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第二章
合縁奇縁 5
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それを聞いて少しカチンと来る。
「あ? 俺程度ではお前は殺せないとでも言いたいのか?」
「だって、現に殺せなかったでしょ?」
相変わらず少女は淡々とそう言ってくる。
何だこいつ、さっきから煽ってんのか?
この女に苛ついた俺はポケットに入れていた拳銃に手を掛けようとするも、しかし目にも止まらぬ速さで刀の刃が俺の首目掛けて迫ってきたかと思うと、ギリギリ斬られるすんでのところでピタリと止まる。
「ほら、殺せない」
刃を振るった少女は表情を変えずに淡々と言う。
嫌な冷や汗が俺の頬を伝った。
そして渋々俺は拳銃を掴まずに空の手を上にあげる。
少女はそれを見届けて刀をどかした。
「本当お前何者なんだよ……?」
「私?
私はアイリス」
すると、少女は名前を訊かれたのかと思ったらしくそう答えた。
「は? アイリス?
なんか似合わねーな」
「そう? ありがとう」
お前みたいなヤバそうな奴にそんな可愛らしい名前があるんだなと思い嫌味のつもりで言ったのに、何故か礼を言われてしまった。
「何でありがとうなんだよ?」
「……さあ?」
いまいち掴めないやつだ。
「あ、それならそっちこそ名前はなんて言うの?」
「あ? 俺の名前?」
「うん。お前だと呼びづらいし」
「別に教える程の間柄じゃねーだろ?」
俺がそう答えると、アイリスと名乗った少女はそっか、と一言呟いた。
「つーか俺もう帰りてぇんだけど……」
「ーーっ!」
俺がそう言った瞬間、少女は目を見開いて懐から拳銃を取り出してこちらに向けてきた。
「な、何だよ急に!?」
さっきまで全く攻撃してこなかったくせに、何故俺が帰ると言い出したら急に銃を構えだしたんだ?
「……」
不思議に思い問い掛けるが、まるで聞こえていないのか少女は俺の問い掛けを無視する。
しかし、どうにも違和感があった。
少女は強ばった表情で拳銃を構えているが、少女の目線は俺ではなく俺の後ろを見ていたのだ。
「後ろに何かいるのか?
……あ」
少女の目線の先を見てみると、そこにはカサカサと動く小さな虫が一匹壁を這っていた。
そして少女は虫の動きに合わせて拳銃を動かしている。
「お前、まさか……」
虫が苦手なのか? と訊こうとした瞬間、拳銃からパンッと乾いた音が鳴り響く。
その銃弾は俺のすぐ目の前を掠めて通り見事虫に命中し、窪んだ壁と銃弾に挟まれ虫は絶命した。
「あ? 俺程度ではお前は殺せないとでも言いたいのか?」
「だって、現に殺せなかったでしょ?」
相変わらず少女は淡々とそう言ってくる。
何だこいつ、さっきから煽ってんのか?
この女に苛ついた俺はポケットに入れていた拳銃に手を掛けようとするも、しかし目にも止まらぬ速さで刀の刃が俺の首目掛けて迫ってきたかと思うと、ギリギリ斬られるすんでのところでピタリと止まる。
「ほら、殺せない」
刃を振るった少女は表情を変えずに淡々と言う。
嫌な冷や汗が俺の頬を伝った。
そして渋々俺は拳銃を掴まずに空の手を上にあげる。
少女はそれを見届けて刀をどかした。
「本当お前何者なんだよ……?」
「私?
私はアイリス」
すると、少女は名前を訊かれたのかと思ったらしくそう答えた。
「は? アイリス?
なんか似合わねーな」
「そう? ありがとう」
お前みたいなヤバそうな奴にそんな可愛らしい名前があるんだなと思い嫌味のつもりで言ったのに、何故か礼を言われてしまった。
「何でありがとうなんだよ?」
「……さあ?」
いまいち掴めないやつだ。
「あ、それならそっちこそ名前はなんて言うの?」
「あ? 俺の名前?」
「うん。お前だと呼びづらいし」
「別に教える程の間柄じゃねーだろ?」
俺がそう答えると、アイリスと名乗った少女はそっか、と一言呟いた。
「つーか俺もう帰りてぇんだけど……」
「ーーっ!」
俺がそう言った瞬間、少女は目を見開いて懐から拳銃を取り出してこちらに向けてきた。
「な、何だよ急に!?」
さっきまで全く攻撃してこなかったくせに、何故俺が帰ると言い出したら急に銃を構えだしたんだ?
「……」
不思議に思い問い掛けるが、まるで聞こえていないのか少女は俺の問い掛けを無視する。
しかし、どうにも違和感があった。
少女は強ばった表情で拳銃を構えているが、少女の目線は俺ではなく俺の後ろを見ていたのだ。
「後ろに何かいるのか?
……あ」
少女の目線の先を見てみると、そこにはカサカサと動く小さな虫が一匹壁を這っていた。
そして少女は虫の動きに合わせて拳銃を動かしている。
「お前、まさか……」
虫が苦手なのか? と訊こうとした瞬間、拳銃からパンッと乾いた音が鳴り響く。
その銃弾は俺のすぐ目の前を掠めて通り見事虫に命中し、窪んだ壁と銃弾に挟まれ虫は絶命した。
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