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5 憧れの人ってどんな人?
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教室に戻ると先ほどまで静かだった教室は、登校してきたクラスメイト達の声で賑わっていた。いくつかのグループになってワイワイと雑談を交わしている生徒達、その中に純の姿を見つけて玲音は声を掛けた。
「おはよう、純」
「おはよう、玲音。鞄だけ置いてどこ行ってたんだ? 」
純は今来たばかりなのか、鞄を肩に掛けたまま話し込んでいた。玲音が声を掛けると、自分の机に鞄を掛けて席に座る。ほとんどの教科を置き勉しているようで、鞄は見た目にも軽そうだった。玲音が席に着くと、純は細い目をさらに細めて楽しそうに笑った。
「もうすぐ文化祭でやる劇の配役決めだな」
もうそんな時期なのかと玲音は思った。この間入部したばかりで、やっと演技が形になってきたばかりなのに。
葉佐高では、文化祭の出し物の一つで演劇部が劇をやる事が決まっている。一時間以上の長い劇の配役は夏休み前に決まり、夏休みから練習が始まる。その演劇のクオリティは毎年高く、葉佐高文化祭の名物の一つになっていた。全校生徒が楽しみにしている大舞台だ。
(今のままの状態で舞台に上がるなんて……)
玲音は急に不安になった。舞台に上がる事は玲音の憧れだった。オープンキャンパスで先輩達の演技を見たあの日から、舞台に立てる自分になりたい、変わりたい、そう思ってきた。でも、こんなにいきなり配役決めがあるなんて……。玲音にはまだ舞台に上がる勇気が無かった。大勢の前に立ってセリフも動作も完璧に役を演じる……。どう考えても不安が勝った。やっぱり裏方に回ろうかと尻込みしてしまう。そんな玲音に向かって純は何の前置きも無くさらりと言ってのけた。
「文化祭が終わったら、先輩に告白しようと思うんだ」
純が照れたように笑う。内緒話のように声を潜めて伝えられたその言葉を頭で理解するのに時間が掛かった。
(告白? ……誰が? 純が……先輩に?)
「えっ! 」
思わず叫びそうになって口を抑える。幸いにも賑やかな教室の雑音に掻き消されて、玲音の声に振り返った者は居なかった。純に好きな人がいる。それも先輩で、告白しようとしてて……。玲音の心臓がどくんどくんと煩く鳴る。咄嗟に思い浮かんだ顔は、何故か伊月先輩だった。見学の日にとても楽しそうに話していた二人。心が締め付けられるように苦しくなっていく。
「だから坂松先輩にはもちろん、この話は二人だけの秘密な」
そう言って純は笑った。
「えっ、坂松先輩って……ぶ、部長? 」
玲音が素っ頓狂な声を上げる。声を潜めてもう一度「部長が好きなの? 」と確認すると、今度は純の方が不思議そうな顔をした。
「そうだけど……他に誰だと思ったの? 」
「いや……えっと、それは……」
純が何かを察したようににんまりとした。
「もしかして、玲音も好きな人いるの? 僕がその人の事を好きだと思って焦ったとか? 」
純は何だか楽しそうだ。
「ち、違うよ! す、好きな人は居ない……好きな人は……」
「じゃあ気になってる人はいるんだね」
「……っ」
純の追求は止まらない。何なら、兄よりしつこいかもしれない。恋愛仲間が出来そうで嬉しいのだろう。終いには玲音の方が根負けして、全てを話す事になってしまった。
「人を探してて……」
玲音はドキドキしながら言葉を選んで話す。まだ好きかどうか分からないけれど、その人は誰よりもカッコいい玲音の憧れの人だ。どうしても、もう一度会ってお礼を言いたい。受験日に玲音を助けてくれた葉佐高の先輩。なかなか会えない彼を密かに「王子様」と呼んでずっとずっと探してきた。
玲音は純に受験日から今までの事を全て話した。純が好きな人を打ち明けてくれたから。話す事は勇気が要ったけど、純の事は不思議と信用することが出来た。ふわふわと掴みどころの無い性格だけど、純は意外と人をよく見ているし変な所で真面目だ。
純は玲音の言葉を静かに聞いていた。そして、良いアイデアを思いついたとでも言わんばかりに身を乗り出して言った。
「だったら舞台に上がって、その先輩の方に見つけてもらえばいいんじゃない? 」
