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しおりを挟む大学から家に帰ろうとしていると、友達が騒いでいました。
「どうかしましたか?」
「ああ!香織さん!校内に不審者が入ったのですって!怖いわね!すぐに捕まって警察に連行されたので、もう安心ですけれど・・・。」
「まあ!怖いですね。」
私はその時に自分に迫っている恐怖を知るよしもないのでした。
家に帰って来ると、すぐに慧一様が出迎えに来られ驚いていると、家族全員が出て来てまた驚きました。
「どうかしましたか?」
「どうしたじゃないだろう!不審者が大学に入り込むなんて!すぐに大学を辞めろ!」
「まあまあ、慧一。あと半年で卒業なんだから辞める迄もないが、明日から身を守る為にボディーガードを雇ったから、送迎車で一緒に行きなさい。」
「家元、ボディーガードは女性ですか?」
「勿論、女性だ。だが、腕が立つ人を紹介してもらったから大丈夫だろう。」
「全く、怖い世の中になった物だね。香織さん、何事も用心に越した事は無いから、半年我慢なさい。」
お婆様迄仰るので、私は頷きました。
「玄関先でなんですから、入りましょう。」
お母様が促して、私達は居間に移動しました。
「美弥子さんたら、こんな時にも出掛けていルなんてね!全く、嫁の自覚も無いのかしら?」
「まあまあ、お母さん。急な事だったですしね。」
お義父様がお婆様を宥めています。
「所詮他人ですからね。」
その時、遠くから祥弌ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
「まただわ。香織さん、祥弌を抱っこしてあげて。子守りも手を焼いているのよ。貴女が大学に行くと泣き始めるんだから。余程香織さんを信頼しているのね。」
「はい。お婆様。」
居間を出て手を洗い、祥弌ちゃんのお部屋に行くと、子守りの緒方さんが祥弌ちゃんを抱っこしてあやしていましたが、大泣きしています。
私は慌ててお部屋に入ると、祥弌ちゃんはすぐに私に気が付き、私に手を伸ばしてきました。
「祥弌ちゃん、ただいま。」
緒方さんから祥弌ちゃんを受けとると、途端に泣き止みました。
「お帰りなさい。ずっとこの調子で、大変でしたよ。」
ヒックヒックとしゃくりあげる祥弌ちゃんに、私の母性本能が擽られるのでした。
「すみませんでした。祥弌ちゃんは、ミルクを飲みましたか?」
緒方さんは首を振ります。
「ミルクを飲ませても、すぐに吐き出してしまうんです。」
「では、私があげてみますから、ミルクの準備をお願いします。」
「はい。」
緒方さんがお部屋を出て行きました。
「祥弌ちゃん、ちゃんとミルクを飲んで、大きくなってね。」
祥弌ちゃんをあやしていると、緒方さんがミルクを持ってきました。
私がミルクをあげると、ごくごくと飲みます。
余程お腹が空いていたのでしょう。
「良い子ね。祥弌ちゃん。」
飲み終え背中をポンポンと優しく叩くと、ゲフッとげっぷが出ました。
これで大丈夫です。
「良かったですね。お母さんよりもお母さんらしいですよ。」
緒方さんも、祥弌ちゃんがミルクを飲んでくれたので、軽口が出ました。
その時襖が開き、美弥子さんが帰って来ました。
「誰が母親らしく無いですって!子供を奪っておいて、何様よ!」
行きなりの大声に、祥弌ちゃんも驚いてしまい、泣き出してしまいました。
「ちょっと、何なのよ!」
祥弌ちゃんの大声に美弥子さんも狼狽えます。
そして、泣き止まないのを見て逃げ出しました。
「全く、なんなんでしょうね。」
緒方さんも呆れています。
~美弥子視点~。
何なのよ!
私が母親なのに、私を見て泣くなんて!
それでも私が生んだ子供なのかしら!
それにしても使えない男ね!
大学に侵入しただけで捕まるなんて!
バカみたい!
あんな女いなくなればいいのよ!
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