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15人の転移者様ご招待
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依頼は野盗の殲滅。野盗の中には加護を持っているものがいて特徴は一人が金髪に黒がところどころに残った独特の髪の色をしている。もう一人はバンダナを巻いていベーという口癖アリ。確認できている最後の一人は茶髪で妖精と対話ができるらしい。
王都にある冒険者ギルドにこのような内容の依頼を出しました。ある特定の人間達にこの依頼を受けさせるために。
数日後にギルドから狙い通りの人たちがこの依頼を受けてくれたという内容の手紙が届きました。私が野盗が出ると指定した場所は普段子供たちが遊んでいる山の中、そこに入る前に村に立ち寄った彼らに村長として挨拶をします。
「皆さん遠路はるばるすみません。村長のサラ・クラークです」
「これは驚いた。こんな小さな女の子が村長とは。いや、失礼しました。こちらとしても前々から処理したいと思っていた案件です。好都合ですよ。今回はよろしくお願いします。さっそくで悪いのですが情報の共有をよろしいでしょうか」
はっきりとした声のさわやかな青年が挨拶をしてくれました。たしか彼はアキト君の言っていた学級委員長と呼ばれている存在ですね。全部で15人の転移者がここに来てくれました。
それにしてもこの学級委員長という方、経験をしっかりと積んでいるのが伝わってきますね。目撃情報と現状の被害はもちろん、周辺で出る魔物の情報から山に自生している薬草、その他、危険地帯の有無まで様々なことを聞かれました。目撃情報以外はなるべく正直に答えます。向こうが下調べを済ませていて情報の食い違いがあった場合に怪しまれるリスクを無くすためです。
「それではあとはお任せください。必ずや野盗を捕らえて見せます」
「よろしくお願いしますね」
心にもない台詞を吐きながら私は彼と握手をしました。私が流した目撃情報は三か所、一つ一つ調べていくなら結構な距離があります。集団でひと固まりで行く安全性を取るべきか三つに分かれて効率重視の行動をするか、見ものですね。
結果的に彼らは効率を重視した三つのグループに分かれました。これは身内の実力をすでに知っているからということでしょう。じっくりと作戦会議をしている間に私は彼らのステータスをすべて見させていただきました。
野盗こと少年ABC、彼らには今回の情報は通信用の水晶によって流しますが作戦はお任せしました。
「なるほど、じゃあ最初はこのグループから叩くか」
アキト君が提案したのは女子男子全員が眼鏡をかけているという特徴のあるグループ。
加護はたしか――――
四角い眼鏡の男子が[部分破壊]、触れてたものを任意に硬さに関係なく破壊できる加護。
丸眼鏡の女子が[金縛り]、目の合った対象を数分動けなくしスキル、加護なども使用できなくさせる加護。
フチなし眼鏡をつけている女子が[ギフト]、触れた命のないものに疑似的な命を与え数時間行動させることができる加護。
逆三角形ぽい眼鏡をかけている男子は[オートチャージ]自身が敵と認識した対象に味方又は自分がダメージを与えることでその魔力を一気に吸い取る加護。
度付きサングラスをつけた偉そうにしている男子が[俺ルール]、自身の作ったルールを犯した対象に呪いを与える加護。
「サラの姉御から詳細な情報頂いたことだし作戦立てるぜ……はい立った」
アキト君は既に頭の中で作戦を立てていたとみていいでしょう。先輩の授業の成果が出ているのかもしれません。
「チョウタ、妖精さんってやつを二人ほど貸してくれ。そうその位置に。あとは俺一人で充分っぽいから失敗したらサポートヨロ。一応簡単に作戦を説明するとな―――」
アキト君の作戦を聞いた二人は軽く了承していました。信頼がなせるものなのかはたまた頭が軽いのか判断に迷います。
険しい山道を進むグループでの行動を開始して一時間ほどたった頃、
「ああーあいつら早く死なねーかな。迷惑ばっかかけられるこっちの身にもなれっての」
