5 / 7
戦いの後
しおりを挟む
西条先輩が去ってからというものかなり大変であった。
まず他の教師たちや生徒に兜を脱がされそうになったり、能力の解除をしようとしても後ろからひたすら追っかけてくるので、負けるまでずっと追いかけっこをしていた。
そしてなによりも、もっとも大変だったのは、大輝への説明だ。
途中から抜け出してきてしまったため大輝は俺のことをかなり心配していたらしく申し訳ないことをしてしまった。
しかし、いくら大輝でもこの能力をばらすわけにはいかないので自然かつもっともらしい理由を考えなければならなかった。
「で?『最後のジェマ』はどうだったんだ?」
「いやぁ、それがさぁ一瞬でドラゴンをたたき切るからめちゃくちゃ凄かったぞ。俺もいつかあんなかっこいい英雄がついてくれないかなぁ……なんて。」
自分で言っててものすごく恥ずかしい。
どうして自分のことをほめたたえるナルシストにならなければならないのだろうか。
「へぇ~。じゃあさ、新聞部に説明してあげれば?」
「へ?」
「いや、新聞部が『最後のジェマの正体見たり!』って内容で特集を組んでるからさ情報提供でもしてやればいいんじゃないかな?ってさ。」
「い、いやでもいくらなんでも個人情報をさらすのはな……。もともとバレたくないから今までひた隠しにしてたっぽいしな……。」
「大丈夫だって!顔までは見てないんだろ?戦いの様子とかを教えてあげるだけでもいいからさ!」
「う~ん……。はぁ……わかったよ……。」
「サンキュー!」
俺はそのまま授業を終えると大輝に連れられるまま新聞部のほうへと向かった。
新聞部の部室の前に行くと中からドアを思いきりあけながらよそ見をしてる眼鏡をかけた女の子が飛び出してきた。
「はい!では体育館のほうへ行って参rわっ!」
目の前にいた俺の胸へ思い切りぶつかると、その女子生徒は慌てふためき、おでこのあたりを擦りながら。謝ってきた。
「す、すみません!よそ見をしてしまっていて……お怪我はありませんか!?」
「あ、あぁ。俺のほうは大丈夫だけど君のほうこそ大丈夫か?」
「あ、はい!こう見えても私は頑丈ですので!」
女子生徒はない力こぶしを作りながら胸を張って自慢げに答えて見せた。
その後何かに気づいたのかのように俺たちのほうへと質問をしてきた。
「ん?でもどうして扉の前に……。もしかして入部希望者の方ですか!?」
「あぁそういうわけではないんだよ。こいつがドラゴンのとき『最後のジェマ』の様子を見てたから情報提供にでもってさ。だよな?」
大輝が会話に割り込みながら俺に確認を取った。
「まぁそんなところだな。」
「うわぁ!わざわざこちらまでありがとうございます!ちょっと待っててください!今お茶の準備をしますから……。きゃっ!」
棚を開けると上からコップが彼女の頭めがけて落ちてきた。
棚にしまうときに扉で強引に抑えたのだろうか、他の食器の類もどんどん落ちてきていた。
「っと……大丈夫か?」
「あ……ありがとうございます。」
「よっ!さすが我らの王子様!」
茶化すときだけは俺を持ち上げる大輝、こいつ一度シメとくか……。
眼鏡女子はお茶を注ぐと俺たちの前に運んできて着席をした。
「どうぞ。で、いきなりなのですがどのようなことがあったか教えてもらえませんか?」
俺はあの時の戦闘の様子を一語一句嘘をつかずにしっかりと伝えた。
当然俺は一般人目線なので真っ二つにした瞬間は見えなかったというていで話を進めた。
「ありがとうございました!ここまでは私が体験した話と完璧に一致しています!ですが彼の剣や甲冑の特徴まではわかりませんでしたか……。」
彼女の言っている言葉に一つの違和感を覚えたが俺はその時は何も気づかず話を進めてしまっていた。
しかし、この後に起こる問題が、彼女を巻き込んだものになるとはこの時の俺は考えてもいなかった。
