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しおりを挟む主治医のいる病院に転院して、産婦人科で腹部エコーをすると、主治医の加藤先生は難しい顔をしています。
「先生、どうですか?」
「・・・ええ、確かに妊娠していますね。しかも双子ですね。ほら、見えますか?」
「香織、双子だぞ!でかした!」
「・・・そうとも言えませんね。」
先生はまだ難しい顔をしています。
「先生、何故ですか?」
「香織さんは妊娠に適した子宮をしていません。それなのに双子とは・・・。出産は難しくなるでしょう。」
「そんな・・・!どうにかならないのですか!?」
先生に掴み掛かりそうな慧一様は、顔色が悪く今にも倒れてしまいそうです・・・。
「そうですね・・・。できる限り子宮で育てて、帝王切開で取り出すほかに無いと思います。ギリギリ迄やってみましょう。母体に負荷が掛かるので、安定期に入るまでこのまま入院して様子を観察します。」
「はい。お願いします。」
「安静にしていて下さい。できれば、34週迄はもたせたいんですが、25週での切迫早産もあり得ます。最悪それ以前になってしまったら、流産の危険がありますので、気を付けて下さい。」
「はい。お願いします。」
「・・・。」
車椅子を慧一様が押して下さっていますが、何だか私よりも怖がっているようです。
「慧一様、きっと大丈夫です。」
「そうですよ。妊娠が無理だと言われていたのに、こうして妊娠できたんですから。三人の父親になるんですから、もっとどっしりと構えていていなさい。」
お母様が慧一様に言います。
「・・・はい。ですが、こんなにも大変な事だとは知らず、妊娠を望んでしまいました。香織、済まない。」
「いいえ、慧一様は悪くありません。私の身体が弱いから・・・。」
「香織・・・。」
「もう、二人共。大切な命が宿ったのだから、心安らかにしていなさい。先生も言っていたでしょう?安静にしていなさいと。」
「はい。お義母さん。」
それから入院して安静にしていました。
~慧一視点~。
「・・・ッ。」
「香織?どうした?」
「お腹が張って、何だか痛いんです・・・。」
私はすぐにナースコールを押す。
すぐにナースが来た。
「先生を呼びますね。このまま安静にしていて下さい。」
ナースが走って行き、先生が来る時間が長く感じた。
「香織・・・!」
先生が来て、香織の様子を見る。
「香織さん、お腹が張っているそうですが?」
「・・・はい。少し痛いのですが・・・。」
「ちょっと失礼。」
先生が毛布をはがすと、布団に血が着いている。
「香織さん、もう26週ですから帝王切開しましょう。流産の危険があります。」
「香織!」
「先生、お願いします。子供達を助けて下さい。」
「ええ、全力をつくします。急いで手術室を用意して!」
「はい!先生!」
先生が慌ただしく部屋を出ていく。
「香織、大丈夫か?」
「ええ、慧一様。お母様に連絡して下さい。今日は祥弌ちゃんが病室に来る予定なので、ボディーガードの方に連絡して家に帰って欲しいと連絡して下さい。それと・・・。はあ・・・。」
「香織、もういい。やっておくから、静かにしていろ。」
おろおろしながら香織が言っていた連絡をしていると、ナースがベッドをそのまま動かして、手術室に移動する。
「お義母さん、今香織が手術室に運ばれました。祥弌に病院に来ない様に連絡をして下さい。」
「まあ!まだ早いでしょう!?」
「ええ!でも出血していて、流産の危険があると言われました。」
「まあ!分かりました!今からそちらに行きます!」
「はい!お願いします!」
手術室の前にどれ程いたのか、お婆様と家元、お義母さんが到着した。
「慧一さん、どうですか?」
「はい。まだ何も分かりません・・・。所で祥弌はどうなっていますか?」
「心配しないで。ちゃんと連絡しておいたから。」
「はい。」
私は落ち着かず、うろうろと廊下を歩き回る。
何時間そうしていたのか、手術室の扉が開いた。
「おめでとうございます!男の子と女の子の双子ですよ。」
「まあ!なんて御目出度いんでしょう!」
「妻は!妻はどうなったんですか!?」
「まだ処置中です。」
手術室から二台の保育器が出てきた。
「低体重ですが、女の子は自己呼吸もできます。男の子は低体重の上に、自己呼吸が出来ません。」
「ええ!それでも大丈夫ですか!?」
「はい。人口呼吸器を使っていますから。」
ナースは、二人の保育器を新生児集中治療室に連れて行く。
「慧一、私達は子供達を見てくるから、香織が出て来たら知らせなさい。」
「はい。家元。」
それから三十分程して、香織が手術室から出てきた。
「香織!」
「ご主人様、まだ麻酔が覚めていなくて起きていません。」
「手術は成功したんですか!?」
「はい。子供達も、香織さんも無事です。ただ麻酔が切れたら、切ったお腹に痛みがある他に症状があれば言って下さい。」
「はい。ありがとうございます!」
ストレッチャーでナースが香織を病室に運ぶ。
「香織、良かった。子供達も無事に産まれて来たぞ。」
香織の手を握りしめて頬に当てる。
「・・・う・・・。」
「香織!気が付いたか!」
握っていた手が弱い力で捕まれる。
「・・・慧一様・・・。子供たちは・・・?」
「ああ!大丈夫だ!無事に産まれて来たぞ!」
ほう・・・。と香織が息を吐く。
「香織、ありがとう!息子と娘を生んでくれて!お前との子供ができるなんて夢の様だ!愛してる!」
香織の額にキスをする。
「・・・慧一様・・・。」
「香織、腹は痛むか?他に違和感があるか?」
「・・・いいえ。まだお腹が熱いだけで痛くはないです・・・。」
「そうか。」
部屋のドアが開き、三人が入って来た。
「まあ!香織さん!戻って来たのね!」
「香織、大丈夫?」
「香織、良くやってくれた。」
三人共香織を労ってくる。
「・・・ありがとうございます。祥弌ちゃんはどうしていますか?」
「ええ、緒方さんが見ていてくれてます。大丈夫よ。明日、連れて来ましょうね。」
お義母さんが香織に言う。
「・・・はい。お母様。」
「お義母さん、子供達はどうでしたか?」
「ええ、保育器に入っているけれど、26週にしては育っているみたい。男の子は呼吸器をしていて顔が分からなかったけれど、女の子は目鼻立ちもしっかりしていて可愛いわ。」
「まあ、お母様ったら・・・。」
香織が笑ってくれた。
良かった・・・。
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