山道で疲労してきたのでしょうか、四角い眼鏡君がめんどくさそうにしています。
「仕方ないよ。ああいう人種は結局ああいう風になっちゃうんだよ。私まえにいやらしい目で見られたりしたことあったし」
フチなしさんは憎悪のこもった声ですね。
「ほんと死んでほしい。あいつらがなめるような視線で私のこと見てきたらどうしよー」
丸眼鏡の子はこわーいと言って逆三角眼鏡君の方を見ます。
「大丈夫、まるちゃんは俺が守ってあげるから」
逆三角眼鏡君は丸眼鏡ちゃんと手をつないでいます。この辺の会話からもいろいろと関係性を読み取れますね。
「ミスミ君、まるちゃんって呼ばないでっていつも言ってるでしょう。わかれるわよ」
「怒った君もかわいいね」
二人の世界が形成されつつあります。
「誰が俺様の前でいちゃいちゃすることを許可したよ!ええ?」
グラサンの人がカップルにいちゃもんつけています。空気は最悪と言っていいでしょう。
「すみません、以後気をつけます」
逆三角眼鏡君が素直に謝っています。丸眼鏡ちゃんも逆らえないのかさっきまでの気丈な態度もなくなりこちらも謝っていました。
「わかりゃあいいんだよ。俺様と口論したり危害を加えることは何を意味しているかしっかり理解できているようで安心だ。これも加護さまさまだな。あっはっはっはっはっはー」
グラサンの人は満足そうにして先へと進みます。
そこへ草を揺らす音がわざとらしく聞こえてきます。どうやらアキト君が動き始めたようです。眼鏡グループはそれに気づくとしっかりと追ってきます。そしてすぐに取り囲まれてしまいました。
「おいおい。、久しぶりに再会したクラスメイトになんてカオ向けてんだよ。俺は魔物とかじゃないぜ?」
「うるさい野盗に堕ちた時点でお前は魔物と同列だよ。さっさと止まれ」
丸眼鏡さんの金縛りが発動します。
「……」
アキト君の全身が動かないようで体が小刻みに揺れているのみです。口も動かせないのでしょう。声もあげていません。
「楽勝っぽいな。さっさと壊すか」
「あたしも手伝う。こいつには恨みがあるし」
フチなし眼鏡ちゃんがなんらかのスキルで周りの土を人型に形成し命を与えています。人間サイズの土でできた人形が元気よく動き出しました。
「俺と土人形でおもっきしぶん殴るから、そのあとオートチャージでこいつの魔力奪い取るってながれでいいか」
全員が頷いています。確認が取れると土人形と四角い眼鏡君がアキト君に向けて同時に拳を突き出しました。
「チェンジ」
それは一瞬の出来事です。拳が触れる寸前にアキト君とグラサンの人の位置が入れ替わりました。そのまま拳はグラサンの人のグラサンを砕かんとする勢いです。
「ぐぶっ」
グラサンの人に攻撃が命中した直後、逆三角眼鏡君に力が流れていきます。
「グラさんに攻撃しちまった……おえええええ」
まず四角い眼鏡君が叫び声をあげながら口から黒いヘドロを吐き出します。数秒で動かなくなりました。
「土人形の攻撃って私がやった扱いになるの?ねえなんでえええええ」
こちらも同じく、土人形と一緒に穴という穴から黒いヘドロが出ています。四角い眼鏡君と同様に動かなくなりました。
「心のどこかで敵と思っていたことが裏目に出た。グラさんに危害を加えちまったあ」
後悔とともに逆三角眼鏡君も彼ら同様の結末を迎えます。あのヘドロはグラサンの人の加護でしょうね。かなり凶悪な効果を持っていますね。
そのグラサンの人も四角い眼鏡君と土人形、逆三角眼鏡君の攻撃により戦闘不能になっていました。
「なんで……加護は金縛りで使えないはず!」
「妖精さん、マジサンクス。さて、あとはあんただけだな」
金縛りは受けたふりで妖精さんが身代わりをしていたのですね。
「いやああああこないで。私のこと犯す気でしょ」
「いや、俺おまえみたいなタイプ苦手だから、そういうのないから。ユーキちゃんとかサツキちゃんのほうが10000倍かわいいから」
真顔で答えています。
「というわけでおやすみー」
男女平等主義なのか子供と遊んだ時に手加減という言葉を忘れてしまったのか、アキト君の一撃は彼女のみぞおちに一発きれいに入りました。痛みに耐えきれなくなったまるちゃんはその場に沈みました。
