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加護の力
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山での追いかけっこは進化していました。索敵スキルや身体強化スキル、あらゆるスキルを駆使して戦う究極の遊び。私が子供たちとやっていた山での遊びはもはや過去のものとなっていました。逃げるチームを少年ABC、追いかけるチームを子供達にして追いかけっこを始めました。私とトーカさんは森に仕掛けられた水晶で様子を見る今回は観戦者です。
「気配察知でバレバレだぜ。捕まえ……あれ?」
最初はゲンキ君が森の中を飛び回ってアキト君を捕まえようとしている映像でした。
「ばかだな。俺様の加護は一筋縄じゃあいかないぜ!」
得意げにアキト君が年下相手にマウントを取っています。ちなみに彼の加護は対象と位置を入れ替える[コートチェンジ]です
「入れ替わったの?一瞬で?どういう能力?」
「教えてやらねーよ。敵にべらべら自分の能力をばらすとな……すげえ痛い目に遭うんだよ……これ覚えておいた方がいいぞ」
アキト君は何かあったのですね。実感がバリバリにこもった発言をし子供の教訓として教えています。
「これならどうだ」
ゲンキ君が3人に増えました。あれは勇者シンの使っていたスキルにそっくりです。
「まて、そういうのはやめろ。対象絞れねーときついんだって」
状況に不利を感じ回れ右、アキト君が走り出しますがこの村で育った天然チートのゲンキ君。数分後にはにっこり笑顔でアキト君を捕まえました。
「うそだろ。お前どこから」
「上からだけど」
3人目までは囮で4人目の本体が上から来ていたようです。
「お、おう」
シンプルすぎる答えに何も言えなくなるアキト君。他の子はどうでしょう。
「べーって、まじユーキちゃんまって!」
ユーキちゃんによる水の魔法でずぶ濡れにされだいぶ弱っているベニマル君。
「遊びって言うのはね手加減をしたらダメ。それは楽しさを半減させてしまうからって師匠からの教えなんだ」
ユーキちゃん、さすがに殺しちゃだめですよ?
「あ―それわかるわー。なんか自分だけ本気出してて、圧倒したら他のやつがしらけるみたいなの俺も昔あったわ」
ベニマル君なんか語り始めました。
「ごめんね。それはよくわからないけど本気出してよお兄さん」
ユーキちゃんの育った同年代の子だとみんな全力ですからね。それはわからないですよね。
「子供相手とか言っても2,3歳しか変わんねーんだよな。おもしれー加護の力みせてやるよ」
ベニマル君の姿が徐々に変化していきます。魔物です。気づけば狼のような見た目になりました。
「どうよ。倒した魔物と同じ見た目、能力を手にいれられる加護、メタモルフォーゼだぜ。まあ10分くらいしかもたないんだけどな」
先程アキト君は能力の説明はやめた方がいいと言っていましたが彼らの中で諸説あるようです。ベニマル君はご丁寧な説明とともに駆け出していきました。身体能力はまさに狼そのもの。ものすごい勢いでユーキちゃんから離れていきます。
「お願い私の友達、あの野蛮な獣を捕らえて」
あれは《友好条約:植物》というスキルですね。一つの森や山などとの友好関係を気づくとそこに根付く植物たちが手助けしてくれるスキルです。ゴミ拾いや毎日通い自然に感謝をする。そうした行動によって得られるスキルだとステータス開示に書いてありますね。あれ、今気づきましたよ。ステータス開示の機能が進化していますね。しっかりとどういう経験で得たスキルかわるようになってます。これも魔王化しそうになった影響でしょうか。
「捕らえたわ」
ちょっと目を離したすきに蔦に絡まり動けなくなっているベニマル君が映し出されていました。どうやら速攻で捕まったようです。
