魔法学院の最底辺

かる

文字の大きさ
上 下
6 / 28

テロと訓練と新たな生徒

しおりを挟む
「これから国が見回りを増やすなど言っていた。」

この学院が国立というのも国が動く一つである最も大きい理由は魔法祭であろう。

「俺たちはどうすればいいんですか?」

「これから先1か月間もしかしたらテロ等がこの学院でも起こる可能性がある。その時のハザードマップの確認や、生徒たちの誘導などの話し合いをしておく。」

「それって先生が担当するんではないんですか?」

「もちろん主導は先生だ。しかし必ずしも先生がそこにいるとは限らないしな。」

この男嘘をついたな。本当の理由は、教師だと自分より弱いからあてにならないといったところか……。確かに教師が必ずしもあてになるとは言えないか。

「そうですか。」

俺たちはその後被害対策用のマニュアルの確認、備蓄庫の確認などを行った後、解散となった。

****************************************************

「けいちゃん、今日は普通に帰るのね。」

「あぁ、これといった用事もないしな、しいて言うならこの後体術の確認をしに行くんだが二人とも来るか?」

「行きます!」「行く!」

俺たちはそのまま練習場へと向かった。

「よぉ、今日は先生なんだろ?」

「先生というか俺が修行の片手間に相手してあげてるだけだけどな。」

「先生!よろしくお願いします!」

地元の中学生や小学生だ。子供と入っても強くなれるよう教えてるのであまりにも手を抜けば当然負ける。

「今日は3人で来い。」

「また人数増やすの?さすが俺たちの先生だ!」

「よし!じゃあ行くよぉ……。」

1拍置いた後3人が同時に攻めてきた。小学生の一人が俺の顔をふさぐように高く跳躍した。顔の横にけりを入れてこようとする。

「隙間から少し見えてるぞ。」

俺は足元に水面蹴りしようとした中学生一人に軽く蹴りを入れる。ガードはちゃんととれるようになったか……。

「もう一人は……。」

見失ったということは……俺は首を傾けて殴ろうとしてきた腕をつかみそのまま背負い投げの姿勢にもっていった。

「受け身も取れるようになったか。よし、お前らよくできてたぞ。」

「でも負けちゃったじゃん!」

「そんなことないぞー、そこまでできるようになればある程度戦えるようになるし素人相手だったら大人さえ倒せる。」

「ほんと!?」

「あぁ、本当だ。」

「やったあ!俺強くなってるんだ!」

俺はその後も徐々に増やしていって5人同時までを相手できるようになり始めていた。そしてその後家に帰るため街の中を3人で歩いていた。

「随分とうれしそうだったね、けいちゃん。」

「まぁな。なんか自分が教えてる子たちが強くなっていくのを見ると少し感慨深くなるもんだな。」

「これからもまだまだ教えるつもりなんですよね?」

「あぁ、できる限りな。」

****************************************************

「さてと、今日も学校頑張るか……。」

俺は毎日の日課であるランニングを済ませた後、妹たちより先に学校へと向かっていた。

「ん?なんだあの人……。」

道の真ん中で周りを見渡してうろうろしているうちの学院の制服を着た女の人がいた。

「道に迷ったんですか?」

「ハイ……、ジキルロット魔法学院というところに行きたいのですガ……。」

「それなら俺も向かうから一緒に行こう。」

「いいんですカ!?あいがとうございマス。」

「留学生の方ですか?」

「ソウデス、私は外交科1年に今日から留学することになっている『ベアトリス・メストル』デス。よろしくお願いしマス。」

「よろしく、ベアトリス。俺も同じく外交科1年の龍虎 慧だ。よろしく。」

「よろしくデス。慧。」

その後俺たちは学校へと向かって歩いていた。

「外交科って何やるんでスカ?」

「何も聞いてないのに留学したのか?」

「実は……留学する代わりに大量の支援金をもらえるということでしたので……。」

「なるほどね。まぁ、ようは魔王陣営と勇者陣営の橋渡し的な存在の育成かな。」

「かなり大きなことをやっているのデスネ……。」

「形だけかもしれないけどな……。」

俺が少しつぶやき、視線を落とすとベアトリクスは不思議そうな顔でこちらの顔を覗いた。

「どうしたのデスカ?」

「何でもないよ。これから学院瀬克一緒に頑張ろうな!」

入学式があったばかりというこの時期に留学か……。怪しいな、このベアトリクスという女の子の身元を調べてみるか……。
しおりを挟む

処理中です...