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しおりを挟む今日から、祥弌ちゃんが幼稚園に通います。
祥弌ちゃんは嬉しそうに走り回っていますが、私の方が緊張してしまい慧一様に笑われてしまいました。
慧一様は決して一人にはなるなと私を心配しています。
なぜかは教えて下さいませんが、私は心配を掛けてはいけないと思い従っています。
幼稚園への送迎は、私と私のボディーガードと祥弌ちゃんのボディーガード兼運転手と子守りの緒方さんの五人で行くことになっています。
祥弌ちゃんの通う幼稚園は、私も通っていた良家の子息、息女が通う幼稚園で、お迎えの人が決められていて、それ以外の人が迎えに来ても、園内にさえ入れてもらえない位厳しく管理された所です。
「お母様~!お友だちできるかな~?」
「ええ、きっといっぱいできますよ。楽しみね。祥弌ちゃん。」
「うん!」
「香織、気をつけて行ってきなさい。祥弌、外に出たらお母様の側を離れるなよ。」
「はぁい!お父様~!」
「香織さん、何もあなたが行かなくても、子守りに行かせれば良いのに。」
「お婆様、ご心配をお掛けしますが、私も祥弌ちゃんが心配なのです。申し訳ございません。」
「何も謝らなくても良いのだけれど・・・。」
「香織、気をつけてね。」
「はい。お母様。行って参ります。」
「いってきま~す。」
ボディーガードの方が、車のドアを開けてくれて私と祥弌ちゃんと緒方さんが乗り込みます。
車が発車して十分程で幼稚園に着きました。
幼稚園に着くとすぐに先生が来て、頭を下げてきました。
「おはようございます。上野宮祥弌君のお母様ですね。」
「はい。これから宜しくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願い致します。ちなみに後ろの方達はボディーガードの方ですか?」
「はい。あと子守りです。」
「申し訳ございませんが、今後出入りされるのであれば、写真を撮らせて頂きたいのですが。」
「ええ、お願いします。」
先生はそう言うと、二人のボディーガードと緒方さんの写真を撮りました。
ボディーガードの方達は面食らっていました。
それを見ていた祥弌ちゃんは、段々と不安な顔をして私を見上げてきます。
私はしゃがみこみ、祥弌ちゃんを抱き締めます。
「今日は入園式だから、そんな顔をしないでお友だちを一杯作りましょうね?」
「お母様~!いっしょにいて~!」
泣きそうな顔をした祥弌ちゃんを、なんとか宥めて先生に託します。
先生に手を引かれて私を見ると祥弌ちゃんは、なんだか可哀想でしたが数時間の辛抱です。
「若奥様、参りましょう。」
緒方さんとボディーガードの方と一緒に講堂に行きました。
入園式が始まると、元気な園児達の中に祥弌ちゃんもいて安心しました。
何枚も写真を撮ってきました。
今日は入園式だけなので、このまま祥弌ちゃんと帰る事となりました。
私達は車に乗り込み家に帰って来ました。
祥弌ちゃんはニコニコしてはしゃいでいます。
家に入ると、慧一様が帰って来た私の様子がおかしいのに気がついて心配してきます。
「香織?どうした?何かあったか?」
「いいえ、特に何もなかったのですけど、私は子離れできていないのだと思ったのです。明日から大丈夫でしょうか・・・。」
慧一様が抱き寄せて下さいます。
「大丈夫だ。香織が祥弌を気にするなら、気にならない様に祥弌が幼稚園に行っている間、ずっと抱き締めていてやる。」
「け、慧一様・・・!」
私は顔が紅くなってしまいます。
「フッ。香織なら大丈夫だ。」
「・・・。」
次の日、幼稚園に祥弌ちゃんと行くとやはり園内に入る時ぐずりだす祥弌ちゃんを抱き締めてあげます。