まず他の教師たちや生徒に兜を脱がされそうになったり、能力の解除をしようとしても後ろからひたすら追っかけてくるので、負けるまでずっと追いかけっこをしていた。
そしてなによりも、もっとも大変だったのは、大輝への説明だ。
途中から抜け出してきてしまったため大輝は俺のことをかなり心配していたらしく申し訳ないことをしてしまった。
しかし、いくら大輝でもこの能力をばらすわけにはいかないので自然かつもっともらしい理由を考えなければならなかった。
「で?『最後のジェマ』はどうだったんだ?」
「いやぁ、それがさぁ一瞬でドラゴンをたたき切るからめちゃくちゃ凄かったぞ。俺もいつかあんなかっこいい英雄がついてくれないかなぁ……なんて。」
自分で言っててものすごく恥ずかしい。
どうして自分のことをほめたたえるナルシストにならなければならないのだろうか。
「へぇ~。じゃあさ、新聞部に説明してあげれば?」
「へ?」
「いや、新聞部が『最後のジェマの正体見たり!』って内容で特集を組んでるからさ情報提供でもしてやればいいんじゃないかな?ってさ。」
「い、いやでもいくらなんでも個人情報をさらすのはな……。もともとバレたくないから今までひた隠しにしてたっぽいしな……。」
「大丈夫だって!顔までは見てないんだろ?戦いの様子とかを教えてあげるだけでもいいからさ!」
「う~ん……。はぁ……わかったよ……。」
「サンキュー!」
俺はそのまま授業を終えると大輝に連れられるまま新聞部のほうへと向かった。
新聞部の部室の前に行くと中からドアを思いきりあけながらよそ見をしてる眼鏡をかけた女の子が飛び出してきた。
「はい!では体育館のほうへ行って参rわっ!」
目の前にいた俺の胸へ思い切りぶつかると、その女子生徒は慌てふためき、おでこのあたりを擦りながら。謝ってきた。
「す、すみません!よそ見をしてしまっていて……お怪我はありませんか!?」
「あ、あぁ。俺のほうは大丈夫だけど君のほうこそ大丈夫か?」
「あ、はい!こう見えても私は頑丈ですので!」
女子生徒はない力こぶしを作りながら胸を張って自慢げに答えて見せた。
その後何かに気づいたのかのように俺たちのほうへと質問をしてきた。
「ん?でもどうして扉の前に……。もしかして入部希望者の方ですか!?」
「あぁそういうわけではないんだよ。こいつがドラゴンのとき『最後のジェマ』の様子を見てたから情報提供にでもってさ。だよな?」
大輝が会話に割り込みながら俺に確認を取った。
「まぁそんなところだな。」
「うわぁ!わざわざこちらまでありがとうございます!ちょっと待っててください!今お茶の準備をしますから……。きゃっ!」
棚を開けると上からコップが彼女の頭めがけて落ちてきた。
棚にしまうときに扉で強引に抑えたのだろうか、他の食器の類もどんどん落ちてきていた。
「っと……大丈夫か?」
「あ……ありがとうございます。」
「よっ!さすが我らの王子様!」
茶化すときだけは俺を持ち上げる大輝、こいつ一度シメとくか……。
眼鏡女子はお茶を注ぐと俺たちの前に運んできて着席をした。
「どうぞ。で、いきなりなのですがどのようなことがあったか教えてもらえませんか?」
俺はあの時の戦闘の様子を一語一句嘘をつかずにしっかりと伝えた。
当然俺は一般人目線なので真っ二つにした瞬間は見えなかったというていで話を進めた。
「ありがとうございました!ここまでは私が体験した話と完璧に一致しています!ですが彼の剣や甲冑の特徴まではわかりませんでしたか……。」
彼女の言っている言葉に一つの違和感を覚えたが俺はその時は何も気づかず話を進めてしまっていた。
しかし、この後に起こる問題が、彼女を巻き込んだものになるとはこの時の俺は考えてもいなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる