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ニ年生
母国
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「シソウ、今日で最後だね。」
「うん。」
「これから…」
トモさんはそう言いかけた。
今まで、色々創作を言って、それを受け入れてくれた思想学部の人。
そして、この環境としばし別れなければいけない。
僕は折角なので、誰かに、自分の考えを話そうと思った。
相手の考えも聞きたかったから。
「ぶんたさん!」
「こんにちは!シソウくん。
やっぱり、少し下で呼ばれるの慣れないな…。」
「そうなんですね。」
「今日はどうしたんですか?」
「話したいことがあって!」
「よく言ってる創作かな?聞きたいです!」
「苦しい時とか、現実に悲観してる時しか、人間は創造的なアイディアは浮かばないと思うんです。」
創作の中に登場する、偉大な人物達がそうだったから。僕はとてもその考えに自信があった。
ぶんたさんは考えながら言う。
「そうかな…?楽しいことが続いてる時でも、アイディアは浮かんでいいと思うよ。」
心の中で驚いた。
「だけど、上手くいってる時程、そのいいところばかり考えて、中々、今を変えたいとは思わないと思うんです。」
だけど、ぶんたさんは理解してくれない。いつもだったら…。
次に、すすむさんの会った。
今度こそ!
そう思って僕は話しかけた。
「すすむさん!」
「どうしたの?」
「考えを言いたくて!」
「なんでも言って!」
「えっと!優しい人が傷付くとか聞きますが、僕はこう思うんですよ。」
「酷い人でも、傷付くことは沢山あるって!それが当たり前すぎて忘れてるだけで。」
「うん。」
「そして、本当に傷付くのは、優しい人か、酷い人とかは関係なくて。」
「何もない時に傷付くんだと思うんですよ。普通の時程、悲しみや、嬉しいことが舞い込みやすい!」
しかし、すすむさんも、ぶんたさんと同じ反応を見せる。
「そうかな…。僕は、嬉しい時に、嬉しいことがあってもいいと思うよ!」
その時、深く何も言わず、すすむさんともわかれた。
肯定してくれるって、心の中でどこか期待してたのに。
2人とも、肯定してくれなかった。思いついて、嬉しかったし、楽しかったのに。
この喜びを分かち合えると思ってたんだ。
だけど、そんなことはなかった。今までのことは嘘だったのか…。
少し寂しかった。だけど、このくらいが丁度いいのかもしれないとも思った。
逆に全く同じ考えを持ってる訳では無い。
それが分かった。
だが、寂しさはある。
すると、後ろから、すすむさんが追いかけてきた。
「違う意見を言ったけど、君の考えもいいと思うよ。」
「ありがとうございます。」
「もうそろそろ、帰るんでしょ?」
「はい…。帰りたくはないですけど…。」
「渡したいものがあるんだ。」
「なんですか?」
すすむさんは一冊の大きめの本を取り出した。
「これ。1年生の時、先輩に貰ったんだ。」
僕はそれを開いて思う。
「絵本…?」
「うん。前に、とても助けられた気がしたんだ。」
「それを、どうして僕に…?」
「今の自分にはもう大丈夫だと思って。だから、今、必要な人に渡したくて。」
「僕に必要…?」
「うん。君が本当に困った時、助けになるかもしれないから。」
「君は、きっと、何か凄い人になると思うんだ。」
僕はそっと、「ありがとうございます!」と言って、その絵本を貰う。
そういえば、これではないけど、絵本を見たことがあるかもしれない。
小さい頃、持ってきて見せてくれた。
原点か…。
その後、思想学部の人に、トモさんはお別れを言った。
その時の、思想学部の人達は、いつものように優しかった。
帰路の途中、トモさんは言う。
「来てよかったね。」
「うん。」
僕の頭の中に、思想学部で過ごした日々が浮かんでくる。
創作も沢山した。
それは全部ノートに書いておいて、今は、殆ど忘れてしまったが、とても充実した日々だった。
もう一度、来れたらいいな。
自分にとってのサードプレイス、それが…
その時、ふと、リアルくんの顔が浮かんだ。
そういえば、1年くらいあってない。
彼は今、どうしてるんだろうか…
──────
最近、創作という言葉をめっきり聞かなくなった。
この国はよりよくなっているのだろうか?