「べーわ」
ユーキちゃんは逆さ吊りになった狼を得意げな顔で見上げます。
「えへへあたしの勝ち。お兄さん、今おろしてあげるからちょっと待ってね」
「マジ……べーわ」
ベニマル君は下ろされるまでの間、照れくさそうにしていました。
最後はチョウタ君ですが……んー?ええはい、すごいことになっていますね。
「妖精さんありがとう、今の僕はどこまでも舞える」
飛んでいます。しかし羽もないのにどうやって。いえ、これは浮いているのですか。彼はただ足場のない空の上に佇んでいました。悔しそうにそれを下から見上げるのはサツキちゃん。ヨウキ君はなぜか倒れています。いやよくよく見てみると眠っているだけのようです。
「妖精が見えないなんてかわいそうな子供だね。君はもしかして結構汚れているのかな」
「しらない」
チョウタ君の言葉に適当に答えサツキちゃんが無表情で針のようなものを投擲します。それも1本や2本などではなく数えきれないほどの量を一瞬で。
しかしそれもすべて空中にいる何かに当たりぼとぼとと落ちています。
「妖精さん?大丈夫?そうかい。うん、わかったよ。安心した」
何かに話しかけているようですがこちらからは何も見えません。
「これで終わらせる」
サツキちゃんが飛びました。彼と同じ高さまで脚力だけで、そしてそのままタッチしようとしたのですが、空中で停止しています。というよりはチョウタ君と同じように浮いています。しかし手足に自由はない様子。なにかに押さえつけられているようでそこから動けないみたいですね。すこしするとサツキちゃんの抵抗がなくなります。どうやら眠ってしまったようです。横で見ていたトーカさんも真剣な目でその光景を見ていました。
「妖精さんありがとう。おろしてくれる?」
その言葉でチョウタ君とサツキちゃんは地面へとゆっくりと降下していきました。
結局、チョウタ君を捕まえること叶わず時間切れで少年ABCチームの勝ちという私の予想を裏切る結果になりました。
「チョウタ君、あなたの加護は使役者でしたよね?」
「そうだよ。今朝も言ったけど妖精さんに会えたんだ。今日はみんなに手伝ってもらったんだ」
説明している彼の目はどこか別の場所を見ているようでとても怖かったです。これは少し彼の加護について詳しく見てみる必要がありそうですね。
「気配察知でバレバレだぜ。捕まえ……あれ?」
最初はゲンキ君が森の中を飛び回ってアキト君を捕まえようとしている映像でした。
「ばかだな。俺様の加護は一筋縄じゃあいかないぜ!」
得意げにアキト君が年下相手にマウントを取っています。ちなみに彼の加護は対象と位置を入れ替える[コートチェンジ]です
「入れ替わったの?一瞬で?どういう能力?」
「教えてやらねーよ。敵にべらべら自分の能力をばらすとな……すげえ痛い目に遭うんだよ……これ覚えておいた方がいいぞ」
アキト君は何かあったのですね。実感がバリバリにこもった発言をし子供の教訓として教えています。
「これならどうだ」
ゲンキ君が3人に増えました。あれは勇者シンの使っていたスキルにそっくりです。
「まて、そういうのはやめろ。対象絞れねーときついんだって」
状況に不利を感じ回れ右、アキト君が走り出しますがこの村で育った天然チートのゲンキ君。数分後にはにっこり笑顔でアキト君を捕まえました。
「うそだろ。お前どこから」
「上からだけど」
3人目までは囮で4人目の本体が上から来ていたようです。
「お、おう」
シンプルすぎる答えに何も言えなくなるアキト君。他の子はどうでしょう。
「べーって、まじユーキちゃんまって!」
ユーキちゃんによる水の魔法でずぶ濡れにされだいぶ弱っているベニマル君。
「遊びって言うのはね手加減をしたらダメ。それは楽しさを半減させてしまうからって師匠からの教えなんだ」
ユーキちゃん、さすがに殺しちゃだめですよ?
