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真意はあの頃の思い出の中に
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私の最終的な目的を今いる皆さんに話し共有します。魔王討伐を阻止して、皆さんを送り返す。私が天界に帰ることでアルリス様と直接対面、女神の座をさっさと奪い原因を解決みたいな意外とふわふわの計画です。特に展開に帰ってからの部分は不確定要素が強いので言葉を濁しまくりました。一応は皆さん納得してくれたようで行動に移ります。ティアには5日えらくなったら迎えに行きますとか調子のいいことまで言って納得してもらいました。何も確信が持てないのに信じてもらえるのはうれしいのですが、上手くいかなかったらと罪悪感もあります。
走りながら説明するとかいう体力無視の行動は私には不可能だったので早歩きくらいの速度できましたが先輩は無事でしょうか。
大広間を抜け魔王城別館の屋上へとやって来たました。
「ようやく、終わりですわね魔王」
屋上では私の不安が的中していました。先輩こと魔王様は今まさに倒される直前でした。いつか話してくれた時のようにティアがマウントポジションで先輩を一方的に殴っています。ティアは漆黒のドレスを身に纏っておりこれはマウントポジションを取ったあとの返り血対策でしょうかなどと考えていた思考をいったん切り離し指示を出します。
「皆さん、あの馬乗りになられている無様な魔王様を助けてあげてください」
「後輩、聞こえてんぞ。俺だって頑張って戦ったんだ俺は悪くねー、来るのが遅いお前が悪い」
こっちは任せとけ的な発言してませんでしたっけこの魔王。頑張って早歩きできたのにこの言われようは不服です。
アキト君とベニマル君と剣聖が私の指示に的確に従ってくれました。ティアに向かってなんの躊躇もなく襲い掛かります。
「まったく真剣勝負に割り込むなんて無粋ですわね」
なんとかマウントポジションのティアを先輩から引き離すことができました。
「あら、サラではないですか。こうして会うのは久しぶりですね……その様子ですとリンプス王子はだめだったみたいですわね」
口調は残念そうなのですがティアはこうなることが分かっているような気がします。
「ティア、なぜこんなことをするのですか」
「ワタクシが魔王になるためですわ。女神様からも現魔王を倒せばわたくしを魔王と認めてくださるとおっしゃっていましたわ」
「そんなことしなくても私が転移者を全員戻せばアルリス様は私を女神候補として認めるといっていました。あなたが私の代わりに魔王になる必要はないんですよ」
「よく聞きなさいサラ」
ティアが真っ直ぐ私を捕らえます。その瞳は決意の表れと何かを訴えるようなものが込められている気がします。ん?というよりあの瞳には何か意味があったような……あ、詠唱です。たしか、少しズレを感じた時にちゃんと合わせなさいという意味があったような。でもこれ勘違いだったらすごい恥ずかしいやつです。
意見を求めるようにセリアの方を見てみます
「ティアの話を聞こう」
やはりセリアも何かを感じ取っているようです。
「ワタクシは自分の上に何かがいることをあまり好みません。引きずり下ろしてでもわたくしが一番になる。これは絶対ですわ。誰かの言いなりになるなんてこれ以上の不安はありませんもの」
もしかして今の私の状況ですか。アルリス様の命令に従い振り回されていいように遊ばれている。天界で彼女は私の行動を楽しんでいる。
「それにわたくしには強い味方がついていますのよ。もしピンチの時は一度だけ力を貸してくれるそうですわ」
一度だけ力を貸しに来る。まさか……
「皆さん、全力でティアを潰します。手伝ってください」
戦力は十分います。セリアにアキト君、ベニマル君、人吉君、女子生徒ABC、剣聖、魔王、十分すぎる戦力です。即座にステータスを見て最短ルートの戦略で蹴りをつけましょう。
