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しおりを挟む半年後。
「陛下、お顔の色が優れませんが、お加減でもお悪いのですか?誰か!侍医を呼べ!」
タナソーリアは女王陛下の侍医を呼ぶ。
「何、少し気分が悪いだけじゃ。心配せんでも良い。」
「なりません!女王陛下は我がレテルリアの宝!皆が心配します!このタナソーリアとて同じ事!まだお若いと侮ってご病気になどなりましたら、レテルリア帝国は崩壊致します!」
女王陛下は頷き、手をひらひらさせる。
「分かっておる。まだ病気とは決まっておらん。それにこれは・・・。」
そこに侍医が飛んで来た。
「おお!ランキ!早く女王陛下を診なさい!」
「はい!」
女性の侍医長のランキは、名医として名を馳せていた。
ランキは脈を取ると、笑顔になる。
「おめでとうございます!ご懐妊でございます!」
「おお!陛下!おめでとうございます!ランキ!滋養の付く薬をすぐに作って持って来なさい!陛下、8人目なのですから用心に越した事はございません!薬を服用して下さいませ!」
女王陛下ははーとため息を吐く。
「タナソーリア、少し落ち着け。たかが8人目じゃ。そなたとて、5人子を産んだではないか。私はまだ若いのだから、まだするりと出てくるじゃろう。」
それを聞いた私は心配になる。
「マルガリーテ!そんな事言わないで!これは国を左右するのだから!マルガリーテに何かあれば、あの第一王女のオリンタール様がしゃしゃり出て来るはずなのだから!分かっているでしょう?オリンタール様のご性格ならば、いつか謀反を起こすわ!それに、マルガリーテのご夫君と王女様達を皆殺しにするはず!家臣としては、見過ごせないわ!」
私は女王陛下が心配になり余分な事を言ってしまった。
「・・・タナソーリア、分かっておる。そう痛い事を言うでない。はあ・・・。何故あんなに激しいのが第一王女なのじゃ?私の育て方が間違っておったのかのう・・・。」
女王陛下は落胆している。
「オリンタールは、何不自由無く過ごしすぎたのか・・・?あの男を差別する時の顔!オリンタールの父親にそっくりじゃ。それに、気位も高過ぎておる。まあ、このレテルリア帝国は女が多いから男よりも強い立場なのは認めるが、最早手が付けられん。矯正出来ると思うか?のう、タナソーリア。」
私は首を横に振る。
「無理でしょう。私兵を集めていると聞きました。まあ、あの性格ですから金に糸目を付けなければ数年で謀反を起こすでしょう。」
私は感想を述べる。
「オリンタール様は人望が無い。でも、立太子となれば話が変わります。女王陛下を毒殺してでも一時でも早く自分が女王陛下になるでしょう。」
「・・・。・・・そうか。」
その時、執務室の扉をノックする男が聞こえてきた。
「・・・女王陛下、お薬が来たのでしょう。この話はまた後日改めて致しましょう。」
「・・・分かった。」
私は扉を開ける女性兵士にベルで合図を送る。
扉が開くと、そこには思いも掛けずカロンがいた。
私は目を険しくさせる。
「カロン様、ここは女王陛下の執務室ですよ。何故来たのですか?」
カロン様の後ろには、女王陛下の前の執事であったアーサンが付き添っていた。
「・・・!も、申し訳ありません!あ、あの!今朝マルガリーテ様のお顔の色が悪かったので、果物でも食べて頂きたいと思って・・・!」
アーサンがザクロを盛った籠を持っていた。
「カロン、こちらに来や。」
「は、はい!」
私はため息を吐くが、女王陛下は破顔して手招く。
カロン様はおずおずと近寄って来る。
「カロン、そなたとの子ができたぞ。」
「え・・・。」
カロン様は良く分からない顔をしている。
「あ・・・の・・・。僕の子・・・?」
そう言うと、涙を流し始める。
「僕にマルガリーテ様以外の家族ができるのですね・・・。」
「カロン、全く。そなたは21才にもなって、泣き虫じゃのう。」
女王陛下は優しい顔をしてカロン様を見ている。
カロン様は女王陛下に近寄り、ひざまずいてお腹に手を当てた。
女王陛下はそれを制止せず、良しとしている。
「・・・コホン!」
私はわざとらしく咳払いをして、注意を向けてもらおうとする。
「何じゃ?タナソーリア、夫婦仲が良いじゃろう。カロンにのみ名を呼ばせるのも悪くあるまい?」
「ええ、結構な事です。ですが、今は気を集中させる時。無事にご出産できるかはあの方に掛かっております。」
私は目を険しくして言う。
女王陛下は飄々としている。
こういう時の女王陛下は何を考えているのか分からない。
また良からぬ事か・・・?
「タナソーリア、安定期に入ったら宴を開く。それまで侍医以外口外せぬ様取り計らえ。良いか?侍医以外だぞ?」
女王陛下はニヤリと笑う。
ああ!
オリンタール様は侍医に間諜を放っているのか!
「は!賜りました!」
オリンタール様の行動は、すぐに女王陛下に洩れる事になるだろう。
女王陛下もまた、オリンタール様に間諜を放っているのだから!
そして、宴で何かあるはず!
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