純の言葉が頭に響く。そう上手く行くはずが無い。そうは思ったが、もしかしたらほんの少しでも会える確率が上がるかもしれない。微かな希望が玲音の判断をこの上なく鈍らせる。上手く純に乗せられて、玲音は舞台に立つのも良いかもしれないなんて考え始める。もちろん、今年卒業する三年生が主役になる舞台だから、役が余ればやりたいくらいの考えだ。玲音の心臓がどくんどくんと音を立てた。ドキドキして居ても立ってもいられない。早く放課後にならないだろうか。玲音の中では「王子様」探しが、大きく前進したような気がしていた。もしかしたら本当に会えるかもしれない。玲音の願いが一気に現実味を帯びてきて、わくわくしてくる。
その日の玲音は一日中ぼーっと考え事をして、授業も上の空だった。
***
いつもより長く感じられた授業が終わって放課後になると、玲音は部室に走った。後から純もついてくる。
部室の扉を開けると、一番乗り……では無く、伊月先輩と兄、莉音が何やら話をしている所だった。
「「お疲れさまです」」
玲音と純の声が重なる。伊月先輩と目が合った。長い前髪のせいだろうか。初めて出会った時のように表情が全く読み取れない。じっと見つめていると、近づいてきた伊月先輩を見上げる感じになった。
(背、高いなぁ……)
紺色の制服がよく似合っていると思った。ブレザーを脱いで腕まくりをした伊月先輩の腕は思ったよりガッシリしている。
「お疲れさま。これから筋トレするなら、足押さえるよ? 」
「はい、ありがとうございます! 」
笑顔で喋り掛けてくる伊月先輩につられて玲音も笑った。ほとんどの一年生は毎回違う先輩……手の空いてそうな先輩を捕まえて練習を見てもらっている。けれど玲音は、いつも伊月先輩に見てもらってる気がする。申し訳ない気持ちの中に、嬉しいと思う気持ちがちらほら混じる。伊月先輩が気に掛けてくれる事が嬉しい。そう思う一方で、どうしても思い出してしまう。
(やっぱり……彼女だったのかな……)
伊月先輩は恋人がいるなんて一言も言ってないけれど。朝の親しげにしていた女子を思い出して、ふわふわしていた気持ちが沈んでいく。
(いやいや、がんばるって決めただろ。こんな所で落ち込んでどうするんだ)
「王子様」を探すために舞台に上がると。そのためにどんな努力もすると。
遅れてきた部員達も次々と筋トレを終わらせて発声練習に移っていく。玲音の筋トレが終わると、伊月先輩は紙の束を取り出した。伊月先輩が書いた新しい台本だった。
「集合! 」
部長、坂松先輩の声が部室に響いた。バラバラに練習をしていた部員達が部屋の中央に集まってくる。部長と向かい合う形で全員が列になって並んだ。一年生は前の方の列で、真ん中が二年生、後ろの方に三年生が並ぶ。玲音の並んだ最前列からだと部長の姿がよく見えた。
(あれが、純の好きな人……)
モテると噂の部長は、間違いなくイケメンだった。人前に立つことに慣れていて、人を引きつける魅力があった。
(上手くいくといいなぁ……)
玲音がそんな事を思っていると、新しい台本が配られた。部長が口を開く。
「明日、文化祭の劇をどれにするか決めようと思う。今渡した三種類の台本の中から選ぶので、各自家で読んでくるように。劇が決まったら配役も決めてしまうので、どの役をやりたいか考えて来て欲しい」
玲音は手元にある三種類の台本を見つめた。台本には、それぞれ「孤独な毒華」「君の愛した歌」「シンデレラの憂鬱」とタイトルが書いてある。
(これって……!! )
そのうちの一つ、「シンデレラの憂鬱」は、オープンキャンパスで見た劇のロングバージョンだった。
玲音は嬉しくなって台本をパラパラとめくる。冒頭は玲音の知っている物語そのものだった。夢中で読んでいると丸めた台本で頭をぽこんと叩かれた。優しく叩かれたから全く痛くない。目の前には爽やかに笑う伊月先輩が立っていた。
「こら、練習しろよー」
そう言って伊月先輩は冗談っぽく笑う。
「伊月先輩! この台本!!! 」
「気づかれたか」
伊月先輩はハハッと笑った。今日のために冒頭しか無かった物語を完結させたらしい。他の二つの台本も先輩が書いたものだった。
「ずっと徹夜で頑張って書いたから、頑張って読むように……なんてな」
無理はしなくていいよ、と付け加えた伊月先輩に頭をぽんぽんされる。やっぱり流れるようにごくごく自然な感じだ。
「読むのが今から楽しみです」