「アキト君の今いる場所に向けてベニマル君、剣聖さん女子生徒ABは一斉に攻撃、アキト君は加護で合わせてください。魔王は何かあった時のためにフォローを」
「あいよ」
アキト君の姿が一瞬で消えます。代わりにそこに姿を見せたのはティア、それに対して一斉に攻撃を仕掛けようとしたのですが
「あら、これは驚きましたわ。ザブラ、出番ですわよ。わたくしの盾となりなさい」
彼女の影から現れたのは彼女の弟ザブラ君でした。やはりティアの味方でしたか。
「任せてよ姉さん」
黒い球体のようなものがザブラ君とティアを包み込むように展開されました。そこへ攻撃をした人達が慌ててその場を離れます。攻撃事態は黒い球体に吸収されダメージがあるようには見えません。
「なんか、あれに触れた瞬間どっと疲れが来たんだけど」
女子生徒Aの顔色が優れないのがわかります。というか皆さんけっこう気分が悪そうです。
「ザブラありがとうもういいですわ。まったく不用意に飛び込むからこうなるのですわ」
「えへへー姉さんのためならこれくらいお安い御用さ」
「ザブラ……俺との絆……」
横で先輩が勝手に絶望していました。
「さてわたくしも不意を突かせてもらいましょうか。レデン、そろそろ戻ってらっしゃいな」
懐かしいスキルの使用を確認しました。シンさんをクロムさんの攻撃から守るためにウィズさんが使用したスキル《白紙化》です。効果は対象にかかっているデバフ効果を無効化することができます。《白紙化》の対象は私の横にいました。
「え……あ……あ」
私の横にいた幼い女の子の様子がおかしいです。どんどんと姿が変わっていきます
「ええ、うそですよね……」
さっきまでかわいらしい女の子だったはずなのに、私の横には私より身長の高く調理実習の授業の班メンバー、レデンさんがいました。
今目の前にある現実のインパクトに思考が鈍ります。どういうことですか。もう何も信じられませんしこの現実を受け入れるまで時間がかかりそうです。
そんな悠長なことを考えていたのがいけませんでした。
「あれ、俺なんで、あ……ああああああ」
なぜか当人のレデンさんも叫んでいます。そりゃあ皆さんもかわいらしい女の子が成人男性に変わったら状況を理解したくなりますよ。
「少し痺れますわよ」
私の体をビリビリが走ります。動けない。何をされたのか全く見えていませんでした。不意打ちとして完璧ですよティア。あんなの見てしまうに決まっています。他の皆さんもやはりレデンさんを見ていたようで私と同じように痺れています。ですがもちろん例外はいます、しかも2人です。
剣聖とセリアはその光景に目を奪われていなかったようです。二人は息を合わせたわけでもないのに魔術スキルと剣術の見事な連携でティアへと挑みます。
「お二人ともお見事ですわ」
ティアの魔術も剣聖の剣技もザブラ君にガードされました。しかし、先程までと違いザブラ君の守りはぎりぎりのようです。展開した防壁を破壊され、少し焦りが見えます。ですが守られているセリアは余裕の表情です。
「体を幼くさせるスキルと獣化のスキルを合成し、誰かに試したくなって不慮の事故でああなってしまったレデンがこんな形で役に立つとは世の中わかりませんわね。記憶がないのをいいことに女装までさせてあることない事吹き込んで遊んでしまって申し訳ありませんでしたわ。しかもいつの間にか消えていてなぜか転移者のパーティに混ざっていたのには驚きましたが結果として役に立ったので良しとしましょう」
一進一退の攻防が目の前で繰り返されている中、ティアは懇切丁寧な説明をしてくれました。話を聞く限りレデンさんがかわいそうでなりません。
「俺はなぜあんなことをうわあああ。パパってなんだあああご主人様ってええええ」
レデンさんは幼くさせられていた時の記憶があるようで羞恥心で満たされていますね。
人吉君パーティも精神に大打撃を受けています。全員が青い顔をしていますね。
「うそだ……ヨーちゃんが……嘘だ」
「ご、ご主人様」
レデンさんが発言してからしまったという顔をしています。思わず出てしまったのでしょう。人吉君をご主人様呼びしています。
