【SS】日常・恋愛・ファンタジー

秋霧ゆう

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11.私は運が良いみたいです!

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 私はスラムで暮らす幼女です。
 ここスラムは地獄です。弱者は強者から虐められレイプされ殺される存在です。
 
 でも私は今日から強者です。
 私は金髪碧眼の幼女だからです。誰もが私を二度見するのです。
 街の人たちはスラムの子供を見ると押しのけ転ばせ足で蹴ったり鞭を打ったりします。
 でも私はそんなことありません。みんな、ご飯をくれます。運が良い時はホテルにだって泊まることが出来ます。
 そして今日私は凄く運が良いのです。
 私はこの街の領主様のお家に養女として一緒に行くことになりました。
 この金髪碧眼が私にとっての最大の武器です。

 領主様のお家はびっくりするぐらい大きいです。スラムからはうっすら見えるくらいなのでびっくりしてしまいました。
 領主様はお家に着くとまず私を大きなお風呂に入れました。その後綺麗で可愛いお洋服を着て美味しいご飯を食べました。初めてお肉を食べました。
 今までに感じたことのない感情でいっぱいになりました。

 次の日から立派なお嬢様になるためにお勉強が始まりました。文字を読むこと、計算をすることは私も身につけたかったのでとっても嬉しいです。
 知識を身につけることは凄く楽しくて私は本を読むことが好きなりました。
 ある日いつものように図書館で本を読んでいました。本はいつも綺麗に整頓されています。でも、その本は埃を被っていました。珍しいです。
 読むととても不思議な展開が待ち受けていました。
 その本にはこの街の名前も領主様の名前も私の名前も書いてありました。
 私はこの後、王子様に恋をするそうです。
 でも王子様は平民の女性に恋をするそうです。
 私はその平民の女性に嫌がらせをしてまたスラムに戻るそうです。
 私はこの本が予言書なのだと思いました。
 私はスラムを脱出してここに来れたこと自体がとても奇跡のようなことなので、この運命を受け入れることにしました。
 でも、この予言書をそのままやってもつまらないので少しアレンジを加えることにしました。

 まず、王子様に恋をするシーンです。
 王子様…。凄くかっこよかったです。これは予言書がなければ私は恋をしていたでしょう。
 パーティーで恋をする私は執拗に王子様に声をかけ続けるのです。でも、やりませんでした。
 だって私はまたあの地獄に帰るのです。それなら、今のうちに美味しいご飯を満腹になるまで食べることが正解だと思いました。
 王子様から見て壁の花と同等です。

 続いて、新しいドレスを買いに行く時、たまたまブティックで王子様と再会するシーンです。
 このシーンで私は頼まれていないのに王子様の服を選び、必要ないと断られると泣きじゃくるはずですが、私はやりませんでした。
 だってもう二度と着ることが出来ない服ですよ?それなら着せ替え人形のように色んな服を着ます。王子様の服とかどうでもいいです。

 続いて、ブティック帰りにたまたま寄ったケーキ屋さんです。とても美味しそうなケーキに、とても綺麗なお姉さんにメロメロになってしまう王子様です。
 私はこの時、こんな不味そうなものを王子様は食べない方が良いと邪魔をするのです。食べ物を捨てるのです。
 でも私はこの美味しそうなケーキにメロメロでした。

 一応、同じとこに居た方が良いかなと行き先々に共に行きましたが予言書のような行動は何一つしませんでした。
 王子様からしたら少しおかしな令嬢といったところでしょうか。

 私は何一つして予言書通りの行動はしませんでした。でも何故でしょう。予言書通りに養女契約は解消され私はスラムに戻りました。
 平民を虐めた罰と言われました。
 私はスラムに戻る覚悟は出来ていたので、なんとも思いませんが虐めてもいないのにスラムに戻ることになったのに対しては不満が止まりません。

 スラムの子供は綺麗な通りに出るだけで街の人たちや貴族の人たちは嫌そうな顔をされます。
 私は金髪碧眼だし一瞬ではあったけど貴族でした。
 でも、皆から嫌そうな顔をされます。しょうがないことです。諦めてるので大丈夫です。

 でもそのままやられる私ではありません。
 実は私は領主様に宝石をお1つ頂きました。
 誕生日プレゼントだそうです。
 私の誕生日ではない日に誕生日プレゼントを頂きました。それももう良い思い出です。

 その宝石を持って、私はあのケーキ屋に行きました。とても美味しいケーキ屋さんです。
 中を覗きました。
 私たちスラムに住む人々は勝手に中に入ってはいけません。殴られます。
 中の人が心優しければ入れてくれる時があります。
 お姉さんが私に気づいたようです。

「あれ?あなた貴族の、その服どうしたの?」
「私は元の世界に帰ってきました」
「えっ?どういうこと?」
「領主様が養女にしてくださったんですが、ある人を虐めたらしくスラムに戻りました」
「虐めた…らしい?」
「そうです。知らないうちに虐めていたそうです」

 お姉さんは困惑顔しながら私を中に入れてくれました。中にいたお客さんは私を見るとすぐに出て行ってしまいました。
 お姉さんに謝るもお姉さんは首を横に振り、私をお風呂に入れてくれて綺麗なお洋服を着せてくれて、美味しいケーキを食べさせてくれました。
 夕方になりました。

「ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「私がこんな時間までここにいたからお客さん…」
「気にしないで、私は美味そうに食べてくれる人が好きなの。あなたみたいにね」

 と、ウインクしながら言ってくれました。
 そして、また来てね、とも言ってくれました。
 
 その後、どうしても味が忘れられなくて何度も通いました。
 でも、いつも宝石を受け取ってくれないんです。
 今日もきっと受け取ってはくれなー
 


 横から物凄い衝撃がありました。
 おかしいです…。体が動かないです。
 目の前にはお馬さんと馬車があります。
 キラキラした王子様も見えます。
 どんどん…遠くに…。

 その後、目を覚ますと目の前にはお姉さんがいました。
 あの日、私を轢いた王子様の馬車はこのお姉さんのケーキ屋さんに来たみたいです。
 王子様の馬車から私の宝石が落ちたそうです。
 お姉さんが聞き出すと、汚いスラムの子供が貴族から盗んだ物と言ったそうです。
 そしてそのまま王子様はお姉さんに告白したそうです。
 でも、お姉さんは王子様をビンタしたそうです。

「大丈夫なんですか?」
「だぁいじょぶ、だぁいじょうぶ」

 お姉さんは大丈夫と言ってますが、どう見ても大丈夫そうではありません。
 するとお姉さんは「逃げよう!」と急に立ち上がり、私をおんぶして、街を出ました。

「あ!勝手に連れてきちゃったけど大丈夫だった?」
「はい!私はお姉さんについて行きたいです!」

 その後、運良く!乗合馬車に乗れて、運悪く、王子様に追いかけられて、運悪く、盗賊に襲われ、運良く!王子様たちと別々に逃げることになって、運良く!隣国に入ることが出来ました。
 そこから少しでも遠く遠くに移動して、海が良く見える高台のケーキ屋さんでお姉さんと幸せに暮らすことが出来ました。
 やっぱり私は運が良いみたいです!


 


 
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