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第一章
心臓怪火 13
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すると、植物は俺の意思通りボウっと燃えだした。
しかし、燃やしたのは俺の腕の先、人間の手で言うなら指先から手首辺りの部分であり、恐らく上司の心臓付近しか燃やしていない為実際に燃えたのか見た目だけでは分からない。
ただ、俺だけはきちんと燃えた事を理解していた。
俺が腕を引き抜くと上司の体は突き刺した部分から少し血が出ていたが、しかし心臓を燃やした所為かそれ以上出血する事もなく、上司の死体はドサリとそのまま地面に倒れた。
うつ伏せで倒れた上司のその姿は死体というよりは酔っ払って地面で寝てるだけの様にも見える。
俺の植物になって燃えた筈の左腕は、俺が見つめるとにょきにょきと植物の茎の束の様な物が生えたかと思うと、瞬く間に人間の腕に戻った。
そしてその腕が戻る寸前、茎の先から紫色のあの花が咲いたかと思うとそのままぽとん、と落ちてきた。
「あ……」
クソみたいな上司が死んだ。
俺が、この手で、自らの手で殺したのだ。
やってやったぞと笑いだしたくなったが、このままここに居るのはまずいと思い俺は一旦その場から離れる為に駆け足で家へと向かった。
走りながら、心臓から高鳴る鼓動が聞こえる。
やってやった……。
俺は、やったんだ!
あのクソ上司を、殺してやった!!
俺はなんともすっきりとした気分で家に帰り、冷えた缶ビールで祝杯をあげた。
「は、ははっ!
ははははっ!」
俺は、本当に選ばれた人間になったんだ!
なんともその日は清々しかった。
◇
「……あ?
ああ、いつの間に寝たんだ? 俺」
朝になりベッドからモゾモゾと起き上がった俺はその辺に置いていたリモコンでテレビをつけた。
すると、ニュースは昨日俺が殺したクソ上司の死体で持ち切りだった。
「昨晩、ウェスター駅前にて、四十代の男性の死体が発見されました」
「ーー死亡推定時刻は午後二十三時頃から午前零時頃にかけて、死因は、内臓の大部分が焼けた事が原因とされ、心臓付近には鋭利な物で刺された痕跡も見つかっておりーー」
「また、現場にはこの国では咲く事のないシャクヤクの花が落ちていた事により、今回の怪死体に何か関連があるのではと調べられています」
「昨日のアレ、やっぱり本物だったのか……」
俺はテレビのニュースを見て呟いた。
夢じゃなかった。
昨日のあの一件は、やはり本物だった。
俺は、どうやらとんでもない能力を手に入れてしまったらしい。
「こいつはすげぇや……」
あの着物の男が言っていた事は本当だったんだ!
「しかし、大体こういう力って、使い過ぎると身を滅ぼすなんてのがお決まりのパターンだし、乱発するのは良くないよな?」
それに、人殺しをそんなに日常的にしたいと思う程俺はそこまでクズではない。
この能力は、本当にどうしようもない時だけ使う事にしよう。
俺はそう考えて、普段通り会社へと出社した。
クソ上司の居ない会社は、とても快適だった。
しかし、燃やしたのは俺の腕の先、人間の手で言うなら指先から手首辺りの部分であり、恐らく上司の心臓付近しか燃やしていない為実際に燃えたのか見た目だけでは分からない。
ただ、俺だけはきちんと燃えた事を理解していた。
俺が腕を引き抜くと上司の体は突き刺した部分から少し血が出ていたが、しかし心臓を燃やした所為かそれ以上出血する事もなく、上司の死体はドサリとそのまま地面に倒れた。
うつ伏せで倒れた上司のその姿は死体というよりは酔っ払って地面で寝てるだけの様にも見える。
俺の植物になって燃えた筈の左腕は、俺が見つめるとにょきにょきと植物の茎の束の様な物が生えたかと思うと、瞬く間に人間の腕に戻った。
そしてその腕が戻る寸前、茎の先から紫色のあの花が咲いたかと思うとそのままぽとん、と落ちてきた。
「あ……」
クソみたいな上司が死んだ。
俺が、この手で、自らの手で殺したのだ。
やってやったぞと笑いだしたくなったが、このままここに居るのはまずいと思い俺は一旦その場から離れる為に駆け足で家へと向かった。
走りながら、心臓から高鳴る鼓動が聞こえる。
やってやった……。
俺は、やったんだ!
あのクソ上司を、殺してやった!!
俺はなんともすっきりとした気分で家に帰り、冷えた缶ビールで祝杯をあげた。
「は、ははっ!
ははははっ!」
俺は、本当に選ばれた人間になったんだ!
なんともその日は清々しかった。
◇
「……あ?
ああ、いつの間に寝たんだ? 俺」
朝になりベッドからモゾモゾと起き上がった俺はその辺に置いていたリモコンでテレビをつけた。
すると、ニュースは昨日俺が殺したクソ上司の死体で持ち切りだった。
「昨晩、ウェスター駅前にて、四十代の男性の死体が発見されました」
「ーー死亡推定時刻は午後二十三時頃から午前零時頃にかけて、死因は、内臓の大部分が焼けた事が原因とされ、心臓付近には鋭利な物で刺された痕跡も見つかっておりーー」
「また、現場にはこの国では咲く事のないシャクヤクの花が落ちていた事により、今回の怪死体に何か関連があるのではと調べられています」
「昨日のアレ、やっぱり本物だったのか……」
俺はテレビのニュースを見て呟いた。
夢じゃなかった。
昨日のあの一件は、やはり本物だった。
俺は、どうやらとんでもない能力を手に入れてしまったらしい。
「こいつはすげぇや……」
あの着物の男が言っていた事は本当だったんだ!
「しかし、大体こういう力って、使い過ぎると身を滅ぼすなんてのがお決まりのパターンだし、乱発するのは良くないよな?」
それに、人殺しをそんなに日常的にしたいと思う程俺はそこまでクズではない。
この能力は、本当にどうしようもない時だけ使う事にしよう。
俺はそう考えて、普段通り会社へと出社した。
クソ上司の居ない会社は、とても快適だった。
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