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第二章 潜入開始!生徒会には近づきません!
第十一話 ケツイ
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「…アル」
ぎこちなく顔を上げ、メアリーは告げる。
「話し合い、を、しましょう」
決意を、固めて。
「まず、質問……、です」
「………」
アルはずっと下を向いている。
表情を読み取ることができない。
「アルは、な、なん、で、私との約束を、破ったんです、か」
「………」
アルは、話す気などないようだ。
「私、は訳あって今、学園に潜入してます、が、貴方が何も言わないようであれ、ば、貴方から、私や、ここで過ごした記憶、は、消し、ます」
アルはしばし迷うような仕草をした後に言った。
「それは、昔の記憶も含めて?」
「もっ、勿論、です」
「それは………こまる………」
「どうせ、何をいう気も、ない、くせに」
「そんなことは………っ」
「そんなことある!!」
思わず叫ぶメアリーの目尻には涙が浮かんでいた。
「信じてたもん。私は。ずっと待ってたのにぃっ!だって、だってこなかったじゃない!!アルのばかぁっ!」
苦しそうに目を細めたアルは、そっとメアリーを抱きしめる。
「やめ、っ」
「ごめん、リア。ごめん……」
「やだ………」
俺は、あの時とは、違う。
違うよ………
「やだっ!お父様、今日はリアと約束してるんだ!」
ばしっ!また頬を叩かれる。目の前が真っ白になって、何も考えられなくなる。
「なんでだよ。父様だって、リアと一緒に遊ぶことに賛成していただろ!」
「だまれ。子が親に逆らうな」
「父さん………!」
「父様とよべ!」
「………っ!」
もう、君のところに現る資格はないから。
アルはカードをビリビリに破いた。
まるで、自分の心をそのまま現すように。
アルバートは一回目を伏せて考えると、目を上げて父を睨んだ。
「お父様、これは、どういうことか説明してもらっても?」
「………お前は……その才能を買われたんだ。テルノアーツ学園に通う男の子の父にな。」
「は………?」
父は自嘲するように笑う。
「お前に父と呼ばれる資格は、もうないんだよ、アルバート。」
混乱して頭が追いついてかない。
「いや、え?そ、んな」
「それが、まぁ名の立つ貴族でね。私では断りきれない。」
それはそうだろう。父はただの商人だ。
都会に住む貴族のお願いになんて断れるわけがない。
(くそっがっ、くそ、くそぉっ)
そうして、その貴族の息子の弟として学園に通い始めたが、父は濡れ衣を着せられ牢屋行き。
自分を引き取った貴族が引き起こしたことだったのに。
平民は、貴族の罪まで背負わなくてはいけない。こんな世界なんて滅びてしまえばいいのに。
放心するような毎日を送っていたアルバートの心を動かしたのは。
(リア?)
他の令嬢の真ん中で固まっているのは、初恋であり、守れなかった、女の子。
自分が、傷つけてしまったーー
何を話しているのかは分からなかったけどとにかく、リアが困っていたから助けた。そして気になったことを聞いた。
“なんで君がここに”って。
でもリアは答えてはくれなかった。
それどころか逃げ出してしまった。しかし、そこで違和感を感じる。
(風魔法か………?あんなに、洗練された………)
そこで嫌な予想をする。
まさか彼女も………?と。
彼女には才があった。魔法は全て使えたし、賢かったし。なんなら魔法戦はアルバートよりも強かった。
(彼女も、なにか……貴族に、引き取られた、とか)
そんなわけない、アルバートはそう零してズボンを握りしめた。
アルバートが『ファーストプリンセス』の噂を聞いたのはたまたまだった。
授業中、女子が話しているのを聞いた。
(全ての種類の魔法が使える、『ファーストプリンセス』。)
嫌な予感の糸が、繋がってしまった。
(彼女は、王族に引き取られたんだ…!!)
