!?」
「うん。せっかくだし」
「すみません。大変だったら大丈夫なんで」
「なんでそんなこと言うんだい。私の癒しを奪うんじゃない!!!」
松代さんと近衛が言い合いを始めているとじじいが横から話しかけてきた。
「明後日のお祭りは行くんだろう?」
「はい、由香里さんが今年も声をかけてくれて」
「そうかい。それじゃあ、近衛も連れてってくれんか?」
「じいちゃん!?」
「良いっすよ」
「九条先輩!?」
「それは良い」
「ばあちゃんも」
「だってあんた友達居ないだろ」
「そ、それは…。別に祭り行かなくても死なないし」
「じゃあ、明後日の18時にここ集合な」
「ちょっ、九条先輩」
旭、暁、蒼は言うだけ言ってアパートに帰って行った。
夜。
暁が就寝し、旭と蒼がヒソヒソ声で話す。
「本当にいいのか?」
「良いよ、昨年迷惑かけたお礼」
「けど」
「僕は朝から出かけるから2人の時間を過ごして」
「お、おう」
「旭もきっと朝から忙しくなるんだし早く寝なよ。おやすみ」
「あ、ありがとな。蒼」
その言葉に蒼は少し微笑んで眠りについた。
運命の8月3日。
「あれ?蒼は?」
朝、目が覚めた暁。
「暁」
「ん?」
「いや、ロス。誕生日おめでとう」
まだ眠たげにしていた暁だったが、すぐに目が覚め、目をキラキラさせて旭の顔の前に飛んだ。
「覚えててくれたんだ」
「わ、忘れる訳ないだろ!!!」
「なんか必死だな~。でも、ありがとう」
「おう!そんでな、今日は俺と暁でデートしようぜ!!」
「デート!?行くー!!」
「今日はデートプランをしっかり組んだぜ」
「あはは、楽しみ」
そういうと、すぐに家を出た。
まず、1番最初に向かったのは水族館。
「あ、旭が水族館?」
「悪いか」
「いや、旭のことだから。前世の記憶通りならやることは1つだけ。ホテルに行くのかと思った」
「お前な~」
「だって僕の誕生日もギルの誕生日もやることは基本的に…」
「だぁー、もう!!前世と今世を一緒にするな!!!確かに俺は性欲モリモリな健全な男子高校生だけど、今年は昨年の詫びも兼ねて、ただ普通に過ごしたいんだよ」
「旭…。皆から見られてるけど大丈夫?」
「え?」
ここは水族館。
暁が見えるのは旭と蒼だけ。周りから見ると、旭が急に叫びだし、性欲モリモリな健全な男子高校生を大声で言ったことになる。
周りからクスクスと笑わられていることが分かり、旭は顔を隠し逃げるように水族館の中へ入る。
「すげぇな」
「だね。あ、あれ!」
「ん?」
「でっかい蟹!!」
「美味そう」
「旭、ここでそういうのは冷める」
「す、すまん」
「蟹といえば、僕らが初めて会った日のこと思い出すね」
「ああ。あれか…」
「先輩が召喚した大きな蟹でコロッセオがパンパンになっちゃって、あげくの果てにコントロールを失っちゃってギルとレイが捕まっちゃってさ」
「そんで、最終的にロスがコロッセオに大量の水を出して、火の魔法で茹でたんだよな」
「そうそう。それで、魔法士も剣士も大笑いで仲良くなって、皆で大きな蟹を食べて、楽しかったな~」
「だな」
前世のことを思い出しながら水族館を回った。
途中、ところどころで「健全な男子高校生(笑)」とか「性欲モリモリな男子高校生(笑)」とか聞こえてきて恥ずかしい思いをするも暁が笑っていたから良しとする旭だった。
水族館を出て、昼は食べ歩きデートをした。
2人で食べるから少し多めに買う旭。周りから見ると、あの人めっちゃ大食いって感じになる。
夜は海に行った。
「ここでの生活も明日で終わりか~。今年も楽しかったね、旭」
「ああ」
「また来年も楽しみだね!」
「だな」
そんな話をしていると後ろから声をかけられた。
「何してるんだい!!」
振り向くと松代さんがいた。
「松代さん!?松代さんこそなんでここに」
「私はじじいの忘れ物を取りに来た。あんたらまた喧嘩してんのかい!!!」
「違いますよ!今日は俺の恋人の誕生日だから蒼は気を使ってくれたんです」
「そうかい。喧嘩してないなら良かったよ。あんたはまだここに残るのかい?」
「そっすね、もう少し」
「じゃあ、戸締り頼んだよ」
「え!?」
松代さんはそういうとすぐさま家に帰って行った。
「ははは」
「あの人、凄いね」
「だな」
「僕8月3日はどっか行こうか?」
「え?何で?」
「何でって。水の3日。まさか覚えてないの?」
「水の…。あっ!!!」
「はぁ。本当に恋人だったの?」
「当たり前だろ!」
「てか、何で知ってんだよ」
「僕兵士だったけど、諜報員の仕事もしてたんだよ?知らなかった?」
「知らねえーよ」
前世では、1月を月、2月を土、3月を花、4月を風、5月を木、6月を火、7月を太陽、8月を水、9月を雷、10月を氷、11月を光、12月を星、と呼んでいた。
つまり、水の3日は8月3日となり、暁、前世のロスの誕生日だ。
「旭さ」
「ん?」
「昨年、暁にした仕打ち覚えてる?」
「仕打ち?あ…」
昨年、暁にした仕打ち…。
小さな女子大生にメロメロになり、恋人の前で恋を見守ってとお願いし、恋人を1人にさせた。
