星野にて竜を駆るもの

思考機械

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11話「大改造・劇的ビフォー&……(略)」

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 まぁ、リイナへの尾行の事も考えると出歩けないわけで。
 ガストの親父んところで、自分の機体のメンテを手伝うくらいしか無いわけで。



 循環装置等の内装やエンジン、プラント等はガストに任せ、俺は外装やメインスラスター・サブスラスター等のメンテナンスをしていた。
 俺とイチャつくタイミングもないリイナは家事を甲斐甲斐しくこなしつつも不機嫌そうではあった。
 2日ぐらいして、リイナ宛に荷物(買い物した時に注文してたらしい)が届いてからは不思議なことに機嫌も直ったようだ。
 何故かガストと意気投合したようで、機体の図面を見ながら
「あーでもない。こーでもない」
 とやり合っている。
 その様子を機体の上で装甲板とフィールド展開装置の調子を点検しながら遠目に見てると、やがてガストがリイナに向かって親指を立てウインクした。
「まかせとけ」
 口元がそう動いた気がする。
 リイナも同じ様に親指を立てた。満面の笑み。
(こいつら何企んでやがる……)



 食事や風呂、就寝はガストの家で世話になった。
 まぁ、ガストの所有する民間ドックに併設するように建てられてる事務所兼用のものだが、居住性はかなり良い。
 ガストも料理・選択・掃除と動き回るリイナをかなり気に入って、なにかと可愛がってた。
「そろそろ外装側のメンテナンスは終了だけど、中の方はどうなんだ?」
 ステーションにきて機体をメンテナンスに出してから4日。いつもならガストと弟子の技師たちで3日で終わるんだがな。
 俺とガストだけで取り掛かってるからまぁ少しは手間かかるだろうけど。
「あと2日……いや明日中に何とかする。弟子たちにも手伝わせるからな。そ、そうじゃ!いい掘り出しモンがあったんじゃった!」
 そう言って携帯端末の画面を見せてくる。
「45mmオートキャノン……?」
「あぁ。フォッカーに装備してる30mmより強力じゃぞ?」
「ふーん。幾らだ?」
「サービスじゃ!その代わり司令が取り付けてくれるか?コクピットとの連動はワシがやっておく」
 へー珍しい。
「……何か見返り求める……とか?」
「ワシからフォッカーへの愛のプレゼントじゃ」
 ……なんかアレだけど……
「ふむ。ありがたく頂いておくか。使う事無い様にしたいがね」
「本当なら主砲を対艦用粒子加速砲にでもしてやりたいが、パワープラントが保たんじゃろうしの」
「いや要らないから。パルスレーザーとミサイル投射機だけで充分だから」
 こいつフォッカーで軍艦にでもケンカ売るつもりかよ。
 ……いや、戦時中は売ってたんだけどさ…



 で、今日終わったわけだが…なんだよこれ。
(何ということでしょう!)
 いや違う。
「ただでさえ小さい船倉、これ以上容積減らしてどうすんだよ!」
 船倉のサイズが1/2ほどになっていた。
「フォッカーは戦闘艇じゃ。そもそも船倉なんてほぼいらん」
 ガストが腕を組んで言った。なんでそんな誇らしげなんだよ。
「まぁ心配するな。お前さんの仕事用だというのはよくわかっちょる。小型貨物標準の5tコンテナならぴったり入るようにしておるから」
「そ、そうか。なら良かった……じゃねえよ!」
 思わず定型文のようなノリツッコミをしてしまう。
「……で、次はここだよ。このキッチンはなんだ?船室に元々キッチンスペースあったろ?」
 船倉から個人用ロッカースペース兼用の短い通路を抜けるとちょっとしたキッチン。
「リイナがキッチンスペースだけでは不便じゃと言うからの」
 ガストが明後日の方向を見ながら答える。
「……まぁ、ここまでは100歩譲って勘弁しよう…」
 俺は頭を抱えながら言った。
「ここは?なんでシャワー室がユニットバスになってんの?」
 キッチンの後ろの扉を開く。
 本来シャワー&トイレのコンパクトなスペースだったのが、トイレとアコーディオンカーテンで仕切られたバスルーム。
「リイナがシャワーだけでは不便じゃと言うからの」
 ……なんかさっきも似たようなセリフ聞いたぞ?
 そして、いよいよ船室の扉を開く。
「で、オチはこれかよ!なんで簡易ベッドがセミダブルのベッドになってんだよ!」
 ほぼ船室を占めるサイズのセミダブルのベッド。以前からあったお客さん用の対G仕様のシートがテーブルと共に部屋の隅に追いやられている。もう人ひとり通る幅しかねぇよ。
「快適な睡眠は健康な身体と精神を維持するためには必須なのですよ」
 船室の向こうのコクピットからリイナが微笑む。
「あの簡易ベッドじゃまともに睡眠取れませんよ?」
「いや、あそこで寝るのはリイナでしょ?……アンドロイドじゃん」
 俺はコクピットシートで就寝するつもりだったし。
「一緒に寝るのです!セミダブルならかろうじてふたりで安眠できるのです!」
 リイナが熱弁する。ガストは客用対Gシートに座ってニヤけてやがる。
「……ひょっとして、これか?前に届いた荷物は……」
 リイナを見る。
 リイナは慌ててそっぽ向き、口笛を吹く。いや鳴ってないから。
「……浪費癖のある奥さんか……」
 もういいや。エザーリン出発まであと2日だしな。明日にはステーションのチャーター船に積み込まなけりゃならんし。
「……わ、私は旦那様の健康を思って……」
 下を向いて弁解じみた事を言う。
「はいはいありがとね。もう怒ってないよ」
 まぁ、ガストが悪い。全部悪い。
「でもまぁ、せめて二段ベッドだろスペース考えて」
「……一緒に寝られないじゃないですか」
 だからガストの前でそういう事言うな。ほら、ニヤケがいっそうひどくなったよ。
「まぁ、大サービスじゃ。司令の持ってきた例のパーツも思った以上に高く売れたしの。メンテ代差し引いてCr.10,000ほど振り込んどいたぞ」
 ほう。そりゃ助かる。
「ワシも楽しんだしの。家も綺麗にしてもらったし、美味い飯は食わせてもらったし。リイナへのプレゼント案件じゃよ」
 俺には罰ゲーム案件だったがな。
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