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10話「ガムヴ・ルヴィ」
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エリスの悲鳴じみた嬌声が部屋の外まで聞こえる。
(コイツと出会えたのはまさに僥倖であったな……)
己の『力』を知ったのは偶然だった。
そして、エリスの『力』とエリスの村に居た『特異体』の事を知った時は自分が全能の存在にになるべくして生まれた運命だと思った。
(私は神に選ばれた)
もちろん神なぞ信じない。己の力が全てでのし上がってきた。
が、これだけ『全能になる為の小道具』が次々手に入る状況が続けば、全てが偶然とは思えなくなる。
(まぁ『プログラム・賢者』が回収できなかったのは誤算だったがな)
それでも……エザーリンの地下研究所を隠滅した時には諦めていたプログラム・賢者の『一部意識プログラム』達が、逃亡し、どこかに存在するという嬉しい誤算もあった。
そして、その意識プログラムのひとりの居場所に目星もついた。
(10年経ったが……着実に動き出したわ)
薄暗い通路を抜け、部屋に入る。
アステロイドベルトに設置してあったこの研究施設では『特異体』とは別の研究を行わせていた。
エザーリン地下の研究所を処分してからは『特異体』の研究は振り出しに戻った訳だが、それも『意識プログラム』を回収することで挽回できる。
ここでは主に『全能の存在』になる為の器を開発している。
「アレの進捗はどうなっておる」
室内にいた研究所長に聞く。
さる大企業から引き抜いてきた技師だ。
「ほぼ完成しております。従来のものよりスペック・耐久度・メンテナンス性どれをとっても優れております」
(それだけの金と時間はかけてある。当然だろう……問題は……)
『器』に移るときに失うであろう私の『力』だが……
(ここまで『雌』として堕としたのだ……もう私無しではエリスは生きていけないほどにな……)
その為に、10年も嬲り続けてきたのだ。身体はもう完全に堕ちている。
今回も『目』を使わずにあの痴態。問題ないだろう。
(まぁ、流石に他の連中に抱かせる為に最後は使っておいたが)
エリスの身体は正に麻薬だ。
私ですら『目』で隷属させる立場でなかったら逆に堕ちていた事だろう。
その証拠に、エリスを抱かせた連中は、私の思うままに動いてくれる。
(それもエリスの力なのだろうか)
『男を籠絡する』
そんな力があるのだろうか。
「『器』の進捗も問題なしか。あとは『意識プログラム』達次第で完了だな」
思わず口元がニヤけてしまう。
(奴らに対する『切り札』もここに保管してある)
エリスと合わせて、この切り札があればなんら憂慮する事もない。
「…先程、エザーリン地表の調査員から連絡がありました。『情報部員が対象と共にエザーリンに来ることになった』とのことです」
研究所長の隣のスーツ姿の男が言った。
「ほう……いつだ?」
「そこまではまだ…どうしても情報が1週間おくれますので。ただし、出発前には連絡があるとの事です」
亜空間通信が実用化されてない今、星系間の通信が旅の速度を超えることはない。亜空間ジャンプが1パーセクの距離であれ最大飛翔距離の3パーセクであれ1週間かかるので致し方ないところだ。調査員への情報もジュエルから1週間遅れて入ったものであろう。
「なるほど。到着は2~3日から1週間ぐらいといったところか」
(向こうから来てくれるか。歓迎しようじゃないか)
なにせ、私の考えが正しかった証拠を見せてくれた『意識プログラム』搭載のアンドロイドだ。
(大歓迎しよう)
「情報部員というのは……例の女か」
「はい。ですが、情報部自体が動いている形跡は認められませんし、今回も単独調査かと」
(ヴィンターのところの『行き遅れ』か。しつこい女だな)
まぁ、今回は『意識プログラム』を連れてきてくれるのだ。感謝しよう。
「……あと、もう一人帯同するようです……タモン・ミチヤマ?元宇宙軍大佐だそうです」
「タモン……?……第二雷撃戦隊のタモンか!」
名前に思い当たり、つい声が大きくなる。
「そのようです。……知ってらっしゃるのですか?」
(記憶喪失と聞いていたが……やつはどこまで知っているんだ。アーシェハイザーといい、まだ私の目の上の瘤が存在するのはやっかいではあるな)
「……提督?」
スーツの男が問う。
「あぁ。最近救助された『作戦』の生き残りだ。構うことはない。消せ」
「他は如何いたしますか?」
「ふむ。アンドロイドは破壊しても構わんと命じたが、エザーリンに来るのなら歓迎しよう。ヴィンターの娘共々捕らえろ」
「了解しました」
スーツの男が部屋をでる。
「私も引き続き『調整』のため研究室に戻ります」
所長も退室する。
(もうすぐだ。全てのピースがここに揃う。もう少しだ)
