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第一章・始まりは…
11・デレから始まる序曲
しおりを挟む~お詫び~
視点変換が多く内容が分かりづらいのではないかと考え、昨日6/22更新の11話を分割し11話と12話へと変更いたしました。
しおりを挟んでいらした方には深くお詫び申し上げます🙇♀️
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。.
『願いの泉』へと向かうオリフェウスの後ろ姿を確認したミナールは、クルリと身を翻し別の方向へとすぐさま駆け出していく。
オリフェウスや先行するリュシフェル達に気付かれないよう、予め調べておいた近道である秘密の抜け道を辿りながら泉へと急ぎ向かう。
無事、一足先に泉へと到着したミナールは泉のほとりにある木陰へとその身を潜ませた。
一方、その頃ヴィクトァールとリュシフェルは泉へ向かう道すがら、ゆっくりと歩を進めながら会話を交わしていた。
「…と言う訳で、コームプシェ男爵令嬢は全く諦めてはくれず、卒業パーティーでのパートナーは自分だと主張してくるのだよ」
「ミナールったら…!どれだけヴィクトァール様にご迷惑をお掛けしたら気が済むのかしら。
友人としてミナールがお掛けしたご迷惑をお詫びいたします。ヴィクトァール様には心から申し訳ない思いばかり…」
「いや、こちらこそリュシフェル嬢には恋人の振りまで協力して貰い心から感謝しているのだよ。
私が不甲斐ないばかりにリュシフェル嬢には負担をかけてしまって申し訳ない」
「そんな…謝らないでくださいませ、ヴィクトァール様。私は負担になど思っておりませんもの。
むしろヴィクトァール様のお役に立てないことに対して申し訳なさが募り歯がゆい思いさえ覚えてしまいますわ。
一体、どう振る舞えばミナールは諦めてくれるのでしょうか…」
「リュシフェル嬢、ありがとう!君の優しさには励まされる思いでいっぱいだよ。
そこで提案なのだが…コームプシェ男爵令嬢への牽制としてリュシフェル嬢さえよければ卒業パーティーでも私のパートナーを務めてもらえないだろうか?」
「…よろしいのですか?卒業パーティーといえば通常は婚約者や恋人をパートナーとして据えるものですわ。
周囲に誤解されてしまってはヴィクトァール様はお困りになりませんか?」
「困るどころか、いっそリュシフェル嬢との仲を学院内に知らしめたいくらいだよ。このまま君が婚約者となってくれたら…とさえ思っているくらいだ。
…リュシフェル嬢には、こんな私の思いなど迷惑なものだろうか」
真っ直ぐにリュシフェルのアメジストの瞳を覗き込む、透き通った翡翠の瞳が鮮やかに煌めく。
リュシフェルの頬は赤く色付き、嬉しいという気持ちまで胸の奥底から湧き上がってきてしまった。
ヴィクトァールは冗談や世辞など言う性格ではない。
つまりは、本気でリュシフェルのことを好ましく思うどころか、大事な婚約者にとまでリュシフェルのことを望んでいるのだ。
恋人の振りという役割を果たす為にヴィクトァールと過ごした日々はミナールを牽制する為とはいえ、素直に楽しいと思えるような日々であったことは確かだ。
ヴィクトァールの落ち着いた柔らかな物腰、洗練され大人びた心遣いは共に時間を過ごしていて居心地がとても良いもの。
将来、辺境伯として励むヴィクトァールを支える辺境伯夫人としてリュシフェルのことを考えているというならば、きっとヴィクトァールの中でリュシフェルへの評価は非常に高いものなのだろう。
怜悧な頭脳を持ち、文武に優れ優秀な成績をおさめるヴィクトァールからの高い評価は素直に嬉しいと喜べるものだ。
「ヴィクトァール様、私のことを高く評価してくださりありがとうございます」
色付いた頬に手を当てて恥ずかしげに人より背の高いヴィクトァールを見上げ、礼を述べるリュシフェルは陽の光を受けて眩ゆいばかりだ。
「ふっ…リュシフェル嬢は本当に可愛いらしい。こんなに素直で愛らしい姿を見せられては参ってしまうな…」
いつしかヴィクトァールの心はリュシフェルへと大きく傾いていた。
その頃、木陰に身を潜めていたミナールは今か今かと待ち構えていた。
やがてリュシフェルを優雅にエスコートしたヴィクトァールが泉の女神像の前へと連れ立って近付いて来る姿が見える。
女神像の前でエスコートしていた手をそっと外したヴィクトァールがリュシフェルの前へと跪き礼をとる。
鍛えあげられた身体を包む学院生制服の裾が風に旗めく。
颯爽とした公子姿のヴィクトァールがその大きな手をリュシフェルへと差し出す。
「リュシフェル嬢、卒業パーティーで私のパートナーを務めていただけませんか」
「お話を伺っておりますのでヴィクトァール様のお気持ちは私もよく分かっているつもりです。
けれども…私」
「もうお相手が決まっているのですか?」
「いいえ」
「では、私と…」
どうしましょう…?ヴィクトァール様に何とお答えすればよいのかしら。
未だにオリフェウスは誘いの言葉さえくれない…期待するだけ無駄なことなのかもしれないわ。
そんなオリフェウスに勝手な義理立てをしても待つだけで終わってしまう可能性は限りなく高いだろう…
それなのに、ミナールへの牽制もあり私のことを必要としてくださるヴィクトァール様をここでお断りすることは正しい判断と言えるの?
リュシフェルの躊躇している様子を見たヴィクトァールは胸の内で握り締めた拳を高く掲げる。
ーーあと一押し、だ。
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