幸運冒険者とダメなヒロインたちのほのぼの冒険譚(仮)

かる

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幸運児、ヒロインに出会う

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昨日はちゃんと宿をとっておいたのでしっかりとした睡眠をとることができた。野営のときは地面がじかに伝わったのでかなり背中痛かったしな。宿から出るととりあえずギルドのほうへ向かった。

「あ！ユウキさん！ちゃんと来たみたいですね！」

「『ちゃんと』とはなんだ、俺は毎日来てるだろ。」

「ハイハイ、わかりましたからとりあえず。」

「皆さん、集まってください！」

そういうと周りのみんなはこっちへと集まってくる。え？何？プロポーズ？やだ恥ずかしい……。///

「ではユウキさん！何か初級魔法を撃ってください！」

なんもわからんけどとりあえず初級魔法を撃ってみる。

「サンダー」

轟音とともに雷がギルドの屋根を突き抜け床を貫通した。

「…………。」

周りが絶句した。

「やべぇ……。修理費とか結構かさむんじゃね？ごめん……。」

「いやあのさぁ……そこじゃねえだろ！？」

皆が口をそろえて言った。

「お前の威力あり得ないからな！？」

「確かに最初はびっくりしたけど、魔法ってみんなこんなものだと思っていたが……。」

「んなわけあるかあああああああああああ！」

なるべく穏やかな冒険をする俺の未来は一瞬にして崩れ去ったのだった。

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「じゃあどうすれば俺がほかの街に行っても目立たないかの会議ー！」

「いや威力お押さえろよ。」

「まったくもって正論と言いたいところだが、それができたら苦労しねえよ。」

「なるべく抑えようとするとこうなっちゃうんだよ。『サンダー』」

「痛ッ！静電気かよ！」

「そんなわけで俺が本気を出すと生態系が変わるけど抑えると俺がモンスターに殺されかける。」

「どうして目立ちたくないんだ？」

「こんな歩く生物兵器に近づきたがる奴なんているか？」

「…………」

「だろ？だから俺はまず力の制御から始めたいわけなんだが。」

「力を弱める練習をする奴なんて初めて見たぞ……。」

「この辺で地形が変わっても問題ないところってないか？」

「まぁ、なくはないけど……。」

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俺は話が終わるととりあえず市場のほうへ行こうと近道をするために路地裏に行った。

「やめてください！」

女の子がヤンキーらしき3人組につかまっている。ん？助けに行くか……いやでも本気出して警察沙汰になったらいやだな……。この時代って警察に似たようなのあるのかな？
俺はどうにかこの場を切り抜ける方法を考えた。そして視線を落とした時あることをひらめいた。

「申し訳ないけど彼女を離してらえないか？」

「あ？なんだ？いきなり出てきてよぉ！」

「もし離してくれるならこれをあげよう！」

俺はおもむろに金貨を相手に見せる。

「アハハハ！こいつ馬鹿だぜ！ならそれもいただいて彼女も連れて行かせてもらうぜ！」

三人組が殴りかかってくる。

「結局こうなるのかよおおおおおおおおおお！」

俺は結局3人を相手する羽目になってしまった。中高は運がよかったからヤンキーの目の前で金塊を拾うなんてこともあった。この幸運は肝心な時に役に立たたなかったのだ。それゆえに目を付けられることもあった。だから俺は喧嘩にも負けないようにトレーニングをしたり喧嘩の相手をすることもあった。明らかにこいつら弱いな、喧嘩慣れしてるやつの動きじゃないし。高校デビューならぬ異世界デビューか？

俺は3人に襲われながらも一人ずつ倒していった。一人目は顔を殴ってくるのが見えていたのでボディブローで1撃、もう一人は足払いをすると路地裏の壁に頭をぶつけて気絶、最後の一人は膝蹴りをももに入れると悶えて地面に突っ伏した。これ正当防衛だよね？

「終わったぞ、大丈夫か？」

「はい……ありがとうございます……。」

かなりかわいい女の子だ。人形のような白髪のショートボブに碧眼の目、俺と同じくらいか？

「なんでこんなところにいたんだ？」

「それが……ギルドへ近道をしようとしたら他の冒険者が『俺のパーティに入れ』としつこく勧誘してきたんです。」

「へぇ、パーティなんて組めるんだ。」

「今までどうやって戦ってきてたんですか？」

「そりゃあ一人だよ。」

「よく大丈夫でしたね！？」

「あー……、倒そうとしてる時に他の冒険者に助けてもらってね。」

「そうですか！ではお礼も兼ねてなんですけどクエストに行きませんか？」

「いいよ！」

マジ？こんなかわいい子と？人生一生分の運使ったまであるな。

「じゃあギルドに行くか。」

「はい！」

「俺の名前はユウキってんだ。まだ駆け出し冒険者だけどな。君の名前は？」

「私の名前はエマです！よろしくお願いします！」

「よろしくな！エマ！」

それから俺たちはギルドへと歩き出した。

＊

「ユウキさんはどうして冒険者になろうと思ったんですか？」

「んーかっこいいからかな」

「そんな理由ですか…。」

「そんな理由だよ。俺は昔さ、運だけは良くて妬みとかで小学校の頃は上級生たちにいじめられてた。でも突然現れたヒーローが守ってくれたんだよ。上級生相手なのに臆することなく挑んでさ、最後は勝っちゃったんだ。その日から俺もそのヒーローを目指して、喧嘩に強くなって、昔の俺みたいなやつを守りたかったんだよ。」

「素敵なお話ですね。」

「さぁそんなわけでギルドについたぞ。何を受けるんだ？」

「これなんかどうですかね？二人ですからこのくらいがちょうどいいですし。」

「あぁ、それでいこう。」

ジャイアントワームって二人で3頭が普通なの！？

「ジャイアントワームを3頭討伐せよ」

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「ここも結構地形が変わってしまったらしいです。誰のせいかわかりませんけど許せませんね！」

グハッ！！絶対に俺がやったなんて言えねぇ……。

「そ……そうだな！それにしても地形が変わったわりに結構きれいじゃないか？」

「言われてみればそうですね……。森の泉って感じになりましたしね！」

「そうだよな！？そう！うん！」

エマはこちらを不思議そうな顔をしてみていた。

「あ！あれですね…3匹一緒ですか。どうやって攻撃しましょう……」

俺たちはとりあえず茂みに隠れて様子をうかがった。

「そういえばエマの職業は？」

「私は戦士ですね。」

「な……なにぃ！？」

こんなゆるふわ系ガールが戦士だと？アベンジャーズか？

「ユウキさんは？」

「レンジャーだ。」

「上級職じゃないですか！？実はすごい人だったんですか？」

「レンジャーって初級職じゃないの？」

「ある程度旅芸人等で経験値をためないとなれませんよ！」

「あんの受付嬢……先に教えとけやぁ！」

「あ」

「あ」

大きな声を出したせいでジャイアントワームがこちらに気づいた。3匹とも一直線でこちらへ向かってくる。

「やばいバレた！ええいままよ！サンダー！」

とてつもない威力の雷が落下してきてジャイアントワームを1撃で黒焦げにする。

「………。」

エマは唖然とした。

「なんかもう……すみませんでした！」

生態系がまたもやこの男一人によって変えられてしまいそうになるのだった。

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討伐が終わった後の帰り道にて、

気まずい……。

「ユウキさん……」

「はい！」

もうどんなことを言われても受け入れよう。その時の俺はさながら死刑宣告を待っているときの死刑囚のようであったであろう。

「私のパーティに入ってください！」

「はい！？」

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