思想学部

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一年生

運動会!⑤

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2番目、3番目とバトンが渡されていく。

どのクラスも、みんないい調子で、差がほとんどない。

それを見て、頑張ってるな…。と少し罪悪感が心に。

しかし、僕が心で決めたこと。

普通になるためには、どんな状況であろうと、今回は負けなくちゃいけない。

そうしていると、1組はしずくさんにバトンが渡った。

とても頑張って走っている。

なんだか、その様子に応援したくなってきた。

直後、彼女は地面につまずく。

そうして、その場で泣いてしまった。

すると、同じクラスの主に男子から、ブーイングが巻き起こる。

頑張ってる中で、こうなってしまえば、イライラしてしまうのも仕方ないのかもしれない。

けれどもこの状況は可哀想だ。

そう思いつつも、何もできない自分が居た。

助けてあげたいのは山々だが、もうすぐで自分の出番が来る。

心の中で謝った。

そして、位置に着く。

2組と3組が、とても拮抗してやってきた。

ふと、すすむくんの様子を見ようと隣を向くと、そこには誰も居ない。

バトンが渡されて、走りながら、どこへ…?とチラチラ確認すると、彼はしずくさんの元に居た。

ブーイングをおくっていた男子達に、ガオーと言って辞めさせる。

そして、「しずくさんなら大丈夫!」と笑った。

彼女はそれを見て、少し泣きながら、また走り出す。

すすむくんはそれに安心すると、自分のところへ戻り、バトンを受け取った。

僕はそれを見て、やっぱり、すすむくんだな…。となんだか嬉しかった

───────

すすむくんは、さっきの事で、とても同じクラスの人に言われる。

それもそのはず、そこから1組が3組を抜かし、全体でも、リレーでも3組は3位になってしまった。

しずくさんに何もしてなければ、1位もおかしくはなかったはずが。

人思い、仲間思いな人。

終わってから、すすむくんはおとねさんに感謝と沢山謝られていた。

ただ、それに笑う。

さっきの責めがなかったような、穏やかな笑い。

ところで、僕はすっかり忘れていた。

2位を目指していたことを…。

気付けば、2組はリレー1位で、全体でも1位。

僕が考えていた普通計画はなくなってしまった。

そして、閉会式が行われた

後は、表彰の発表、校長先生の話と歌。

表彰は関係ないが、歌は、毎年変わっていると言う。

今朝配られたものなので、歌えるかどうか不安だ。

表彰が行われる。

特にこの運動会で活躍した人。

それは誰なのだろう。様子を見ていると、発表された。

「間分太くん」

それは僕の名前だった。

え、僕!?

心の中で、思いつつも、振り返ってみれば、縄きり、鳥と、1位に貢献する。

更には部活でも、みんなをビリから救い、リレーでは、間接的に、とても重要な局面でクラスを1位に。

そうだった…。

今日やけに運がいいと思ったら…。

僕はみんなの前にでる。

「今日は頑張りましたね」と。

みんなの前で一言を求められる。

緊張したが、すすむくんのことを思い出して、決意する。

「今日頑張れたのはみんなのおかげです。ありがとうございます!」

僕はそのなかで、すすむくん、おとねさん、みちかさん、しずくさんを見た。

みんなが居なければ、何かしようと思わなかったし、とても大事なものを教えてくれた気がした…。

僕はみんなの中に戻る。

そして、校長先生の話がはじまる。

「今日は1日、お疲れ様でした。皆さんは楽しめましたか?」

「私はとても楽しめました。人との繋がり、助け合い、誰かを守ること。」

「とても多くのことが見れました。やって良かったと思うのです。」

「ところで、美愛を知っていますか?これは私が考えた言葉で、美しいもの、いいものを愛するという意味があります。」

「この言葉の通り、あなた達には、悲しいもの、苦しいものばかりではなく、その中にある美しいものを見て欲しいのです。」

「世界は悪いものばかりではなく、いいものも沢山あるのですから。」

校長先生はそう言うと、話は以上ですと下がった。

次は歌の時間。

音楽が流れてきた。

わたしには ひとをあいする
 ゆめがある きぼうをしんじ つらぬいてゆく 

かなえたい あなたのゆめは なんですか たのしくいきる あかるいみらい 

おおくある たくさんのゆめ そのなかで わたしはいきる ただげんざいを

──────

なんとか歌いきった。

みんなもそうだが、ずっと棒読み。

はじめての歌だから仕方ない。

運動会はこの歌で終わった。

色々なことがあった…。振り返れば、長く色々あったなぁと浮かんでくる。

更には、明日以降、賞状をみんなの前で貰わないと。

普通を目指していた僕の生活が…。

そう思いつつも、楽しかった自分がいた。

今日はありがとう。心の中で、みんなにもう一度感謝した────

部屋で校長先生が1人。

「今回は、あの頃と同じで、また違うものを見ました。

これからが楽しみです。」

「期待してますよ、思想学部さん」

そう呟いた──────
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