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第二章 潜入開始!生徒会には近づきません!
第十話 く る し い
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「どういうこと、ですか。陛下の兄って、たしか、病気で………」
「あぁ亡くなっているーーー、だが、正確には、私が殺した。」
王は目を伏せた。
分かってしまった。この人がなぜメアリーとアルバートを、こんなに近づける理由が。思わず、尻餅をつく。震える手を口にやる。
(この人は………一回、失敗してるんだ)
それも、自分が。
「おにいたま、おにーたま!」
「どうしたの?レオン。」
「れ、れいんおにーさま、あ、のね、今日は、こ、こんにゃくしゃ?さまと、会ってきたんだ!」
「こんにゃくしゃ?婚約者のことかな?」
「うん!そえー!」
拙い言葉だが、懸命に兄に言葉を伝えようとする。レオンに、レオンの兄であるレインは口角を上げる。
(おにーさまは、とっても優しい人…… 。)
それにつられ、レオンも口角を上げる。
幼いレオンにとって、優しくて頼り甲斐のある兄は、憧れであり尊敬できる、……レオンが1番頼れる人であった。
「兄様、今日はね、この勉強が出来なくて………!」
「そっか、政治はまだ難しいもんね。でも、王様になるためには頑張らないと。」
“王様になるためには頑張らないと。”と、兄はよく言っていた。
おそらく無意識だったのだろう。だが、レインが王になりたいということは見て分かった。だから、レオンは王様になんてならなくてよかった。………だけど。
レオンが14歳、レインが20歳の夏。
ヒュンッと矢が空を切る。
そして的の中心へと刺さった。
次の矢。
矢はヒュッと軽く飛び、的の中心から少しズレた右あたりに刺さった。
的当て大会優勝者は、第二皇子であるレオン。
準優勝が兄のレイン。
「うーん、やはり、的当てではレオンに敵わないねぇ」
「へへ、練習はしてないんだけどね!」
「え………?」
「ん?練習はしてないんだけど………なんかあたっちゃったぁー」
「そっ、そう、なんだ?」
レオンは気づいてなかった。
兄の目が、少し見開かれて。少しだけ。ほんの、少しだけ、歯軋りをしたことに。
さらに、レオンは知らなかった。
毎日、毎日。レインが次こそは、次こそはと、夜な夜な練習をしていることに。
その時期から、レインとレオンの関係は、少しづつ壊れていった。
ピアノも、球技も、勉強も、支持も。
何もかもレオンが優勢だった。
レインは体が弱く、時期国王としてあまり支持されていなかった。
使用人すら、レオンの味方をする。
レインの精神は、段々と壊れていった。
「お兄様!今日は、乗馬大会で一位を取ったんです!いつもは、ミカに負けてしまうんですけど、今日はだいぶ差をつけて勝てたんです!ミカも、私のことを認めてくださって………!」
レインは分かっていた。この弟は、ただ自分に褒められたいだけなのだ、ということを。でもレインは褒められなかった。
ただ、“すごいね”というだけでよかったのに。だめだった。もうその頃には、かなりレインの精神は、弱ってしまっていたから。
「……な」
「なんですか、お兄様。ちょっと聞こえなくてーーー」
「うるさいなっていってんだよこのクズが!楽しいか!なにもかもがお前より劣っているこの兄に!そんな自慢をして!当て付けて!楽しいかって聞いてんだよ!」
「ちが、ただ、私は………!!」
「何が違うっていうんだ………!!!」
痛かった。苦しかった。ずっとずっと苦しかった。でも、これで終わる。
レインはそばにあった果物ナイフを掲げる。すでに心は壊れていた。
幼き頃の楽園のような日々は、もう、心には残っていない。あるのは苦しみと、憎悪と、狂気だけ。
「や、だ、兄様、」
レオンが涙を浮かべる。
レインはレオンの上へ馬乗りになる。
「いやだ!兄様!戻って、戻って下さい!あの頃の、兄様みたいにーー!」
しかしレインの無慈悲な心は動かない。
「兄様ぁぁぁぁぁーー!ッッッ!!」
ざくっ。
「ぐあっ、うぁ、ぁぁぁぁぁっ!!!」
肩を、焼け付くような痛みが切り裂く。
(なんで………なんでだよ、兄さま。なんで………!!)
(俺は………馬鹿だろうか。心臓をついたら、愚弟は死ぬんだ。自分が救われるためにも、殺さなきゃ。王になるために。殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ………
だけど………っ、出来ないんだ。どうして、だろう?こんなやつ、嫌いなはずなのに……………!)