「っていうことだよ。それ以外はなにも。」
「っ、そう、……」
メアリーは覚悟を決め、アルバートと目を合わせる。
「あのね、私のお母さん、死んじゃったの」
「は?あ、んなに、元気そうだったのに…?」
「アルが消えてからくらいのこと、かな。どんどん衰弱していって……」
アルバートが目を見開き、少しだけ涙を見せた。
「ごめん………、俺、その、っ、」
今までのメアリーだったら、怒っていたかもしれない。許さない、なんで?って。
でも、言えなかった。
「私こそ、ごめんなさい。ずっとずっと、許せなかった。でも、貴方がそんな事情を抱えているなんて、知らなかった!」
メアリーはアルバートをそっと抱きしめる。愛と涙と、優しさを込めて。
ぎこちなく顔を上げ、メアリーは告げる。
「話し合い、を、しましょう」
決意を、固めて。
「まず、質問……、です」
「………」
アルはずっと下を向いている。
表情を読み取ることができない。
「アルは、な、なん、で、私との約束を、破ったんです、か」
「………」
アルは、話す気などないようだ。
「私、は訳あって今、学園に潜入してます、が、貴方が何も言わないようであれ、ば、貴方から、私や、ここで過ごした記憶、は、消し、ます」
アルはしばし迷うような仕草をした後に言った。
「それは、昔の記憶も含めて?」
「もっ、勿論、です」
「それは………こまる………」
「どうせ、何をいう気も、ない、くせに」
「そんなことは………っ」
「そんなことある!!」
思わず叫ぶメアリーの目尻には涙が浮かんでいた。
「信じてたもん。私は。ずっと待ってたのにぃっ!だって、だってこなかったじゃない!!アルのばかぁっ!」
苦しそうに目を細めたアルは、そっとメアリーを抱きしめる。
「やめ、っ」
「ごめん、リア。ごめん……」
「やだ………」
俺は、あの時とは、違う。
違うよ………
「やだっ!お父様、今日はリアと約束してるんだ!」
ばしっ!また頬を叩かれる。目の前が真っ白になって、何も考えられなくなる。
「なんでだよ。父様だって、リアと一緒に遊ぶことに賛成していただろ!」
「だまれ。子が親に逆らうな」
「父さん………!」
「父様とよべ!」
「………っ!」
もう、君のところに現る資格はないから。
アルはカードをビリビリに破いた。
まるで、自分の心をそのまま現すように。
アルバートは一回目を伏せて考えると、目を上げて父を睨んだ。
「お父様、これは、どういうことか説明してもらっても?」
「………お前は……その才能を買われたんだ。テルノアーツ学園に通う男の子の父にな。」
「は………?」
父は自嘲するように笑う。
「お前に父と呼ばれる資格は、もうないんだよ、アルバート。」
混乱して頭が追いついてかない。
「いや、え?そ、んな」
「それが、まぁ名の立つ貴族でね。私では断りきれない。」
それはそうだろう。父はただの商人だ。
都会に住む貴族のお願いになんて断れるわけがない。
(くそっがっ、くそ、くそぉっ)
そうして、その貴族の息子の弟として学園に通い始めたが、父は濡れ衣を着せられ牢屋行き。
自分を引き取った貴族が引き起こしたことだったのに。
平民は、貴族の罪まで背負わなくてはいけない。こんな世界なんて滅びてしまえばいいのに。
放心するような毎日を送っていたアルバートの心を動かしたのは。
(リア?)
他の令嬢の真ん中で固まっているのは、初恋であり、守れなかった、女の子。
自分が、傷つけてしまったーー
何を話しているのかは分からなかったけどとにかく、リアが困っていたから助けた。そして気になったことを聞いた。
“なんで君がここに”って。
でもリアは答えてはくれなかった。
それどころか逃げ出してしまった。しかし、そこで違和感を感じる。
(風魔法か………?あんなに、洗練された………)
そこで嫌な予想をする。
まさか彼女も………?と。
彼女には才があった。魔法は全て使えたし、賢かったし。なんなら魔法戦はアルバートよりも強かった。
(彼女も、なにか……貴族に、引き取られた、とか)
そんなわけない、アルバートはそう零してズボンを握りしめた。
アルバートが『ファーストプリンセス』の噂を聞いたのはたまたまだった。
授業中、女子が話しているのを聞いた。
(全ての種類の魔法が使える、『ファーストプリンセス』。)
嫌な予感の糸が、繋がってしまった。
(彼女は、王族に引き取られたんだ…!!)
「っていうことだよ。それ以外はなにも。」
「っ、そう、……」
メアリーは覚悟を決め、アルバートと目を合わせる。
「あのね、私のお母さん、死んじゃったの」
「は?あ、んなに、元気そうだったのに…?」
「アルが消えてからくらいのこと、かな。どんどん衰弱していって……」
アルバートが目を見開き、少しだけ涙を見せた。
「ごめん………、俺、その、っ、」
今までのメアリーだったら、怒っていたかもしれない。許さない、なんで?って。
でも、言えなかった。
「私こそ、ごめんなさい。ずっとずっと、許せなかった。でも、貴方がそんな事情を抱えているなんて、知らなかった!」
メアリーはアルバートをそっと抱きしめる。愛と涙と、優しさを込めて。
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