異世界に転生したらめちゃくちゃ嫌われてたけどMなので毎日楽しい

やこにく

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掃除

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僕って何で、掃除好きなんだろう。

倉庫から取り出してきた雑巾で窓を拭きながら、ぼうっと考えていた。

綺麗になって気持ちいいって言うのもあるけれど、しっくりこない。

小さい頃からしてたから?
うーん、それも何だか違う気がする。

考えても仕方ないことにうんうん言いながら、埃を掃き床を磨いていると、不意に上から冷たい何かがかかってきた。

何だろう、これ...水?

「うーわ、お前やっちゃったじゃん」
「すまんすまん。手が滑っちまったわ」

振り返るとそこには、背の高い騎士二人組がいた。ニヤニヤしながら、濡れた僕を見下ろしている。急なご褒美に、僕は動けないでいた。

「もー、コイツ動けなくなっちゃってんじゃん」
「綺麗に磨いてた床にも溢れてんなぁ。」
「ひっでぇ、やり直しじゃん~」

ちらりと、床を見る。
成程。この茶色からして、彼らは水ではない何かを掛けてきた訳だ。
お茶かな。中世の世界観なら、こんな事に使うのは結構勿体無い代物じゃないか?

余計な部分に気を遣いつつも、床に跡が付くのは避けたいなと思い雑巾で溢れた液体を拭き取る。
屈んで作業を再開する僕を見て、二人の騎士はケラケラ笑った。
その嘲笑に、身体がきゅんと疼く。
いいぞ。もっと馬鹿にして蔑んでくれ。

「なぁ、お前、自分の立場分かった?忌人。」
「調子乗んなよ~?」

それだけ言って、彼らは去って行く。

「え、えぇ...」

何だか呆気なくて、僕はがっかりした。
もっと罵って、踏んでくれたって良かったのに。

前に会った人もそうだが、どうやらここの騎士達は、直接の暴力を振るっては来ないらしい。武士道の精神なのだろうか。

何でもいいけど、僕にとっては少し残念なものだった。

「さて、再開っと」

とりあえず、気を取り直して仕事だ。

僕は自分の身体を拭くのも忘れ、ただ床を磨く。
その間に、僕が掃除好きな理由に何となく気が付いた。

多分、やってもやってもまた汚されるからなんだろう、と。
今、頑張って磨いた床を汚されて分かった。

努力を踏みにじられる感覚。これが、かなりぐっと来てたのかも。
服を洗濯しても、次の日にはまた汚れてる。
皿洗いにしても、綺麗にした物はまた次の食事で汚れる。
時間をかけた物がまた振り出しに戻る感覚。これもアリだ。

また、新しい快感を覚えてしまった。



そうだ。今度、わざと汚されやすい場所を掃除してみようかな。食堂とか。

色々考えて興奮して、顔に出ているかも知れない。最近緩んでしまった口元を引き締める為、くっと唇を噛む。

「っ、痛」

と、力加減...というより噛み加減を間違えて唇を切った。生理的に涙が滲む。
舐めとけば治るかな。そう呑気に考えながら、掃除を続けた。






__陰から、誰かがその様子を見ていた。








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