キラキラと目を輝かせて、玲音は大事に台本を鞄に仕舞った。これから発声練習で、その後は短い練習用の劇をやって、それから、それから……。
玲音の中でわくわくすることが増えていく。
季節は少しずつ移り変わって、もうすぐ夏が訪れようとしていたー。
「おはよう、純」
「おはよう、玲音。鞄だけ置いてどこ行ってたんだ? 」
純は今来たばかりなのか、鞄を肩に掛けたまま話し込んでいた。玲音が声を掛けると、自分の机に鞄を掛けて席に座る。ほとんどの教科を置き勉しているようで、鞄は見た目にも軽そうだった。玲音が席に着くと、純は細い目をさらに細めて楽しそうに笑った。
「もうすぐ文化祭でやる劇の配役決めだな」
もうそんな時期なのかと玲音は思った。この間入部したばかりで、やっと演技が形になってきたばかりなのに。
葉佐高では、文化祭の出し物の一つで演劇部が劇をやる事が決まっている。一時間以上の長い劇の配役は夏休み前に決まり、夏休みから練習が始まる。その演劇のクオリティは毎年高く、葉佐高文化祭の名物の一つになっていた。全校生徒が楽しみにしている大舞台だ。
(今のままの状態で舞台に上がるなんて……)
玲音は急に不安になった。舞台に上がる事は玲音の憧れだった。オープンキャンパスで先輩達の演技を見たあの日から、舞台に立てる自分になりたい、変わりたい、そう思ってきた。でも、こんなにいきなり配役決めがあるなんて……。玲音にはまだ舞台に上がる勇気が無かった。大勢の前に立ってセリフも動作も完璧に役を演じる……。どう考えても不安が勝った。やっぱり裏方に回ろうかと尻込みしてしまう。そんな玲音に向かって純は何の前置きも無くさらりと言ってのけた。
「文化祭が終わったら、先輩に告白しようと思うんだ」
純が照れたように笑う。内緒話のように声を潜めて伝えられたその言葉を頭で理解するのに時間が掛かった。
(告白? ……誰が? 純が……先輩に?)
「えっ! 」
思わず叫びそうになって口を抑える。幸いにも賑やかな教室の雑音に掻き消されて、玲音の声に振り返った者は居なかった。純に好きな人がいる。それも先輩で、告白しようとしてて……。玲音の心臓がどくんどくんと煩く鳴る。咄嗟に思い浮かんだ顔は、何故か伊月先輩だった。見学の日にとても楽しそうに話していた二人。心が締め付けられるように苦しくなっていく。
「だから坂松先輩にはもちろん、この話は二人だけの秘密な」
そう言って純は笑った。
「えっ、坂松先輩って……ぶ、部長? 」
玲音が素っ頓狂な声を上げる。声を潜めてもう一度「部長が好きなの? 」と確認すると、今度は純の方が不思議そうな顔をした。
「そうだけど……他に誰だと思ったの? 」
「いや……えっと、それは……」
純が何かを察したようににんまりとした。
「もしかして、玲音も好きな人いるの? 僕がその人の事を好きだと思って焦ったとか? 」
純は何だか楽しそうだ。
「ち、違うよ! す、好きな人は居ない……好きな人は……」
「じゃあ気になってる人はいるんだね」
「……っ」
純の追求は止まらない。何なら、兄よりしつこいかもしれない。恋愛仲間が出来そうで嬉しいのだろう。終いには玲音の方が根負けして、全てを話す事になってしまった。
「人を探してて……」
玲音はドキドキしながら言葉を選んで話す。まだ好きかどうか分からないけれど、その人は誰よりもカッコいい玲音の憧れの人だ。どうしても、もう一度会ってお礼を言いたい。受験日に玲音を助けてくれた葉佐高の先輩。なかなか会えない彼を密かに「王子様」と呼んでずっとずっと探してきた。
玲音は純に受験日から今までの事を全て話した。純が好きな人を打ち明けてくれたから。話す事は勇気が要ったけど、純の事は不思議と信用することが出来た。ふわふわと掴みどころの無い性格だけど、純は意外と人をよく見ているし変な所で真面目だ。
純は玲音の言葉を静かに聞いていた。そして、良いアイデアを思いついたとでも言わんばかりに身を乗り出して言った。
「だったら舞台に上がって、その先輩の方に見つけてもらえばいいんじゃない? 」
