愛しの君へ

秋霧ゆう

文字の大きさ
57 / 62
第2章

第49話 修学旅行4日目

しおりを挟む
 修学旅行最終日。
 今日の1日の予定としては、午前中はやっと勉強の時間。午後は北海道名物“黒い友達”の工場見学。
 勉強に関しては話をちゃんと聞いてる人はあまりいなかった。右から聞いて左にそのまま流れていくようだ。
 そして午後は黒い友達の工場へとやってきた。

「正直ここが1番楽しみにしてた」
「俺も」
「僕も」

 お菓子が作られていくのを間近で見て、興奮し、作り立てを食べその美味しさに悶絶する。

「うっま!」

 そんな声が各方面から聞こえてきた。

「せんせー、なんか奢って」
「は?嫌だよ」
「せっかくだし良いじゃーん」
「お前に奢ったら周りを奢れってなるだろ」
「でも山田先生は奢ってるよ?」

 C組の生徒にプレゼントを渡している山田先生。

「他所は他所、うちはうち」
「えー」

 高槻先生奢って。と静かに見つめるA組生徒。
 その圧に負ける高槻先生。

「じゃあジャンケンして勝った1人にそこのアイス買ってやる」
「よっしゃー」
「最初はぐー」
「うるせー、もっと静かにやれ」

 盛り上がるA組生徒、盛り上がりすぎて怒られる。
 そして勝者はクラス一静かな男・青木だった。

「勝ったのがお前で良かった」

 そう高槻先生は言い、青木はアイスを食べた。
 クラスで静かな生徒は貴重だ。A組はうるさいのが集まっている。そしてうるさいのは絶対に高いのを選ぶし、高いトッピングを付けてくる。その点、物静かな青木はトッピングも付けず、黒いアイスを頬張った。

「それじゃあバスに戻るぞ」
「あ、俺トイレー」
「飛行機の時間もあるしさっさと行ってこい」
「はーい」

 10分後、帰ってこない桃山。

「桐生!桃山どこ行った!?」
「知りません」
「電話!」

 PLLL。

「どしたの?」
「桃、どこいるの?」
「どこってバス」
「バス?」
「うん、ここ、ここ。あれ?」
「どうしたの?」
「ここA組じゃない…」
「先生に変わって」
「おー」

 桃山サイド。

「…!?お前何組のやつだ!?」
「A組っす」
「ここE組だぞ」
「間違えました」
「何をどうしたら間違えんだ…」

 シュンとしている桃山は持ってる携帯をE組の塚原先生に渡した。
 塚原先生は高槻先生と電話で話し、空港で合流することを決めA組のバスは空港へ向かった。

「桐生ー」

 空港で蒼を見るやいなや走ってきた桃山。

「先生ごめんなさい」
「まぁ迷子になってなくて良かった」
「先生優しい」
「迷子になったら探さないとだし、飛行機に間に合うか分からねぇし。まぁ置いてくっていう手もあったがな」
「優しくない」
「あ?」
「すみません」

 高槻先生は塚原先生に謝罪とお礼をし、搭乗口に移動した。

「全員居るだろうな!?各班確認しろ」

 確認し全員いると思われたが…

「いません」
「はあ!?」
「藤田と旭がいません」
「何やってんだー」
「お前ら、お守りは任せただろ!」

 2人はギリギリなってお土産が足りていないことに気づき、空港でのトイレ休憩の際にこっそり買いに行ったのだ。

「電話!」

 PLLL。
 すると大音量でなる2人の携帯。
 怒る高槻先生を見て、こっそり合流しようとしていた2人は即バレまた怒られた。

「ったく、お前らは」

 席につき、飛行機は飛んだ。

「さよならー北海道」
「北海道はでっかいどうー」

 とまた大きな声言ってしまい、周りから笑われ、高槻先生は恥ずかしい思いをするのであった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

【完結】毎日きみに恋してる

藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました! 応援ありがとうございました! ******************* その日、澤下壱月は王子様に恋をした―― 高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。 見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。 けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。 けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど―― このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...