「祥弌ちゃん、先生の言うことを聞いて良い子にしていてね。すぐにお迎えに来るからね。」
「いや~!お母様といる~!え~ん!」
泣き出した祥弌ちゃんをなんとか先生に託しました。
先生に手を引かれて入って行きます。
「若奥様、そろそろ・・・。」
「・・・はい。」
ボディーガードに急かされて車に乗ります。
この気持ちも数時間の辛抱です。
心配でお迎えに行くと、祥弌ちゃんは笑いながら出てきました。
「きゃ~!お母様~!」
走り寄って来た祥弌ちゃんに、ホッと安堵しました。抱き止めて祥弌ちゃんの頭を撫でていると、先生が慌てて出てきました。
「あの、祥弌君のお母様・・・。実は、先程祥弌君のお母様だと名乗る方が来られて、連れて行くと言われたんです。祥弌君のお母様ではなかったので、お引き取りして頂きましたが、しつこく祥弌君を連れて行くと仰っていました。何かあると困りますので、必ずボディーガードの方と送迎にいらして下さい。」
「はい。ありがとうございます。」
顔面蒼白になる私に、先生が心配して下さいます。
「大丈夫ですか?」
「お母様~?」
「若奥様、帰りましょう。」
男のボディーガードが、祥弌ちゃんを抱っこして、私のボディーガードはふらつく私を抱えて車に乗せてくれます。
祥弌ちゃんのお母様?
美弥子さんが祥弌ちゃんをお迎えに来たのでしょうか・・・?
もしかしたら、祥弌ちゃんを奪って行ってしまう・・・?
そんな・・・!
「お母様、どうしたの?」
「な、何でもないわ。祥弌ちゃん、お友だちはできた?」
「うん!きよまさくんでしょ、あさひくんでしょ~。いっぱいできたよ~!」
「良かったわね。明日もお友だちと遊びましょうね。」
「うん!」
車はすぐに家に着きました。
家の車止めには慧一様が待っていて、その姿を見ただけで泣きそうになってしまいました。
「お母様~?」
「・・・ッツ。」
私は祥弌ちゃんを抱き締めます。
「お帰り。香織、祥弌。」
車のドアを開けた慧一様は、祥弌ちゃんを抱いていた私を抱き上げてくれました。
「お父様、ただいま~!」
「良い子にしていたか、祥弌。」
「うん!ぼく泣かないでいいこにしてまよ~!お友だちもできたよ~!」
私を抱いた慧一様は、軽い足取りで玄関に入りました。
「お帰りなさいませ。若奥様、祥弌ちゃん。若奥様!お顔の色が真っ青ですよ!大丈夫ですか!?奥様!奥様!大変です!」
お手伝いの滝さんが、私を見て騒ぎます。
滝さんの声を聞いたお母様とお婆様が、何事かと玄関迄来てしまいました。
「何事なの?まあ、香織!気分が悪いの?顔色が悪いわ!早く横になりなさい!」
「まあ!本当だわ!さあ、慧一お部屋に連れて行きなさい!」
「はい。」
お母様が、私から祥弌ちゃんを受け取りました。
祥弌ちゃんは、集まった人が大声を出していたので、不安そうな顔をしていました。
「祥弌ちゃん、大丈夫よ。心配しないでね。」
私は一言言うのがやっとでした・・・。
「香織、行くぞ。」
「はい・・・。」
慧一様は、私を抱いたままお部屋まで運んで下さいました。
お部屋に入って、ベッドに優しく下ろしてくれます。
慧一様は既に美弥子さんが幼稚園に来たのをご存知の様です。
「香織、心配するな。あの女はもう幼稚園には行かないから。」
「・・・本当ですか?私達から祥弌ちゃんを奪って行ってしまうのでは・・・。」
涙が溢れて止まりません。
慧一様は私の涙をハンカチで拭ってくれます。
「心配するな。私が何とかするから。」
慧一様は私に優しくキスをしてくれました。
そして、私が寝付くまで髪を撫でていてくれたのでした・・・。
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