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しおりを挟むああ、私は石橋さんに出逢う為に生まれてきたのね・・・。
この身体が男なのも、初めての人が石橋さんになるように男だったのよ・・・。
今までの悩みが霧散していく・・・。
私は幸せに浸っていました。
でも、そんな幸せな気持ちは長続きしませんでした。
叔父が、石橋さんが我が家に暮らし始めたのを詰って来たのです。
「おい!お前!この家になぜ一週間も出入りしているんだ!ここは私の家だぞ!この敷地も、会社も私の物だ!今すぐ出て行け!!」
叔父は石橋さんが言った様に探偵を雇っているらしく、細かい日にちまで把握していました。
私は顔面蒼白になって、震えてしまいます。
でも、お爺様と石橋さんが私を庇って側にいてくれます。
「昭夫!ここはワシの家だ!お前の物などほんの一片も無い!出て行くのはお前だ!お前の顔なぞ見たくもない!さっさと出て行け!!」
「!!お父さん!!この男を出て行かせて下さい!!皆守と一緒になって、お父さんの財産を奪い取ろうとしているんですよ!なぜ分からないんですか!!」
叔父が青筋を立てて良い募ります。
「皆守!!お前も分かっているんだろうな!!さっさと出て行け!!お前がこの家から出て行けば、私がお父さんと一緒に暮らす事ができるんだぞ!!」
「ひっ!」
叔父が私を見る目は血走っていて、常軌を逸しています。
「石橋君!今すぐ警察を呼びなさい!この馬鹿者をこの家から追い出しなさい!昭夫!!警察が来る前にこの家から出て行かないと、お前とは絶縁するからな!!」
「お、お父さん・・・!今後どうなっても知りませんからね!!」
そう言い残すと、叔父は踵を返しました。
ほう・・・。
叔父がいなくなると息ができる気がします。
「皆守、大丈夫か?」
「はい。石橋さんが背中に庇ってくれたお陰です・・・。」
「皆守!出水を今すぐ呼びなさい!昭夫とは絶縁する!会社からも出て行かせる!!」
お爺様が、腹に据えかねた様子で大声を張り上げました。
「は、はい。お爺様。」
出水さんは電話をしてほんの30分で来ました。
「出水!昭夫とは絶縁だ!これ以上あの馬鹿者をのさばらせてはおけん!!社長解任の件はどうなっている!臨時総会はいつ開く予定なんだ!!」
お爺様の怒気にも出水さんは冷静でした。
「はい。臨時総会は2週間後です。昭夫氏には露見できないように、極秘に進めております。会長に報告させて頂いた横領に加えて、社長秘書の名義でも横領が発覚しましたので、刑事告訴が合わせてできます。」
「なんだと!報告がきた件以外にも横領していたのか!!あの馬鹿者め!それで幾ら横領しているんだ!!」
出水さんはバッグから書類を出して、お爺様に手渡しました。
「な、なんだと!聞いていた8億に加えて、3億も多い11億だと!!なんて大それた事をするんだ!」
お爺様は、今にも倒れそうに額に血管が浮き出ています。
「お爺様、お願いです。もう少し冷静になって下さい。このままではお爺様が倒れてしまいます。」
私の心配にお爺様は頷き、ふーっと息を吐きました。
「皆守、お前だけだ。ワシを心から心配してくれるのは。遺言書には、ワシの全てをお前に遺すとしたためてある。だから安心しなさい。」
「お爺様!遺言書なんて、縁起でもない事を言うのは止めて下さい!お爺様にはもっと長生きして頂いきたいのです!」
私が泣きそうになってお爺様に言うと、石橋さんが私の肩を抱いてくれました。
「皆守、会長も分かっているさ。ただ、この先何があるか分からないから、先の事を言ってるだけさ。」
「でも・・・。」
私は涙が出てきて頬を濡らします。
「皆守、石橋君の言うとおりだ。長生きして曾孫を抱くまでワシは死んだりせん。泣くな。お前に泣かれると弱いのだ。出水、石橋君の件はどうなった?」
「はい。書類は出してありますので、あとは受理されれば養子となります。長くても臨時総会が開かれる前に受理されるでしょう。」
お爺様は満足そうに頷きます。
「ふむ、そうか。皆守、聞いた通りだ。これからは石橋君がお前を守ってくれる。ワシもいるから安心しなさい。」
お爺様の言葉に、私はまた泣いてしまいます。
「お爺様・・・。」
「出水、絶縁の件も一刻も早く処理しなさい。」
「かしこまりました。」
出水さんは一礼して出て行きました。
私は嫌な予感に身体が震えました・・・。
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