「まぁ、僕が言えたギリじゃないんだけどね」
「いやそうだろ!1番追い詰めたのお前じゃん!!」
「うん…」
「いや、悪ぃ。俺が暁の傍から離れたのが行けなかったわ」
気まずい空気が流れる。
「うし!今年は思い出いっぱいにしてやる!!」
「うん。じゃあ僕はどうしようか」
「一緒に祝えば良いじゃん」
「嫌だよ。記憶思い出して初めての誕生日だよ」
「それもそうか…」
そして、旭は暁の誕生日会を計画しつつ、蒼はどこに行こうか迷いつつ、残りの海の家のバイトを終わらせた。
8月2日。夕方。
「今年もお疲れ様!!来年も頼むよ!!!」
「はは」
「ばあちゃん、先輩達、来年は受験生だから無理だと思うよ」
「いや、やります!!な!?」
「うん。せっかくだし」
「すみません。大変だったら大丈夫なんで」
「なんでそんなこと言うんだい。私の癒しを奪うんじゃない!!!」
松代さんと近衛が言い合いを始めているとじじいが横から話しかけてきた。
「明後日のお祭りは行くんだろう?」
「はい、由香里さんが今年も声をかけてくれて」
「そうかい。それじゃあ、近衛も連れてってくれんか?」
「じいちゃん!?」
「良いっすよ」
「九条先輩!?」
「それは良い」
「ばあちゃんも」
「だってあんた友達居ないだろ」
「そ、それは…。別に祭り行かなくても死なないし」
「じゃあ、明後日の18時にここ集合な」
「ちょっ、九条先輩」
旭、暁、蒼は言うだけ言ってアパートに帰って行った。
夜。
暁が就寝し、旭と蒼がヒソヒソ声で話す。
「本当にいいのか?」
「良いよ、昨年迷惑かけたお礼」
「けど」
「僕は朝から出かけるから2人の時間を過ごして」
「お、おう」
「旭もきっと朝から忙しくなるんだし早く寝なよ。おやすみ」
「あ、ありがとな。蒼」
その言葉に蒼は少し微笑んで眠りについた。
運命の8月3日。
「あれ?蒼は?」
朝、目が覚めた暁。
「暁」
「ん?」
「いや、ロス。誕生日おめでとう」
まだ眠たげにしていた暁だったが、すぐに目が覚め、目をキラキラさせて旭の顔の前に飛んだ。
「覚えててくれたんだ」
「わ、忘れる訳ないだろ!!!」
「なんか必死だな~。でも、ありがとう」
「おう!そんでな、今日は俺と暁でデートしようぜ!!」
「デート!?行くー!!」
「今日はデートプランをしっかり組んだぜ」
「あはは、楽しみ」
そういうと、すぐに家を出た。
まず、1番最初に向かったのは水族館。
「あ、旭が水族館?」
「悪いか」
「いや、旭のことだから。前世の記憶通りならやることは1つだけ。ホテルに行くのかと思った」
「お前な~」
「だって僕の誕生日もギルの誕生日もやることは基本的に…」
「だぁー、もう!!前世と今世を一緒にするな!!!確かに俺は性欲モリモリな健全な男子高校生だけど、今年は昨年の詫びも兼ねて、ただ普通に過ごしたいんだよ」
「旭…。皆から見られてるけど大丈夫?」
「え?」
ここは水族館。
暁が見えるのは旭と蒼だけ。周りから見ると、旭が急に叫びだし、性欲モリモリな健全な男子高校生を大声で言ったことになる。
周りからクスクスと笑わられていることが分かり、旭は顔を隠し逃げるように水族館の中へ入る。
「すげぇな」
「だね。あ、あれ!」
「ん?」
「でっかい蟹!!」
「美味そう」
「旭、ここでそういうのは冷める」
「す、すまん」
「蟹といえば、僕らが初めて会った日のこと思い出すね」
「ああ。あれか…」
「先輩が召喚した大きな蟹でコロッセオがパンパンになっちゃって、あげくの果てにコントロールを失っちゃってギルとレイが捕まっちゃってさ」
「そんで、最終的にロスがコロッセオに大量の水を出して、火の魔法で茹でたんだよな」
「そうそう。それで、魔法士も剣士も大笑いで仲良くなって、皆で大きな蟹を食べて、楽しかったな~」
「だな」
前世のことを思い出しながら水族館を回った。
途中、ところどころで「健全な男子高校生(笑)」とか「性欲モリモリな男子高校生(笑)」とか聞こえてきて恥ずかしい思いをするも暁が笑っていたから良しとする旭だった。
水族館を出て、昼は食べ歩きデートをした。
2人で食べるから少し多めに買う旭。周りから見ると、あの人めっちゃ大食いって感じになる。
夜は海に行った。
「ここでの生活も明日で終わりか~。今年も楽しかったね、旭」
「ああ」
「また来年も楽しみだね!」
「だな」
そんな話をしていると後ろから声をかけられた。
「何してるんだい!!」
振り向くと松代さんがいた。
「松代さん!?松代さんこそなんでここに」
「私はじじいの忘れ物を取りに来た。あんたらまた喧嘩してんのかい!!!」
「違いますよ!今日は俺の恋人の誕生日だから蒼は気を使ってくれたんです」
「そうかい。喧嘩してないなら良かったよ。あんたはまだここに残るのかい?」
「そっすね、もう少し」
「じゃあ、戸締り頼んだよ」
「え!?」
松代さんはそういうとすぐさま家に帰って行った。
「ははは」
「あの人、凄いね」
「だな」
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