やればやろうとするほど、出来ない。
まるで誰かに手を掴まれているようで。
心臓をつけば、一撃なのに。
ふと蘇る記憶。
自分は、可愛くて、大好きだったレオンに、いろいろなことを教えてあげていた。
だが今自分は、その可愛い弟を、殺そうとしているのだ。
(あれ、なんで………)
一瞬だけ正気に戻る。しかし、すぐに狂気に喰われてゆく。その、直前に。
「ごめん、ごめん、レオン………ごめんな。こんな弱い兄様で、ごめん………!!」
「に、いさ、」
レインの体の中は、体を蝕む狂気と、まだ残る優しさとで、ずっと闘っている。
「壊れないでよ兄様。いやだよ、ねぇ!」
レインからもボロボロと涙がこぼれ落ちている。
「兄さま、お願い………っ、負けないでぇ……………っ!!」
「っ、ごめ、なっ、だめだよ、無理だ。こんな、嫉妬と憎悪でっ、溢れった、俺のっ、心なんか、壊れたほ、がっ、いいんだよ、」
「いやだ、嘘だろ、やめて、やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「さよなら、レオン。ごめんな、傷つけて。
兄様は、ずっとお前のことを。ずっとずっと、愛してるから………」
ずぅっ………
レインは自分の心臓を、突いた。
ぶしゃっと血飛沫が舞う。
「兄様?ね、ぇ、兄様、兄様ぁ!!」
強烈な吐き気がする、
「う、おぇ、ぅぉ、ぁ………」
肩の傷もズキズキと痛む。
強烈な痛みと吐き気と眩暈で、レオンは気を失った。
気を失う直前に聞いた声は………
『おれは、天国にはいけないけど。ずっとずっとお前を、見守っているから………』
「にい、さま」
目を覚ますとそこは、自室だった。
「兄様!」
まもれな、かった。
王になるべきは兄だったのに。
「俺は王なんて、別になりたくなかった。ずっとずっと、幸せだったから。だから………それでよかったのに………」
悲しく、辛い記憶は、ずっと。
「そんな………」
「君には、私と同じような結末に、たどり着いてほしくはなかったからね。
メアリーは思わず涙を浮かべてレオンを見上げる。
失うものがあってからこその強さが、この人にはあるんだ。
私が母を失ってしまった時のように。
「ごめんなさい………っ!」
レオンは優しくメアリーの頭を撫でる。
………かつて兄が、自分にしたように。
「あぁ亡くなっているーーー、だが、正確には、私が殺した。」
王は目を伏せた。
分かってしまった。この人がなぜメアリーとアルバートを、こんなに近づける理由が。思わず、尻餅をつく。震える手を口にやる。
(この人は………一回、失敗してるんだ)
それも、自分が。
「おにいたま、おにーたま!」
「どうしたの?レオン。」
「れ、れいんおにーさま、あ、のね、今日は、こ、こんにゃくしゃ?さまと、会ってきたんだ!」
「こんにゃくしゃ?婚約者のことかな?」
「うん!そえー!」
拙い言葉だが、懸命に兄に言葉を伝えようとする。レオンに、レオンの兄であるレインは口角を上げる。
(おにーさまは、とっても優しい人…… 。)
それにつられ、レオンも口角を上げる。
幼いレオンにとって、優しくて頼り甲斐のある兄は、憧れであり尊敬できる、……レオンが1番頼れる人であった。
「兄様、今日はね、この勉強が出来なくて………!」
「そっか、政治はまだ難しいもんね。でも、王様になるためには頑張らないと。」
“王様になるためには頑張らないと。”と、兄はよく言っていた。
おそらく無意識だったのだろう。だが、レインが王になりたいということは見て分かった。だから、レオンは王様になんてならなくてよかった。………だけど。
レオンが14歳、レインが20歳の夏。
ヒュンッと矢が空を切る。
そして的の中心へと刺さった。
次の矢。
矢はヒュッと軽く飛び、的の中心から少しズレた右あたりに刺さった。
的当て大会優勝者は、第二皇子であるレオン。
準優勝が兄のレイン。
「うーん、やはり、的当てではレオンに敵わないねぇ」
「へへ、練習はしてないんだけどね!」
「え………?」
「ん?練習はしてないんだけど………なんかあたっちゃったぁー」
「そっ、そう、なんだ?」
レオンは気づいてなかった。
兄の目が、少し見開かれて。少しだけ。ほんの、少しだけ、歯軋りをしたことに。
さらに、レオンは知らなかった。
毎日、毎日。レインが次こそは、次こそはと、夜な夜な練習をしていることに。
その時期から、レインとレオンの関係は、少しづつ壊れていった。
ピアノも、球技も、勉強も、支持も。
何もかもレオンが優勢だった。
