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26~慧一視点~。
しおりを挟むあの女!やってくれたな!
また香織を泣かせて!
許さない!
スマホである男に指示を出し、小切手を用意させる。
そしてあの女に電話をする。
「何の用?」
「何の用だと!何でお前が、祥弌の幼稚園に迎えに行ったんだ!」
「あら、悪い?自分の息子を迎えに行って何が悪いのよ!私が産んだ息子よ!金も出さない奴に言われたくないね!」
「お前には何の権利も無いだろう!祥弌を売った癖に!」
「あんなはした金じゃあ売れないんだよ!一億持ってきな!」
「良いだろう。一億だ。後から催促してもそれ以上やらないからな!六時にHホテルの展望デッキに来い!その時に小切手をくれてやる!時間に遅れたらそれまでだ!」
「ええ。いいわ!じゃあ後でね。」
電話を切り、警察にも電話する。
眠る香織の青白い顔を覗き込んで、頬にキスをする。
済まない、香織。
これ以上は泣かさない。
展望デッキに私は珍しくツウピースの背広を着て一人で窓の外を見ていた。
腕時計を見ると、もうすぐ六時になる。
コツコツとハイヒールの音がして振り返ると、美弥子が派手な男を連れてこちらに歩いて来た。
男は最近美弥子と知り合ったやくざの下っ端だ。
美弥子の情報は、逐一探偵に探らせている。
美弥子と縁が切れるまでは情報を掴んでおかなければならない。
「時間通りね。さあ、小切手を寄越しな!一億じゃなきゃ息子は売らないよ!」
全く下品な女だ。
これが私の妻だったなんて最悪だ。
「渡したら、すぐに消えろ。今度目にしたら、ただじゃおかない!後悔させてやる!」
「ふん!いいわ!一億手に入れたら、綺麗に消えてあげる。」
私は内ポケットから小切手の入った封筒を出し美弥子に渡す。
美弥子はすぐに開けて、一億の数字を見てニヤリと下品な笑顔を見せる。
これで美弥子との縁も切れるだろう。
「いいわ!消えてあげる!じゃあね!」
男と共に美弥子は早足に去って行った。
あんな女に一億も渡す筈がない。
あの小切手は罠だ。
換金しようとしたら、盗難された小切手だとすぐに分かるだろう。そうしたら警察行きだ。
これで悪縁も切れるだろう。
私は急いで家に帰る。
香織の事が心配だった。
私が出掛ける時も香織は眠ったままだったのだ。
駆け出したい気持ちを抑えて車に戻る。
運転手に急ぐ様に言い、後部座席に身を預ける。
~香織視点~。
目が覚めると、祥弌ちゃんが泣きそうな顔をして私を覗き込んでいました。
「お母様、おめめあいた~。ぼくが見える~?」
「祥弌ちゃん、泣かないで。お母様はもう大丈夫だから。」
「ほんと?」
「ええ、本当よ。まあ、もう六時半ね。祥弌ちゃん、ご飯は食べた?」
「ちょっとだけたべた。」
「ちょっとだけ?お腹は空いてない?」
「うん!お母様といっしょにたべる~!」
「そうね。一緒に食べましょう。」
ベッドから何とか身体を起こすと、ぐらりと目が廻る。
「香織!大丈夫か!」
身体に腕を回され、慧一様の胸の中に捕らわれて安堵から力が抜けました。
「慧一様、ありがとうございます。もう、大丈夫です。」
「何を言っている!こんなにも顔色が悪いのに!」
「慧一様の腕に抱かれて、安心してしまいました。祥弌ちゃんにも心配を掛けてしまって、母親失格ですね。」
「お母様~。」
泣きそうな祥弌ちゃんの紙を撫で、少しでも安心して欲しかった。
「慧一様、お夕食は召し上がりましたか?祥弌ちゃんが、少ししか食べていないみたいなので、一緒に食べましょう。」
食欲は無いですが、祥弌ちゃんに何か食べさせてあげないと。
「大丈夫か?無理をしているなら、私が祥弌に食べさせてくるが・・・?」
「いいえ、大丈夫です。心配なさらないで。私は母親なのですから、これくらい大丈夫です。」
「分かった。私は着替えてくるから、一緒に食べよう。」
「どこかにお出かけしていたのですか・・・?」
「ああ、近くに大事な用があってな。今帰って来た所だ。」
「そうでしたか。」
良く見ると、あまり着ているのを見ない背広姿でした。
慧一様の普段着は、着物だった為見惚れてしまいます。
「ああ、顔色が戻ってきたな。」
「はい。慧一様のお陰です。その背広、お似合いですね。」
私ははにかんで慧一様に言うと、慧一様はフッと男らしく笑い、私に軽いキスをしてきました。
「その様子なら大丈夫そうだな。」
「はい・・・。」
私は自然に笑顔が出てきました。
~美弥子視点~。
ちくしょう!
あの小切手に騙された!
あの野郎、絶対に許さない!
あの男が大事にしている女を壊してやる!
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