「すいません、その見た目でそれはきついです」
人吉君の引き気味の言葉に俯くレデンさん。彼はまだ記憶に混乱が見られますね。かわいそうに。
ですが緊張感のあった空気は少し間の抜けたものになりました。これは緊張感であまり動けていない人吉君たちにいい効果がありそうです。
走りながら説明するとかいう体力無視の行動は私には不可能だったので早歩きくらいの速度できましたが先輩は無事でしょうか。
大広間を抜け魔王城別館の屋上へとやって来たました。
「ようやく、終わりですわね魔王」
屋上では私の不安が的中していました。先輩こと魔王様は今まさに倒される直前でした。いつか話してくれた時のようにティアがマウントポジションで先輩を一方的に殴っています。ティアは漆黒のドレスを身に纏っておりこれはマウントポジションを取ったあとの返り血対策でしょうかなどと考えていた思考をいったん切り離し指示を出します。
「皆さん、あの馬乗りになられている無様な魔王様を助けてあげてください」
「後輩、聞こえてんぞ。俺だって頑張って戦ったんだ俺は悪くねー、来るのが遅いお前が悪い」
こっちは任せとけ的な発言してませんでしたっけこの魔王。頑張って早歩きできたのにこの言われようは不服です。
アキト君とベニマル君と剣聖が私の指示に的確に従ってくれました。ティアに向かってなんの躊躇もなく襲い掛かります。
「まったく真剣勝負に割り込むなんて無粋ですわね」
なんとかマウントポジションのティアを先輩から引き離すことができました。
「あら、サラではないですか。こうして会うのは久しぶりですね……その様子ですとリンプス王子はだめだったみたいですわね」
口調は残念そうなのですがティアはこうなることが分かっているような気がします。
「ティア、なぜこんなことをするのですか」
「ワタクシが魔王になるためですわ。女神様からも現魔王を倒せばわたくしを魔王と認めてくださるとおっしゃっていましたわ」
「そんなことしなくても私が転移者を全員戻せばアルリス様は私を女神候補として認めるといっていました。あなたが私の代わりに魔王になる必要はないんですよ」
「よく聞きなさいサラ」
ティアが真っ直ぐ私を捕らえます。その瞳は決意の表れと何かを訴えるようなものが込められている気がします。ん?というよりあの瞳には何か意味があったような……あ、詠唱です。たしか、少しズレを感じた時にちゃんと合わせなさいという意味があったような。でもこれ勘違いだったらすごい恥ずかしいやつです。
意見を求めるようにセリアの方を見てみます
「ティアの話を聞こう」
やはりセリアも何かを感じ取っているようです。
「ワタクシは自分の上に何かがいることをあまり好みません。引きずり下ろしてでもわたくしが一番になる。これは絶対ですわ。誰かの言いなりになるなんてこれ以上の不安はありませんもの」
もしかして今の私の状況ですか。アルリス様の命令に従い振り回されていいように遊ばれている。天界で彼女は私の行動を楽しんでいる。
「それにわたくしには強い味方がついていますのよ。もしピンチの時は一度だけ力を貸してくれるそうですわ」
一度だけ力を貸しに来る。まさか……
「皆さん、全力でティアを潰します。手伝ってください」
戦力は十分います。セリアにアキト君、ベニマル君、人吉君、女子生徒ABC、剣聖、魔王、十分すぎる戦力です。即座にステータスを見て最短ルートの戦略で蹴りをつけましょう。
「アキト君の今いる場所に向けてベニマル君、剣聖さん女子生徒ABは一斉に攻撃、アキト君は加護で合わせてください。魔王は何かあった時のためにフォローを」
「あいよ」
アキト君の姿が一瞬で消えます。代わりにそこに姿を見せたのはティア、それに対して一斉に攻撃を仕掛けようとしたのですが
「あら、これは驚きましたわ。ザブラ、出番ですわよ。わたくしの盾となりなさい」
彼女の影から現れたのは彼女の弟ザブラ君でした。やはりティアの味方でしたか。
「任せてよ姉さん」