「兄さん!」
弟が彼の名を呼ぶ。
そして、彼は言った。
「少し聞きたいことがある。」
「なに?」
「父さんの考えは正しかったのだろうか?」
「もちろん。正しい勉強を正しい方法で学んできた、正しいお父さんが間違えるはずないよ!」
「そうか…。」
ただ、男の頭の中に、誰かの顔が浮かんでいた。
そして呟く。
「シソウ…?」
───────
「うん。」
「これから…」
トモさんはそう言いかけた。
今まで、色々創作を言って、それを受け入れてくれた思想学部の人。
そして、この環境としばし別れなければいけない。
僕は折角なので、誰かに、自分の考えを話そうと思った。
相手の考えも聞きたかったから。
「ぶんたさん!」
「こんにちは!シソウくん。
やっぱり、少し下で呼ばれるの慣れないな…。」
「そうなんですね。」
「今日はどうしたんですか?」
「話したいことがあって!」
「よく言ってる創作かな?聞きたいです!」
「苦しい時とか、現実に悲観してる時しか、人間は創造的なアイディアは浮かばないと思うんです。」
創作の中に登場する、偉大な人物達がそうだったから。僕はとてもその考えに自信があった。
ぶんたさんは考えながら言う。
「そうかな…?楽しいことが続いてる時でも、アイディアは浮かんでいいと思うよ。」
心の中で驚いた。
「だけど、上手くいってる時程、そのいいところばかり考えて、中々、今を変えたいとは思わないと思うんです。」
だけど、ぶんたさんは理解してくれない。いつもだったら…。
次に、すすむさんの会った。
今度こそ!
そう思って僕は話しかけた。
「すすむさん!」
「どうしたの?」
「考えを言いたくて!」
「なんでも言って!」
「えっと!優しい人が傷付くとか聞きますが、僕はこう思うんですよ。」
「酷い人でも、傷付くことは沢山あるって!それが当たり前すぎて忘れてるだけで。」
「うん。」
「そして、本当に傷付くのは、優しい人か、酷い人とかは関係なくて。」
「何もない時に傷付くんだと思うんですよ。普通の時程、悲しみや、嬉しいことが舞い込みやすい!」
しかし、すすむさんも、ぶんたさんと同じ反応を見せる。
「そうかな…。僕は、嬉しい時に、嬉しいことがあってもいいと思うよ!」
その時、深く何も言わず、すすむさんともわかれた。
肯定してくれるって、心の中でどこか期待してたのに。
2人とも、肯定してくれなかった。思いついて、嬉しかったし、楽しかったのに。
この喜びを分かち合えると思ってたんだ。
だけど、そんなことはなかった。今までのことは嘘だったのか…。
少し寂しかった。だけど、このくらいが丁度いいのかもしれないとも思った。
逆に全く同じ考えを持ってる訳では無い。
それが分かった。
だが、寂しさはある。
すると、後ろから、すすむさんが追いかけてきた。
「違う意見を言ったけど、君の考えもいいと思うよ。」
「ありがとうございます。」
「もうそろそろ、帰るんでしょ?」
「はい…。帰りたくはないですけど…。」
「渡したいものがあるんだ。」
「なんですか?」
すすむさんは一冊の大きめの本を取り出した。
「これ。1年生の時、先輩に貰ったんだ。」
僕はそれを開いて思う。
「絵本…?」
「うん。前に、とても助けられた気がしたんだ。」
「それを、どうして僕に…?」
「今の自分にはもう大丈夫だと思って。だから、今、必要な人に渡したくて。」
「僕に必要…?」
「うん。君が本当に困った時、助けになるかもしれないから。」
「君は、きっと、何か凄い人になると思うんだ。」
僕はそっと、「ありがとうございます!」と言って、その絵本を貰う。
そういえば、これではないけど、絵本を見たことがあるかもしれない。
小さい頃、持ってきて見せてくれた。
原点か…。
その後、思想学部の人に、トモさんはお別れを言った。
その時の、思想学部の人達は、いつものように優しかった。
帰路の途中、トモさんは言う。
「来てよかったね。」
「うん。」
僕の頭の中に、思想学部で過ごした日々が浮かんでくる。
創作も沢山した。
それは全部ノートに書いておいて、今は、殆ど忘れてしまったが、とても充実した日々だった。
もう一度、来れたらいいな。
自分にとってのサードプレイス、それが…
その時、ふと、リアルくんの顔が浮かんだ。
そういえば、1年くらいあってない。
彼は今、どうしてるんだろうか…
──────
最近、創作という言葉をめっきり聞かなくなった。
この国はよりよくなっているのだろうか?
「兄さん!」
弟が彼の名を呼ぶ。
そして、彼は言った。
「少し聞きたいことがある。」
「なに?」
「父さんの考えは正しかったのだろうか?」
「もちろん。正しい勉強を正しい方法で学んできた、正しいお父さんが間違えるはずないよ!」
「そうか…。」
ただ、男の頭の中に、誰かの顔が浮かんでいた。
そして呟く。
「シソウ…?」
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