宇宙の果てから地球にやってきたら神として英雄になりました

たんぽぽ

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1章

登校初日

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我々が地球に来てから2年がたった。南半球の植物の天国とも言えるこの
アマゾンの中心に着陸した宇宙船は、今では深く茂った草やコケに
覆われており、注意して見ないと宇宙船とも分からないようになった。

俺はこの2年の間に地球の主に中学で習う内容まで頭に入れた。そして
もうすぐ日本の中学校にブラジルから引っ越してきました、と言って
入学するつもりだ。もちろん宇宙から引っ越してきましただなんて
誰にも言うつもりはない。しかし日本に住むのではない。ここから通うのだ。
どうやって毎日通うかって?もちろん飛んでいくんだよ。戦闘機の
速さよりも20倍くらい早く。そしてレーダーに引っ掛からないように。

「よし、これでわが家ができた」
ふと後ろを見ると、父が玄関の最後の部品を取り付け終わっていたところだった。
これで初めて俺たちの家ができた。今までは宇宙船の中で食事をとって
寝ていたが、今日からはこの地下にある広い家で過ごすことができる。

「お前の部屋は地下2階、これで落ち着いて勉強できるな」

「・・・・」

「まあいい。もう学校に入学する手続きは済ませてある。
 ついでに学校は日本の九州地方の家庭訪問がない学校にしておいたぞ」

「それは‥準備のいいこと」
父はにこりと微笑むとそこに置いてあった釣竿を持ち、川の方に行って
しまった。一体‥俺たちは何をやってるんだ。高い文明を持つカンダル
から来たくせに2年たった今でも魚釣りをやってその魚で暮らしている。
まあ、父はもうすぐアメリカでIT系の仕事をやるとか言っているから
まあこのへんな暮らしももうすぐ終わるだろう。

 ふとあたりが鮮やかなオレンジ色の光で照らされる。この美しい
日の入りの太陽を見るのは今日で何度めだろうか。そして同時にこの日の入りの
時間は俺の学校への出発時刻でもある。

「じゃあ、言ってきます。セラ、ここをよろしく頼むよ」
セラは父の手伝いのために川の近くにいたが、俺の声に気づくと
手を振ってくれた。

「気をつけろよ。レーダーには注意して」
そう父も言ってくれた。

いつものように体の真に精神を集中させ、空を思い浮かべる。そして
思いっきり地面を蹴る。今日も調子がよさそうだ。

地平線の向こうに都市が現れたと思ったらすぐにそれは後ろに
消えて行ってしまう。自分がテレビゲームの中にいるようでこれは
これで結構気に入っている。ブラジルを午後6時に出発したとすれば
日本には約1時間で着く。その頃には日本は午前7時。完璧な
計算だ。しかし1時間もずっと飛行機にぶつからないか気を配って
おかなくちゃいけないのが気に食わないのだが。

 30分もすると、太陽が当たっている面に出た。ということはもうすぐ
日本。前に父とその学校に行ったものの、その時には誰も友達には会わなかった。
だから今日どれだけ友達を作れるか楽しみだ、ただそれだけである。
そう言えば日本の歌の一部に、友達1000人できるかな、という
ものがあった気がする。その前にその学校に1000人以上いるのか
突っ込みたい。

 そうこう考えているうちにとうとう九州の阿蘇さんとか言われる巨大な
カルデラが見えてきて‥一瞬で後ろに消え去った。ということは熊本まで
あと長くて1~2秒だろう。速度を時速1025kmに落とし、超低空飛行をする。
するといよいよ父が入学書類を出しておいたという学校のグラウンドが見えてきて‥

後ろに一瞬で過ぎ去った。
 ―間違えた。


一回リターンしてもう一度時速600kmに落として学校のグラウンドへの着陸を
試みる。すると‥

ズザザザザザアア‥

―しまった。グラウンドまっすぐな線を引いてしまった‥。
なんでグラウンドと言うものはこんなに滑るのか。
このグラウンドのせいで130mは滑ってしまい、もう少しでフェンスを
ぶち破るところだった。とりあえず周囲にまだ誰もいなかったことに感謝
しよう。この前は職員玄関から入ったが、今日は生徒昇降口から
入る。そう言えば‥生徒昇降口ってどこだ?とりあえず周辺を
散策してみる。

「どうした?あ!もしかして例の転校生?」
職員玄関を過ぎ、角を曲がったところで1人の男子に話しかけられた。
‥日本という国は情報が伝わるのが速い国だな。こいつもう俺が
転校生と言うことに気づいてやがる。

「よろしく。俺の名前は大山和人(おおやまかずと)。
 転校初日にしては結構登校早いね」

「ああ、うちにもいろいろあって‥」
えらくフレンドリーな大山和人。このいろいろあって‥
のところはいろいろありすぎてもちろん言う気にはなれない。
というか最初から言う気などないのだが。

「とりあえず、クラスに案内するよ。着いてきて」

「ああ、ありがとう」
日本人って‥親切だな‥。和人は部活動具などいろいろ
入っていそうな大きなかばんを両手で持ちながらさっき俺が着陸し
グラウンドの横を通っていく。

「あのグラウンド‥昨日工事でもあったのかな?」

「ああ、あの一直線のやつ?」

「そうそう」

「工事でもあったんじゃない?」
もちろん俺がさっき時速600kmで着陸した時にできたものなど
言えやしない。まあ、言ったとしてもどうせ信じてくれはしないだろうし。
そうして生徒昇降口を通り、教室に着いた。中には2,3人の女子がいた。
俺が転校生と気づいたのか、話をいったん止め、また恐らく俺の
第一印象らしきことを話し始めた。聞こえないように話しているようだが、
残念ながら俺の聴力は人間の2倍ほどいいので結構普通に会話が聞こえてくる。

「あれ転校生?」

「なんか新鮮な顔してるね。やけに前髪立ってるし」

・・・・・新鮮な顔ってどういう顔だよ!あと前髪はしょうがないし。
あんだけの速度で飛べばさすがにそうなるわ。
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