純の言葉が頭に響く。そう上手く行くはずが無い。そうは思ったが、もしかしたらほんの少しでも会える確率が上がるかもしれない。微かな希望が玲音の判断をこの上なく鈍らせる。上手く純に乗せられて、玲音は舞台に立つのも良いかもしれないなんて考え始める。もちろん、今年卒業する三年生が主役になる舞台だから、役が余ればやりたいくらいの考えだ。玲音の心臓がどくんどくんと音を立てた。ドキドキして居ても立ってもいられない。早く放課後にならないだろうか。玲音の中では「王子様」探しが、大きく前進したような気がしていた。もしかしたら本当に会えるかもしれない。玲音の願いが一気に現実味を帯びてきて、わくわくしてくる。
その日の玲音は一日中ぼーっと考え事をして、授業も上の空だった。
***
いつもより長く感じられた授業が終わって放課後になると、玲音は部室に走った。後から純もついてくる。
部室の扉を開けると、一番乗り……では無く、伊月先輩と兄、莉音が何やら話をしている所だった。
「「お疲れさまです」」
玲音と純の声が重なる。伊月先輩と目が合った。長い前髪のせいだろうか。初めて出会った時のように表情が全く読み取れない。じっと見つめていると、近づいてきた伊月先輩を見上げる感じになった。
(背、高いなぁ……)
紺色の制服がよく似合っていると思った。ブレザーを脱いで腕まくりをした伊月先輩の腕は思ったよりガッシリしている。
「お疲れさま。これから筋トレするなら、足押さえるよ? 」
「はい、ありがとうございます! 」
笑顔で喋り掛けてくる伊月先輩につられて玲音も笑った。ほとんどの一年生は毎回違う先輩……手の空いてそうな先輩を捕まえて練習を見てもらっている。けれど玲音は、いつも伊月先輩に見てもらってる気がする。申し訳ない気持ちの中に、嬉しいと思う気持ちがちらほら混じる。伊月先輩が気に掛けてくれる事が嬉しい。そう思う一方で、どうしても思い出してしまう。
(やっぱり……彼女だったのかな……)
伊月先輩は恋人がいるなんて一言も言ってないけれど。朝の親しげにしていた女子を思い出して、ふわふわしていた気持ちが沈んでいく。
(いやいや、がんばるって決めただろ。こんな所で落ち込んでどうするんだ)
「王子様」を探すために舞台に上がると。そのためにどんな努力もすると。
遅れてきた部員達も次々と筋トレを終わらせて発声練習に移っていく。玲音の筋トレが終わると、伊月先輩は紙の束を取り出した。伊月先輩が書いた新しい台本だった。
「集合! 」
部長、坂松先輩の声が部室に響いた。バラバラに練習をしていた部員達が部屋の中央に集まってくる。部長と向かい合う形で全員が列になって並んだ。一年生は前の方の列で、真ん中が二年生、後ろの方に三年生が並ぶ。玲音の並んだ最前列からだと部長の姿がよく見えた。
(あれが、純の好きな人……)
モテると噂の部長は、間違いなくイケメンだった。人前に立つことに慣れていて、人を引きつける魅力があった。
(上手くいくといいなぁ……)
玲音がそんな事を思っていると、新しい台本が配られた。部長が口を開く。
「明日、文化祭の劇をどれにするか決めようと思う。今渡した三種類の台本の中から選ぶので、各自家で読んでくるように。劇が決まったら配役も決めてしまうので、どの役をやりたいか考えて来て欲しい」
玲音は手元にある三種類の台本を見つめた。台本には、それぞれ「孤独な毒華」「君の愛した歌」「シンデレラの憂鬱」とタイトルが書いてある。
(これって……!! )
そのうちの一つ、「シンデレラの憂鬱」は、オープンキャンパスで見た劇のロングバージョンだった。
玲音は嬉しくなって台本をパラパラとめくる。冒頭は玲音の知っている物語そのものだった。夢中で読んでいると丸めた台本で頭をぽこんと叩かれた。優しく叩かれたから全く痛くない。目の前には爽やかに笑う伊月先輩が立っていた。
「こら、練習しろよー」
そう言って伊月先輩は冗談っぽく笑う。
「伊月先輩! この台本!!! 」
「気づかれたか」
伊月先輩はハハッと笑った。今日のために冒頭しか無かった物語を完結させたらしい。他の二つの台本も先輩が書いたものだった。
「ずっと徹夜で頑張って書いたから、頑張って読むように……なんてな」
無理はしなくていいよ、と付け加えた伊月先輩に頭をぽんぽんされる。やっぱり流れるようにごくごく自然な感じだ。
「読むのが今から楽しみです」
キラキラと目を輝かせて、玲音は大事に台本を鞄に仕舞った。これから発声練習で、その後は短い練習用の劇をやって、それから、それから……。
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