PCのモニター越しに映る15のカプセルを眺める。これがあるから『意識プログラム』は私の言う事を聞かざるを得まいて。
いかんぞ。笑いがとまらん。
(コイツと出会えたのはまさに僥倖であったな……)
己の『力』を知ったのは偶然だった。
そして、エリスの『力』とエリスの村に居た『特異体』の事を知った時は自分が全能の存在にになるべくして生まれた運命だと思った。
(私は神に選ばれた)
もちろん神なぞ信じない。己の力が全てでのし上がってきた。
が、これだけ『全能になる為の小道具』が次々手に入る状況が続けば、全てが偶然とは思えなくなる。
(まぁ『プログラム・賢者』が回収できなかったのは誤算だったがな)
それでも……エザーリンの地下研究所を隠滅した時には諦めていたプログラム・賢者の『一部意識プログラム』達が、逃亡し、どこかに存在するという嬉しい誤算もあった。
そして、その意識プログラムのひとりの居場所に目星もついた。
(10年経ったが……着実に動き出したわ)
薄暗い通路を抜け、部屋に入る。
アステロイドベルトに設置してあったこの研究施設では『特異体』とは別の研究を行わせていた。
エザーリン地下の研究所を処分してからは『特異体』の研究は振り出しに戻った訳だが、それも『意識プログラム』を回収することで挽回できる。
ここでは主に『全能の存在』になる為の器を開発している。
「アレの進捗はどうなっておる」
室内にいた研究所長に聞く。
さる大企業から引き抜いてきた技師だ。
「ほぼ完成しております。従来のものよりスペック・耐久度・メンテナンス性どれをとっても優れております」
(それだけの金と時間はかけてある。当然だろう……問題は……)
『器』に移るときに失うであろう私の『力』だが……
(ここまで『雌』として堕としたのだ……もう私無しではエリスは生きていけないほどにな……)
その為に、10年も嬲り続けてきたのだ。身体はもう完全に堕ちている。
今回も『目』を使わずにあの痴態。問題ないだろう。
(まぁ、流石に他の連中に抱かせる為に最後は使っておいたが)
エリスの身体は正に麻薬だ。
私ですら『目』で隷属させる立場でなかったら逆に堕ちていた事だろう。
その証拠に、エリスを抱かせた連中は、私の思うままに動いてくれる。
(それもエリスの力なのだろうか)
『男を籠絡する』
そんな力があるのだろうか。
「『器』の進捗も問題なしか。あとは『意識プログラム』達次第で完了だな」
思わず口元がニヤけてしまう。
(奴らに対する『切り札』もここに保管してある)
エリスと合わせて、この切り札があればなんら憂慮する事もない。
「…先程、エザーリン地表の調査員から連絡がありました。『情報部員が対象と共にエザーリンに来ることになった』とのことです」
研究所長の隣のスーツ姿の男が言った。
「ほう……いつだ?」
「そこまではまだ…どうしても情報が1週間おくれますので。ただし、出発前には連絡があるとの事です」
亜空間通信が実用化されてない今、星系間の通信が旅の速度を超えることはない。亜空間ジャンプが1パーセクの距離であれ最大飛翔距離の3パーセクであれ1週間かかるので致し方ないところだ。調査員への情報もジュエルから1週間遅れて入ったものであろう。
「なるほど。到着は2~3日から1週間ぐらいといったところか」
(向こうから来てくれるか。歓迎しようじゃないか)
なにせ、私の考えが正しかった証拠を見せてくれた『意識プログラム』搭載のアンドロイドだ。
(大歓迎しよう)
「情報部員というのは……例の女か」
「はい。ですが、情報部自体が動いている形跡は認められませんし、今回も単独調査かと」
(ヴィンターのところの『行き遅れ』か。しつこい女だな)
まぁ、今回は『意識プログラム』を連れてきてくれるのだ。感謝しよう。
「……あと、もう一人帯同するようです……タモン・ミチヤマ?元宇宙軍大佐だそうです」
「タモン……?……第二雷撃戦隊のタモンか!」
名前に思い当たり、つい声が大きくなる。
「そのようです。……知ってらっしゃるのですか?」
(記憶喪失と聞いていたが……やつはどこまで知っているんだ。アーシェハイザーといい、まだ私の目の上の瘤が存在するのはやっかいではあるな)
「……提督?」
スーツの男が問う。
「あぁ。最近救助された『作戦』の生き残りだ。構うことはない。消せ」
「他は如何いたしますか?」
「ふむ。アンドロイドは破壊しても構わんと命じたが、エザーリンに来るのなら歓迎しよう。ヴィンターの娘共々捕らえろ」
「了解しました」
スーツの男が部屋をでる。
「私も引き続き『調整』のため研究室に戻ります」
所長も退室する。
(もうすぐだ。全てのピースがここに揃う。もう少しだ)
PCのモニター越しに映る15のカプセルを眺める。これがあるから『意識プログラム』は私の言う事を聞かざるを得まいて。
いかんぞ。笑いがとまらん。
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