黒い球体のようなものがザブラ君とティアを包み込むように展開されました。そこへ攻撃をした人達が慌ててその場を離れます。攻撃事態は黒い球体に吸収されダメージがあるようには見えません。
「なんか、あれに触れた瞬間どっと疲れが来たんだけど」
女子生徒Aの顔色が優れないのがわかります。というか皆さんけっこう気分が悪そうです。
「ザブラありがとうもういいですわ。まったく不用意に飛び込むからこうなるのですわ」
「えへへー姉さんのためならこれくらいお安い御用さ」
「ザブラ……俺との絆……」
横で先輩が勝手に絶望していました。
「さてわたくしも不意を突かせてもらいましょうか。レデン、そろそろ戻ってらっしゃいな」
懐かしいスキルの使用を確認しました。シンさんをクロムさんの攻撃から守るためにウィズさんが使用したスキル《白紙化》です。効果は対象にかかっているデバフ効果を無効化することができます。《白紙化》の対象は私の横にいました。
「え……あ……あ」
私の横にいた幼い女の子の様子がおかしいです。どんどんと姿が変わっていきます
「ええ、うそですよね……」
さっきまでかわいらしい女の子だったはずなのに、私の横には私より身長の高く調理実習の授業の班メンバー、レデンさんがいました。
今目の前にある現実のインパクトに思考が鈍ります。どういうことですか。もう何も信じられませんしこの現実を受け入れるまで時間がかかりそうです。
そんな悠長なことを考えていたのがいけませんでした。
「あれ、俺なんで、あ……ああああああ」
なぜか当人のレデンさんも叫んでいます。そりゃあ皆さんもかわいらしい女の子が成人男性に変わったら状況を理解したくなりますよ。
「少し痺れますわよ」
私の体をビリビリが走ります。動けない。何をされたのか全く見えていませんでした。不意打ちとして完璧ですよティア。あんなの見てしまうに決まっています。他の皆さんもやはりレデンさんを見ていたようで私と同じように痺れています。ですがもちろん例外はいます、しかも2人です。
剣聖とセリアはその光景に目を奪われていなかったようです。二人は息を合わせたわけでもないのに魔術スキルと剣術の見事な連携でティアへと挑みます。
「お二人ともお見事ですわ」
ティアの魔術も剣聖の剣技もザブラ君にガードされました。しかし、先程までと違いザブラ君の守りはぎりぎりのようです。展開した防壁を破壊され、少し焦りが見えます。ですが守られているセリアは余裕の表情です。
「体を幼くさせるスキルと獣化のスキルを合成し、誰かに試したくなって不慮の事故でああなってしまったレデンがこんな形で役に立つとは世の中わかりませんわね。記憶がないのをいいことに女装までさせてあることない事吹き込んで遊んでしまって申し訳ありませんでしたわ。しかもいつの間にか消えていてなぜか転移者のパーティに混ざっていたのには驚きましたが結果として役に立ったので良しとしましょう」
一進一退の攻防が目の前で繰り返されている中、ティアは懇切丁寧な説明をしてくれました。話を聞く限りレデンさんがかわいそうでなりません。
「俺はなぜあんなことをうわあああ。パパってなんだあああご主人様ってええええ」
レデンさんは幼くさせられていた時の記憶があるようで羞恥心で満たされていますね。
人吉君パーティも精神に大打撃を受けています。全員が青い顔をしていますね。
「うそだ……ヨーちゃんが……嘘だ」
「ご、ご主人様」
レデンさんが発言してからしまったという顔をしています。思わず出てしまったのでしょう。人吉君をご主人様呼びしています。
「すいません、その見た目でそれはきついです」
人吉君の引き気味の言葉に俯くレデンさん。彼はまだ記憶に混乱が見られますね。かわいそうに。
ですが緊張感のあった空気は少し間の抜けたものになりました。これは緊張感であまり動けていない人吉君たちにいい効果がありそうです。
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