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しおりを挟む「おかあさま~。ぼくの弟と妹はいつお家に帰れるの~?」
祥弌ちゃんが無邪気に聞いてきます。
「そうね、もう少し後になるのよ。」
「ふ~ん。」
今日は私の退院の日です。
私は帝王切開の傷もふさがり、術後の経過も良好との事で退院が決まりました。
でも、子供達はまだ低体重の為入院していなければなりません。
「香織、子供達を見てから帰ろう。」
「はい。」
慧一様がお迎えに来て下さり、家に帰ります。
「ああ、まだあんなに小さいんだな。」
私がもっと大きくなるまでお腹の中でも育ててあげられれば、一緒に帰られたのに・・・。
「香織?どうした?」
慧一様が私を気遣って下さいます。
泣きそうな顔をしていたのか、慧一様は私の肩を抱き寄せて下さいました。
「大丈夫だ。二人共元気に生きている。香織が一緒懸命産んでくれたおかげだ。ありがとう。」
「慧一様・・・。」
「おかあさま~?」
祥弌ちゃんも心配そうな顔をします。
「ごめんなさい・・・。産まれてくれただけで奇跡ですものね。こうして生きていてくれている。本当に嬉しいです。」
「ああ、香織。そうだ。産んでくれてありがとう。」
「おかあさま~、ありがとう~。」
祥弌ちゃんもピョンピョン跳ねながら言ってくれて、笑ってしまいました。
「さあ、帰ろう。」
「はい。」
「おかあさま~、抱っこして~!」
「こら!祥弌、まだお母様は抱っこできないんだぞ。重たいお前を抱いたら、傷が開く。」
「キズ~?おかあさま痛いの~?」
「そうだ。だから、抱っこは私がしてやる。」
慧一様は、祥弌ちゃんを肩に抱き上げています。
「わ~!たか~い!」
きゃあ~と嬉しそうにしている祥弌ちゃんに私も嬉しくなります。
「香織、そろそろ子供達の名前を付けてあげないか?」
「ええ、そうですね。」
「家元が唸っていたぞ。お婆様は名前の運勢占いを気にしていたしな。」
「まあ、そうなんですか?」
私が驚いていると、慧一様は私にキスをしていました。
「け、慧一様!」
私が顔を赤くしていると、慧一様の肩の上の祥弌ちゃんも抱きついて来ました。
「おかあさま~、ちゅう~!」
祥弌ちゃんが私の頬にキスをしました。
「うふふ。」
「さぁ、行こう。」
「はい。」
そうして私達は家路に着きました。
家に着くと、ほっとしました。
「香織、帰って来たのね。お義父様が呼んでいますよ。多分、名前を決めたいのね。」
お母様が、やれやれとため息を吐きました。
「お義父様は既にじじバカね。祥弌ちゃんはの時とは大違いね。さぁ香織、行きましょう。」
「はい。」
居間に行くと、お義父様とお婆様が満面の笑みで迎えてくれました。
「ああ、香織さん。お帰りなさい。一息いれる前にごめんなさいね。どうしても早く名前を決めておきたかったから。どんな名前が良いかしら?幾つか候補があるのだけれど、どれもいまいちな気がして・・・。」
「慧一、お前は名前を考えていないのか?やはり神社で神主に決めてもらいますか?お母さん。」
お義父様の嬉しそうな笑顔に複雑な気持ちになります。
「・・・あの・・・。」
「うん?どうした?」
「・・・響と静・・・、でどうでしょうか?」
私は考えていた名前を言ってみます。
「響と静・・・。男の子が上野宮響で、女の子が上野宮静か・・・。うん!良いじゃないか!香織、良い名前を考えたな!」
お義父様は満面の笑みで言います。
「響と静。ええ、本当に良い名前ですよ。さすがですね!それでこそ私の孫の嫁ですよ!良い嫁を貰いましたね!慧一!」
「はい。」
お婆様が私を誉めてくれますが・・・。
「香織さん、響はいつ帰って来るのかしら?」
お婆様は響がとても気になるようです。
「ええ、お婆様。響は自発呼吸ができる様になりましたが、まだ身体が小さくて保育器から出られません。後、一月は無理でしょう。」
慧一様がお婆様に言います。
「まあ!一月!そんなに会えないなんて!いいえ!明日にでも会いに行きましょう!響は我が家にとって大事な子ですからね!」
・・・大事な子・・・。
「慧一、香織さん。明日は病院に行かないのですか?行くのならばお供しますよ!」
「はい、お婆様。響と静に乳をあげに昼前には行くつもりです。私も一緒に行くので、ご一緒しますか?」
慧一様がにこやかに話します。
お婆様は乗り気で頷きます。
祥弌ちゃんを見ると、いつの間にか眠ってしまった様です。
「・・・お婆様、祥弌ちゃんを寝かせてきますね。」
「・・・ええ。」
お婆様は顔を背けます。
その様子に私は何だかやるせない気持ちになります。
慧一様はそんな私に気が付いた様で、私の肩を抱き居間を出ます。
「香織、お婆様は悪気がある訳じゃない。ただ、美弥子の子というのがお婆様の中で整理できていないんだろう。家元とお義母さんは祥弌を可愛いがっているから、心配するな。」
「・・・はい・・・。」
廊下を歩き祥弌ちゃんの部屋に入ると、緒方さんが部屋の掃除をしていました。
「まあ!若奥様!お帰りになったんですね!もう傷の方は良いんですか?帝王切開も痛いと聞きますしね。」
緒方さんはいつも祥弌ちゃんに良くしてくれて、私も安心して任せられます。
「ええ、まだ痛いのですけど、傷も治りましたし祥弌ちゃんを一人にするのは心配だったんです。緒方さん、祥弌ちゃんはちゃんと良い子で寝てくれましたか?ごはんは食べていますか?」
緒方さんははははと笑います。
「ええ!若奥様がいない間、早く弟か妹が来ないかとずっと言ってましたよ。まあ、正直寂しいと思ってたとは思いますが、期待も大きかったと思います。だから、基本的に良い子でした。 」
私は安心しました。
「緒方さん、ありがとうございます。」
お礼を言うと、緒方さんは手を振ります。
「若奥様ったらよして下さいよ!仕事ですし、祥弌ちゃんは可愛いし、私も子守りの仕事が長いですが、良い子だと私も楽しいので、こちらでは長く勤めさめせて頂きたいですね。」
緒方さんも、笑って言います。
私はほっとします。
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