思想学部

ケーキ

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ニ年生

過去物語❽

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「はみさん。」

はじめて会った人は、みんな私の事をそう呼ぶ。

「出席をとります。」

小学校の時、先生はそう言って、生徒の名前を呼んで行った。

「はみさん」

そう呼んで、誰も答えなかった。

「あれ、はみさんは欠席かな?」

そして、決まってこういう。

「ごめんごめん、うみさんの漢字読みづらいね。」

同い年の子も、よくはみさんと呼ぶ。

私は人と関わるのが少なくなった。

そのかわり、私は本を読むのが多かった。

誰か1人の人生や、その性格が文章に色濃くでているもの。

私はそれがとても好きだった。

そこには、色々な性格の人がいて、色々な生き方があった。

ある日、私は、思い切って誰かとお話してみようと考える。

だけど、どうしたらいいか分からなかった。自分ってなんだろう?

どんな話し方もすればいいのだろう?

すると、ふと、今まで読んだ本の人の性格が浮かんできた。

そうだ、この人達のように、関わってみよう。

私はそう思った。

だけど…。

「性格思ってたのと、違う。名前の通り、はみ出しものみたい。」

「うみって名前らしいよ。だけど、初めて見たら、絶対、100%の人が名前間違えるよ。」

そう言って笑われた。

私は人と関わるのが怖くなった。

中学校になっても、名前の間違いは変わらない。

だけど、変わったことが少しあった。

部活、私みたいに、変わったものがあった。

いろいろ部。へんてこな名前。

私はそれをみて嬉しくなった。

なんでも自由にできる部活。

だけど、そこでも、私は浮いていた。

部活中はずっと本を読んでた。

私はその時間がいつもより好き。

自由がコンセプトの部活だったからかもしれない。

だけど…。

1年生の時は私以外、2年生の時、誰もこの部活に入らなかった。

卒業する3年生が、「この部活、はみさんだけになるね」と言って去っていった。

続けていきたい…。そう思ったけど、私にはどうすることもできない。

誰かを誘うなんて事も…。

でも、いいや…。

私一人で、この部室に居よう。

落ち着くから…。

3年生になって、私は放課後、この場所で1人で本を読んでいた。

周りには誰も居なかったけど、寂しくなかった。

本の中に、どんな時でも一緒に居るから…。


ある日、私が本を読み終わり、顔をあげる。

そこには、1人の女の子が私の顔を見ながらにっこりしてた。

それが、彼女との出会いだった。

この子も変わってる。

私のことをお姉ちゃんってよんだり、話してて思った。

だけど、心を許すことはできなかった。

この子も多分、みんなと同じで…


またある日のこと、1人の女の子が、私を探しに来た。

お姉ちゃんは居ますか?って。

私はすぐに、その女の子を連れて離れた。

歩きながら、女の子は言った「名前の漢字見ました!うみって名前なんですね!」

「とっても可愛くていい名前!」

そう言って微笑んだ。

私もそれにつられて頬にえくぼができる。

「ありがとう。」


その日から、彼女と少しずつ仲がよくなっていった。

自然と、彼女と過ごしてる日々が楽しいと感じるように。

この子と一緒にいると元気になる。

なるべく長く一緒に居たいって…。

だけど、その時、私はもう3年生。

来年は高校生になる。

この子とは一緒に居れないし、更に未来のことも考えなきゃいけない…。

私、これからどうなるんだろう。

もし、仕事につくとしたら、何になるんだろう…?

人のモノマネしてるから、そっちの仕事…。

もっと、違ったことがしたい…。

歩いていると、ある人を見かけた。

とても暗く悩んでいるような女の子の隣に座って、話を聞く同い年くらいの男の子。

女の子は自分の悩みを相談していた。

その時、彼は言った。

「俺は居なくならない。一緒に来ないか?」

女の子の方はとても救われたように、彼の言葉に「はい」と答える。

彼と一緒に居れば…もしかしたら…

私はそう思った。

だけど、あの子の事を思い出す。

一緒の高校に行こうって言ってくれた…。

私はそうしたいけど…。

でも…。

それからまた数日経って、あの子と会った。

私は思い切って言う。

「もうそろそろ、卒業するけど、心残りがあって…。」

「お姉ちゃん、なんでしょう?」

「実は…部活、私が卒業したら、無くなっちゃうかなって…。」

「そこが寂しくて…。」

それも思ってることだけど…本当に言いたいことは…。

すると、彼女は答えた。

「お姉ちゃん、大丈夫だよ!私の友達が一緒に続けてくれるって!」

彼女の笑顔に私は何も言えなかった。

とても純粋で優しい笑顔…。

私はあなたに救われたの…

もし、できることなら…。


高校に入って、あの子とは全く会わなくなった。

だけど、あの男の子と一緒の場所。

何か私の中の変化…。

少しずつ近付いていった

でも、その中で、時々、思い出すことがあった。

あの子のこと…
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