「ま、こんなもんか。結局、加護しか使わなかったが成長は実感できたか」
アキト君は満足そうにしてその場を去りました。
王都にある冒険者ギルドにこのような内容の依頼を出しました。ある特定の人間達にこの依頼を受けさせるために。
数日後にギルドから狙い通りの人たちがこの依頼を受けてくれたという内容の手紙が届きました。私が野盗が出ると指定した場所は普段子供たちが遊んでいる山の中、そこに入る前に村に立ち寄った彼らに村長として挨拶をします。
「皆さん遠路はるばるすみません。村長のサラ・クラークです」
「これは驚いた。こんな小さな女の子が村長とは。いや、失礼しました。こちらとしても前々から処理したいと思っていた案件です。好都合ですよ。今回はよろしくお願いします。さっそくで悪いのですが情報の共有をよろしいでしょうか」
はっきりとした声のさわやかな青年が挨拶をしてくれました。たしか彼はアキト君の言っていた学級委員長と呼ばれている存在ですね。全部で15人の転移者がここに来てくれました。
それにしてもこの学級委員長という方、経験をしっかりと積んでいるのが伝わってきますね。目撃情報と現状の被害はもちろん、周辺で出る魔物の情報から山に自生している薬草、その他、危険地帯の有無まで様々なことを聞かれました。目撃情報以外はなるべく正直に答えます。向こうが下調べを済ませていて情報の食い違いがあった場合に怪しまれるリスクを無くすためです。
「それではあとはお任せください。必ずや野盗を捕らえて見せます」
「よろしくお願いしますね」
心にもない台詞を吐きながら私は彼と握手をしました。私が流した目撃情報は三か所、一つ一つ調べていくなら結構な距離があります。集団でひと固まりで行く安全性を取るべきか三つに分かれて効率重視の行動をするか、見ものですね。
結果的に彼らは効率を重視した三つのグループに分かれました。これは身内の実力をすでに知っているからということでしょう。じっくりと作戦会議をしている間に私は彼らのステータスをすべて見させていただきました。
野盗こと少年ABC、彼らには今回の情報は通信用の水晶によって流しますが作戦はお任せしました。
「なるほど、じゃあ最初はこのグループから叩くか」
アキト君が提案したのは女子男子全員が眼鏡をかけているという特徴のあるグループ。
加護はたしか――――
四角い眼鏡の男子が[部分破壊]、触れてたものを任意に硬さに関係なく破壊できる加護。
丸眼鏡の女子が[金縛り]、目の合った対象を数分動けなくしスキル、加護なども使用できなくさせる加護。
フチなし眼鏡をつけている女子が[ギフト]、触れた命のないものに疑似的な命を与え数時間行動させることができる加護。
逆三角形ぽい眼鏡をかけている男子は[オートチャージ]自身が敵と認識した対象に味方又は自分がダメージを与えることでその魔力を一気に吸い取る加護。
度付きサングラスをつけた偉そうにしている男子が[俺ルール]、自身の作ったルールを犯した対象に呪いを与える加護。
「サラの姉御から詳細な情報頂いたことだし作戦立てるぜ……はい立った」
アキト君は既に頭の中で作戦を立てていたとみていいでしょう。先輩の授業の成果が出ているのかもしれません。
「チョウタ、妖精さんってやつを二人ほど貸してくれ。そうその位置に。あとは俺一人で充分っぽいから失敗したらサポートヨロ。一応簡単に作戦を説明するとな―――」
アキト君の作戦を聞いた二人は軽く了承していました。信頼がなせるものなのかはたまた頭が軽いのか判断に迷います。
険しい山道を進むグループでの行動を開始して一時間ほどたった頃、
「ああーあいつら早く死なねーかな。迷惑ばっかかけられるこっちの身にもなれっての」
山道で疲労してきたのでしょうか、四角い眼鏡君がめんどくさそうにしています。
「仕方ないよ。ああいう人種は結局ああいう風になっちゃうんだよ。私まえにいやらしい目で見られたりしたことあったし」
フチなしさんは憎悪のこもった声ですね。
「ほんと死んでほしい。あいつらがなめるような視線で私のこと見てきたらどうしよー」