「あ―それわかるわー。なんか自分だけ本気出してて、圧倒したら他のやつがしらけるみたいなの俺も昔あったわ」
ベニマル君なんか語り始めました。
「ごめんね。それはよくわからないけど本気出してよお兄さん」
ユーキちゃんの育った同年代の子だとみんな全力ですからね。それはわからないですよね。
「子供相手とか言っても2,3歳しか変わんねーんだよな。おもしれー加護の力みせてやるよ」
ベニマル君の姿が徐々に変化していきます。魔物です。気づけば狼のような見た目になりました。
「どうよ。倒した魔物と同じ見た目、能力を手にいれられる加護、メタモルフォーゼだぜ。まあ10分くらいしかもたないんだけどな」
先程アキト君は能力の説明はやめた方がいいと言っていましたが彼らの中で諸説あるようです。ベニマル君はご丁寧な説明とともに駆け出していきました。身体能力はまさに狼そのもの。ものすごい勢いでユーキちゃんから離れていきます。
「お願い私の友達、あの野蛮な獣を捕らえて」
あれは《友好条約:植物》というスキルですね。一つの森や山などとの友好関係を気づくとそこに根付く植物たちが手助けしてくれるスキルです。ゴミ拾いや毎日通い自然に感謝をする。そうした行動によって得られるスキルだとステータス開示に書いてありますね。あれ、今気づきましたよ。ステータス開示の機能が進化していますね。しっかりとどういう経験で得たスキルかわるようになってます。これも魔王化しそうになった影響でしょうか。
「捕らえたわ」
ちょっと目を離したすきに蔦に絡まり動けなくなっているベニマル君が映し出されていました。どうやら速攻で捕まったようです。
「べーわ」
ユーキちゃんは逆さ吊りになった狼を得意げな顔で見上げます。
「えへへあたしの勝ち。お兄さん、今おろしてあげるからちょっと待ってね」
「マジ……べーわ」
ベニマル君は下ろされるまでの間、照れくさそうにしていました。
最後はチョウタ君ですが……んー?ええはい、すごいことになっていますね。
「妖精さんありがとう、今の僕はどこまでも舞える」
飛んでいます。しかし羽もないのにどうやって。いえ、これは浮いているのですか。彼はただ足場のない空の上に佇んでいました。悔しそうにそれを下から見上げるのはサツキちゃん。ヨウキ君はなぜか倒れています。いやよくよく見てみると眠っているだけのようです。
「妖精が見えないなんてかわいそうな子供だね。君はもしかして結構汚れているのかな」
「しらない」
チョウタ君の言葉に適当に答えサツキちゃんが無表情で針のようなものを投擲します。それも1本や2本などではなく数えきれないほどの量を一瞬で。
しかしそれもすべて空中にいる何かに当たりぼとぼとと落ちています。
「妖精さん?大丈夫?そうかい。うん、わかったよ。安心した」
何かに話しかけているようですがこちらからは何も見えません。
「これで終わらせる」
サツキちゃんが飛びました。彼と同じ高さまで脚力だけで、そしてそのままタッチしようとしたのですが、空中で停止しています。というよりはチョウタ君と同じように浮いています。しかし手足に自由はない様子。なにかに押さえつけられているようでそこから動けないみたいですね。すこしするとサツキちゃんの抵抗がなくなります。どうやら眠ってしまったようです。横で見ていたトーカさんも真剣な目でその光景を見ていました。
「妖精さんありがとう。おろしてくれる?」
その言葉でチョウタ君とサツキちゃんは地面へとゆっくりと降下していきました。
結局、チョウタ君を捕まえること叶わず時間切れで少年ABCチームの勝ちという私の予想を裏切る結果になりました。
「チョウタ君、あなたの加護は使役者でしたよね?」
「そうだよ。今朝も言ったけど妖精さんに会えたんだ。今日はみんなに手伝ってもらったんだ」
説明している彼の目はどこか別の場所を見ているようでとても怖かったです。これは少し彼の加護について詳しく見てみる必要がありそうですね。
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