魔法学院の最底辺

かる

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STARS

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あれから土日が過ぎた月曜日の朝……

「おはようございますお兄様。」

「おはよう桃、姉さんは?」

「お姉さまならまだ寝ていますよ。」

「はぁ、またか……、今日は新歓祭だっていうのに……。ちょっと起こしてくる。」

「わかりました、では朝食よそっておきますね。」

「あぁ、頼んだ。」

さすがに今日姉さんが遅刻するのはまずいと思い起しに行った。ノックをしてから呼びかけた。

「姉さん、起きて。今日は新歓祭だよ。」

「はぁい。」

眠そうな声がした後、目をこすりながら姉さんがドアを開けてきた。俺たちはそのあと朝食を食べてから学校へと向かった。

「「おはようございます委員長。」」

「あぁ、おはよう。全員集まったな、欠席者なしで良かった。今日は生徒間でのもめごとや風紀を乱す行為になどに目を光らせながらお前らも楽しんでくれ。ただしお前らも風紀は乱すなよ?」

「「はい!」」

その後ホームルームをし、俺たちには風紀委員と書かれた腕章が配られた。

「これから初の仕事だな。頑張れよ!」

稜が肩をたたいて言ってきた。

「ありがとう。頑張ってくる!」

そのとき時まで俺は新入生歓迎会が順調に進むものだと思っていた。

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「活気に満ち溢れてるね~。」

「そうだね。みんな楽しみにしていた行事の一つだしね。」

いろいろな部活動が部員を集めようとパフォーマンスをしていた。

「ん?あれは……。」

「何かあったの?」

「学生服の生徒の肩にサッカー部の学生が腕を回しているな……。」

「少し気になるね、尾行してみようか。」

「他の部活でももめごとがあるかもしれないから俺行ってくるよ。」

「わかった。」

二人組は校舎の裏につながる細い道へと入っていった。俺は校舎に体をくっつけ、何を話しているのか少し聞いてみた。

「お前まだ部活決まってないんだろ?サッカー部来いよ!」

「いやでも……僕前々から野球部に入ろうと思っていて……。」

「あ?最底辺のくせにか勇者科の俺に口答えするのか?」

「最底辺ってどういう……。」

「外交科なんて日本にしかない特別な学科で、さらに落ちこぼれときた。最底辺の外交科って呼ばれてるの知らねえのか?」

「そ……そんなぁ!」

「お前らみたいな落ちこぼれを俺がサッカー部に入れてやるって言ってんだから早く入れよ!うちの部活は会費は月2万な。」

俺は明らかに違反だと思いその男に声をかけにいった。

「失礼します先輩。それは違法行為なので認められません。」

「あ?なんだお前。」

「風紀委員です。」

「お堅い風紀委員様だぜ。お前らにも金を分けてやろうかと思っていたのに。」

「いりません。そして本部までご同行お願いいたします。」

「おい、お前ら出てこい。」

そういうと人細い道の入り口のほうから5人ほど同じユニフォーム着た男たちが出てきて、入り口をふさがれた。

「仲間を呼んどいて正解だったぜ。」

「お前も風紀委員なんかやめてサッカー部に入ろうな!」

そういうと男たちが殴りかかってきた。とりあえず、正当防衛を確保するため、1発殴られた。

「入った!弱いn「ふん!」」

ボディブロー1発でその男は倒れた。

「2人目!」

次にもう1発殴られた後右ストレートをしたら男は顔を抑えつつ倒れた。

「や、野郎……!ぜってえに潰す!」

野球部希望の男の子を連れていたキャプテンらしき男がルーンを描き始めたのでさすがにまずいと思い、その男の子の手を引き、キャプテンの仲間たちの空いている穴を縫うように細い道から脱出をした。

「逃げんじゃねえ!」

「大勢の目の前での魔法使用はさすがにまずいんでは?」

細い道を出て、みんながいる中庭に来た。さすがにこの場で魔法を使えば危険という認識になり、防衛が認められるはずだ。

「知るか!てめえを潰す!」

サンダーショックは出が早く、人を気絶させるだけの威力はあり、かなりルーンの文字数も少ない。この先輩、魔法での戦いに結構慣れてるな……。

「仕方がない……。ヒプノシス!」

俺は、サンダーショックを避けて、一気に間合いを詰めてから魔法を放った。ヒプノシスは魔王系統の弱体魔法の1種で、相手を催眠状態にもっていくことが出来る。

「な!」

そのキャプテンらしき人は驚いた後気絶して倒れた。それと同時に勝てないと踏んだのか周りの男たちも膝をついた。

「大丈夫!?けいちゃん!」

「あぁ、この通りぴんぴんしてるよ。」

「では先輩方立ってください。本部へ向かいます。」

そう言うと、委員長がやってきた。

「話はこいつから聞いた。後は俺がやっておく。」

野球部希望の男の子が本部に通達してくれたようだ。

「お前は!藤堂!どうしてお前がこんなところに……。」

「留学が終わって4月に帰ってきたからだ。」

「藤堂って、あの藤堂さんだったんですか!?」

姉さんが驚いたが、無理もない。
藤堂 源五郎
この世界は勇者側と魔王側で別れているが、世界はどちらについているかばらばらであり、片方が大きな戦争を起こせばそれによっていろいろな場所で連続的に戦争が起こってしまう。それを防ぐために作られたのが魔法学院における優秀な生徒12人で作られた機関『STARS』だ。この機関に所属している者は黄道12星座の名前をあてはめられる。2人ほど日本人が所属していて、その一人が『天秤の藤堂』だ。

「今日は本当にありがとうございました。」

野球部希望の男の子がお礼をしてきた。

「あぁ、どうってことないよ。これが仕事だしね。」

*************************

あれから新入生歓迎会何事もなく順調に進んだ。

「お疲れさまでした。」

「あぁ、お疲れ。しかしお前には一つだけ伝えておくことがある。」

「なんですか?」

「この国がどちらにつくか選択を迫られている。」

「STARSの人々は?委員長つながりあるんでしょう?」

「日本人のもう一人が全く会議に参加しなくてな。」

「それは災難でしたね。」

「あぁ、まったくだ。これから日本は戦地になる可能性がある。」

「そうですか、避難経路確保しときますね。」

「食えない男だ。」

「では失礼します。」

「テロが起きた時、お前はどうするんだ?」

「どうするも何も、兄弟を守ります。」

「そうか。」

そして迎えるは魔法祭であった。

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「遂に天秤が行動を起こし始めたらしいよ!」

「へぇ、どっちにつくんだ?」

「さあ、でも……敵になるなら……。」




「世界大戦の開幕だね!」



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