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4章 魔術大国に行ってみる件
閑話・とある総帥の場合
しおりを挟む「行ってくるなー」と軽いあいさつを残して旅立って行ったリュージ君とシータ君。
シータ君はともかく、リュージ君はこれから自分たちが行く先がどんな人外魔境か解っているのかなぁ? ……解っていない気がするねぇ。ま、彼のことだ。持ち前の考えのなさでガンガン突き進んで行くことだろう。心配はいらないさ。きっとね! 魔国では役には立たないだろうが、一応お守りも渡してあるし大丈夫、大丈夫。
「――リーヴェルト様」
馴染みの者が声をかけてきた。が――
「お前な、ここではリトと呼べと何度いえばわかる?」
ここは秘密結社『魔術師の友』で私は総帥のリトだ。たとえ今回の転送魔法陣の実験が、国を挙げての一大プロジェクトであったとしてもそれは変わらない。
「それでも私にとってリーヴェルト様はリーヴェルト様ですので」
全く頭の固いことだ。
「お前にはリュージ君の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいな」
「それでも彼ほど奔放になれる気がしませんが……」
「真面目すぎるんだよお前は!」
申し訳程度に羽織っているローブの下には、どうせきっちりと軍服を着込んでいるんだろ? ここはオフの活動場所なんだから私服で来いと何度言えば良いんだ、私は。
「それは置いておいてご報告します。お二方の転送は成功。予定座標より少々ずれたようですが誤差の範囲内です」
「ずれた原因は?」
「予定座標に生命反応があったため緊急回避機構が作動したものと」
「………………それ、野生のモンスターなんじゃないかい?」
あの辺りのモンスターはこの辺りのモンスターと一桁強さが違う。…………あの二人、無事だよね?
「リュージ様にしろシータ様にしろ、そうそう簡単に倒される方達では無いかと」
「悔しいが、お前の見立ては確かだ。なんとか乗り切っていると見ておこう」
でないとやってられないし。あの二人は友人だから、自分の不手際で危地に送ってしまったとなるとちょっと……。さすがの私も罪悪感を感じてしまうよ。
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