レインは体が弱く、時期国王としてあまり支持されていなかった。
使用人すら、レオンの味方をする。
レインの精神は、段々と壊れていった。
「お兄様!今日は、乗馬大会で一位を取ったんです!いつもは、ミカに負けてしまうんですけど、今日はだいぶ差をつけて勝てたんです!ミカも、私のことを認めてくださって………!」
レインは分かっていた。この弟は、ただ自分に褒められたいだけなのだ、ということを。でもレインは褒められなかった。
ただ、“すごいね”というだけでよかったのに。だめだった。もうその頃には、かなりレインの精神は、弱ってしまっていたから。
「……な」
「なんですか、お兄様。ちょっと聞こえなくてーーー」
「うるさいなっていってんだよこのクズが!楽しいか!なにもかもがお前より劣っているこの兄に!そんな自慢をして!当て付けて!楽しいかって聞いてんだよ!」
「ちが、ただ、私は………!!」
「何が違うっていうんだ………!!!」
痛かった。苦しかった。ずっとずっと苦しかった。でも、これで終わる。
レインはそばにあった果物ナイフを掲げる。すでに心は壊れていた。
幼き頃の楽園のような日々は、もう、心には残っていない。あるのは苦しみと、憎悪と、狂気だけ。
「や、だ、兄様、」
レオンが涙を浮かべる。
レインはレオンの上へ馬乗りになる。
「いやだ!兄様!戻って、戻って下さい!あの頃の、兄様みたいにーー!」
しかしレインの無慈悲な心は動かない。
「兄様ぁぁぁぁぁーー!ッッッ!!」
ざくっ。
「ぐあっ、うぁ、ぁぁぁぁぁっ!!!」
肩を、焼け付くような痛みが切り裂く。
(なんで………なんでだよ、兄さま。なんで………!!)
(俺は………馬鹿だろうか。心臓をついたら、愚弟は死ぬんだ。自分が救われるためにも、殺さなきゃ。王になるために。殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ………
だけど………っ、出来ないんだ。どうして、だろう?こんなやつ、嫌いなはずなのに……………!)
やればやろうとするほど、出来ない。
まるで誰かに手を掴まれているようで。
心臓をつけば、一撃なのに。
ふと蘇る記憶。
自分は、可愛くて、大好きだったレオンに、いろいろなことを教えてあげていた。
だが今自分は、その可愛い弟を、殺そうとしているのだ。
(あれ、なんで………)
一瞬だけ正気に戻る。しかし、すぐに狂気に喰われてゆく。その、直前に。
「ごめん、ごめん、レオン………ごめんな。こんな弱い兄様で、ごめん………!!」
「に、いさ、」
レインの体の中は、体を蝕む狂気と、まだ残る優しさとで、ずっと闘っている。
「壊れないでよ兄様。いやだよ、ねぇ!」
レインからもボロボロと涙がこぼれ落ちている。
「兄さま、お願い………っ、負けないでぇ……………っ!!」
「っ、ごめ、なっ、だめだよ、無理だ。こんな、嫉妬と憎悪でっ、溢れった、俺のっ、心なんか、壊れたほ、がっ、いいんだよ、」
「いやだ、嘘だろ、やめて、やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「さよなら、レオン。ごめんな、傷つけて。
兄様は、ずっとお前のことを。ずっとずっと、愛してるから………」
ずぅっ………
レインは自分の心臓を、突いた。
ぶしゃっと血飛沫が舞う。
「兄様?ね、ぇ、兄様、兄様ぁ!!」
強烈な吐き気がする、
「う、おぇ、ぅぉ、ぁ………」
肩の傷もズキズキと痛む。
強烈な痛みと吐き気と眩暈で、レオンは気を失った。
気を失う直前に聞いた声は………
『おれは、天国にはいけないけど。ずっとずっとお前を、見守っているから………』
「にい、さま」
目を覚ますとそこは、自室だった。
「兄様!」
まもれな、かった。
王になるべきは兄だったのに。
「俺は王なんて、別になりたくなかった。ずっとずっと、幸せだったから。だから………それでよかったのに………」
悲しく、辛い記憶は、ずっと。
「そんな………」
「君には、私と同じような結末に、たどり着いてほしくはなかったからね。
メアリーは思わず涙を浮かべてレオンを見上げる。
失うものがあってからこその強さが、この人にはあるんだ。
私が母を失ってしまった時のように。
「ごめんなさい………っ!」
レオンは優しくメアリーの頭を撫でる。
………かつて兄が、自分にしたように。
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