丸眼鏡の子はこわーいと言って逆三角眼鏡君の方を見ます。
「大丈夫、まるちゃんは俺が守ってあげるから」
逆三角眼鏡君は丸眼鏡ちゃんと手をつないでいます。この辺の会話からもいろいろと関係性を読み取れますね。
「ミスミ君、まるちゃんって呼ばないでっていつも言ってるでしょう。わかれるわよ」
「怒った君もかわいいね」
二人の世界が形成されつつあります。
「誰が俺様の前でいちゃいちゃすることを許可したよ!ええ?」
グラサンの人がカップルにいちゃもんつけています。空気は最悪と言っていいでしょう。
「すみません、以後気をつけます」
逆三角眼鏡君が素直に謝っています。丸眼鏡ちゃんも逆らえないのかさっきまでの気丈な態度もなくなりこちらも謝っていました。
「わかりゃあいいんだよ。俺様と口論したり危害を加えることは何を意味しているかしっかり理解できているようで安心だ。これも加護さまさまだな。あっはっはっはっはっはー」
グラサンの人は満足そうにして先へと進みます。
そこへ草を揺らす音がわざとらしく聞こえてきます。どうやらアキト君が動き始めたようです。眼鏡グループはそれに気づくとしっかりと追ってきます。そしてすぐに取り囲まれてしまいました。
「おいおい。、久しぶりに再会したクラスメイトになんてカオ向けてんだよ。俺は魔物とかじゃないぜ?」
「うるさい野盗に堕ちた時点でお前は魔物と同列だよ。さっさと止まれ」
丸眼鏡さんの金縛りが発動します。
「……」
アキト君の全身が動かないようで体が小刻みに揺れているのみです。口も動かせないのでしょう。声もあげていません。
「楽勝っぽいな。さっさと壊すか」
「あたしも手伝う。こいつには恨みがあるし」
フチなし眼鏡ちゃんがなんらかのスキルで周りの土を人型に形成し命を与えています。人間サイズの土でできた人形が元気よく動き出しました。
「俺と土人形でおもっきしぶん殴るから、そのあとオートチャージでこいつの魔力奪い取るってながれでいいか」
全員が頷いています。確認が取れると土人形と四角い眼鏡君がアキト君に向けて同時に拳を突き出しました。
「チェンジ」
それは一瞬の出来事です。拳が触れる寸前にアキト君とグラサンの人の位置が入れ替わりました。そのまま拳はグラサンの人のグラサンを砕かんとする勢いです。
「ぐぶっ」
グラサンの人に攻撃が命中した直後、逆三角眼鏡君に力が流れていきます。
「グラさんに攻撃しちまった……おえええええ」
まず四角い眼鏡君が叫び声をあげながら口から黒いヘドロを吐き出します。数秒で動かなくなりました。
「土人形の攻撃って私がやった扱いになるの?ねえなんでえええええ」
こちらも同じく、土人形と一緒に穴という穴から黒いヘドロが出ています。四角い眼鏡君と同様に動かなくなりました。
「心のどこかで敵と思っていたことが裏目に出た。グラさんに危害を加えちまったあ」
後悔とともに逆三角眼鏡君も彼ら同様の結末を迎えます。あのヘドロはグラサンの人の加護でしょうね。かなり凶悪な効果を持っていますね。
そのグラサンの人も四角い眼鏡君と土人形、逆三角眼鏡君の攻撃により戦闘不能になっていました。
「なんで……加護は金縛りで使えないはず!」
「妖精さん、マジサンクス。さて、あとはあんただけだな」
金縛りは受けたふりで妖精さんが身代わりをしていたのですね。
「いやああああこないで。私のこと犯す気でしょ」
「いや、俺おまえみたいなタイプ苦手だから、そういうのないから。ユーキちゃんとかサツキちゃんのほうが10000倍かわいいから」
真顔で答えています。
「というわけでおやすみー」
男女平等主義なのか子供と遊んだ時に手加減という言葉を忘れてしまったのか、アキト君の一撃は彼女のみぞおちに一発きれいに入りました。痛みに耐えきれなくなったまるちゃんはその場に沈みました。
「ま、こんなもんか。結局、加護しか使わなかったが成長は実感できたか」
アキト君は満足そうにしてその場を去りました。
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