【SS】日常・恋愛・ファンタジー

秋霧ゆう

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9.浮気した婚約者に陰口を言ったら何故か王太子に好かれました

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※スピード感が重要です。


 わたくしの名前はアリシア。
 たった今、婚約者の浮気現場を見ました。
 …クソッタレ、クソッタレ!クソッタレ!!
「何のためにわたしがこれまで我慢してきたと思ってんだよ!ふざけんなっ。婚約者が野蛮な女は嫌いと言うから剣の修行を辞め、スカートを履き、勉強やら社交界やらめんどくせぇことをやってきたんだよ。それなのに!あのクソッタレ婚約者は私に全てを押し付け、勉強はしない仕事もしない。だいたい臭いしキモいし気持ち悪いし!あーもう!!肥溜めに頭から突っ込んで家畜の餌にでもなって死にやがれ!!!」

 ガサガサッ。
 後ろから物音がした。振り返るとそこにはこの国の王太子殿下が立って居た。
 まずい、弁解を…。けれど、王太子殿下は私の顔を見るやいなや私にひざまついた。

「僕と結婚してくれ」
「いや、何で!?」

 思わず声に出てしまった。

「し、失礼致しました。しかし、何故わたくしに??」
「あなたのその言葉が…」
わたくしの言葉?」
「えぇ。あなたの言葉が私の胸に刺さりました」
「は……?」
「あなたの素晴らしき言葉の数々。その言葉で私を罵ってくれませんか?」
「嫌ですがっ!!」
「何故だ!!」
「だ、たいたいわたくし婚約者がおりますの」
「よし!じゃあ、彼を捕まえよう」
「え゛!?」
「彼は浮気をしていたよね?この国で浮気は重罪だ」
「その流れで行くとまだ彼と婚約破棄をしていないわたくしも浮気になってしまいませんか?」
「そうだな…」

 よし、時間を稼ぐのよ私。
 例え婚約者が捕まろうと婚約破棄には時間がかかる。その間にこの危ない王太子殿下から逃げよう。
 久しぶりだが剣の感触を覚えていれば良いが。

「ではそんな法律は無くしてしまえ」
「…は?」
「私はこの国の王太子だ。法律なんていくらでも変えられる」
「いやどう考えても無理ですよね!?」
「あなたと結婚する為ならば私は何だってしよう」
「どうして私にそこまで…」
「あなたと婚約者の間に色々と問題があったのは知っている。よく喧嘩をしていたな。婚約者が苛立ちながら部屋を出るとあなたは決まって同じ行動をしていた。誰も来ないようなこの森で木に八つ当たりをし、罵倒する言葉を投げかけていた。私は仕事の休憩で静かな木の上で休憩するのが日課なんだが、あの日あの時私の胸に電撃が走ったようだった。いつしかあなたの罵倒を聞くためだけにこの森に通った」
「きっも!!はっ、申し訳…」
「ん~良い言葉だ。もっともっと私を…」

 いや、きもいきもいきもい。てか、王太子を変な方向に目覚めさせたの私か!?私なのかっ!?!?いや、だとしても。きもい。クソ婚約者と同じくらいきもい。
 そんな話をしていると、王太子殿下を守る影が現れ、王太子殿下に小声で何か報告をした。

「うむ、分かった。たった今、あなたの婚約者を捕まえた」
「は?」
「これで邪魔者は居なくなったし、あなたとあの者は無関係になったぞ」
「いやいやいや…」
「何故だ!?何故私との結婚をそんなにも嫌がるんだ!?」
「だって王太子妃とかめんどくさい!!!」

 しまった。思いっきり声に出てた。

「王太子妃になろうとも仕事などしなくて良い」
「はぁ?」
「あなたの仕事は私も罵ることだ」
「もっと嫌ですがっ!!!」

 そして私は、王太子殿下と出会って3年。今も付きまとわれている。夜中にこっそり逃げようとしても捕まり、どこに行こうにもその行く先先に王太子殿下は居る。
 私は逃げるきることが出来るのだろうか…。

 
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