27 / 82
第二章
合縁奇縁 6
しおりを挟む
「……ふぅ」
それから少女は無表情のまままるで一仕事やり遂げた後の達成感に満ち足りたかの様な顔をする。
「いや、何が「……ふぅ」だよ!
虫一匹にわざわざ銃弾使う馬鹿がいるか!
退治しろよこんなもん!!」
たまらずツッコむと、少女は少し嫌そうな顔をした。
「嫌。触りたくない」
「ならせめてナイフとかその刀で斬れば良いだろ!」
まあ普通虫を退治するのにナイフや刀を使う奴なんて見た事ないが。
しかし、少女はそれも首を横に振る。
「嫌。一度虫斬ったナイフや刀なんてもう使いたくないし、斬れた虫の切断面を見るのも嫌」
「我が儘かよ」
俺は勿体ないと思いつつ銃弾を壁から引っこ抜く。
銃弾には、やはり俺が見た通り小さな虫が壁と銃弾の間に挟まれていた。
……しかし、こんな小さな虫にピンポイントで銃弾を当てるところを見ると、やはりあの情報屋の言う通り手練である事には間違いないのだろう。
それから俺は銃弾を虫の死骸ごとポイッと窓の外に投げ捨てた。
「……虫、平気なの?」
そんな俺の行動を少女は少し驚いた様に眺めていた。
「は? まあ路地に住んでりゃ虫なんてよく見るし、逆にこんなんでビビってたら生活出来ねーよ」
俺がそう言うと、少女は手を合わせて口を開いた。
「ねえ、私と一緒に住んでくれない?」
「……は?」
俺は少女が言っている意味が分からず頭が一瞬真っ白になる。
住む? 一緒に? こいつと?
「断る」
俺は即答した。
何でこんな如何にもヤバそうな女と同居なんてしなくちゃならねーんだよ。
「お金は払うよ」
しかし少女は今度はそんな事を言ってきた。
「は?
何の金だよ?」
「虫を一匹退治する事に一万でどう?」
「はぁ?
お前、まさか俺の事を虫捕り係として雇いたいっつーのかよ」
俺は頭を抱えながらそう質問すると、少女はこくんと頷く。
「だって、お前路地に住んでるんでしょ?
ここなら雨風凌げる屋根もあるし、何より虫を殺してくれた分だけお金をあげるよ?
良い条件だと思うんだけど」
確かに、色々と破格ではある。
路地の暮らしには慣れてるし、別に屋根のある家でぬくぬくと過ごしたいとは思わないが、虫を退治するだけで金が入るだなんてそんな簡単な仕事恐らく殆どないだろう。
でも俺は。
「断る。
別に金に困ってねーし、屋根のある家に住みたい訳でもねぇんだ。
それにそんな良い条件なら、俺でなくともやりたがる奴は五万といるだろ?
そんじゃ俺は帰る。世話になったな」
俺はそれだけ言ってまだ鈍くズキズキと痛む腹を気にせずベッドから起き上がってそのまま扉に向かって歩き出した。
「そっか。残念」
少女は無表情のまま、特に見送る事もなく部屋に立っていた。
こうして、俺は少女の部屋を出て玄関から外へ出て行った。
それから少女は無表情のまままるで一仕事やり遂げた後の達成感に満ち足りたかの様な顔をする。
「いや、何が「……ふぅ」だよ!
虫一匹にわざわざ銃弾使う馬鹿がいるか!
退治しろよこんなもん!!」
たまらずツッコむと、少女は少し嫌そうな顔をした。
「嫌。触りたくない」
「ならせめてナイフとかその刀で斬れば良いだろ!」
まあ普通虫を退治するのにナイフや刀を使う奴なんて見た事ないが。
しかし、少女はそれも首を横に振る。
「嫌。一度虫斬ったナイフや刀なんてもう使いたくないし、斬れた虫の切断面を見るのも嫌」
「我が儘かよ」
俺は勿体ないと思いつつ銃弾を壁から引っこ抜く。
銃弾には、やはり俺が見た通り小さな虫が壁と銃弾の間に挟まれていた。
……しかし、こんな小さな虫にピンポイントで銃弾を当てるところを見ると、やはりあの情報屋の言う通り手練である事には間違いないのだろう。
それから俺は銃弾を虫の死骸ごとポイッと窓の外に投げ捨てた。
「……虫、平気なの?」
そんな俺の行動を少女は少し驚いた様に眺めていた。
「は? まあ路地に住んでりゃ虫なんてよく見るし、逆にこんなんでビビってたら生活出来ねーよ」
俺がそう言うと、少女は手を合わせて口を開いた。
「ねえ、私と一緒に住んでくれない?」
「……は?」
俺は少女が言っている意味が分からず頭が一瞬真っ白になる。
住む? 一緒に? こいつと?
「断る」
俺は即答した。
何でこんな如何にもヤバそうな女と同居なんてしなくちゃならねーんだよ。
「お金は払うよ」
しかし少女は今度はそんな事を言ってきた。
「は?
何の金だよ?」
「虫を一匹退治する事に一万でどう?」
「はぁ?
お前、まさか俺の事を虫捕り係として雇いたいっつーのかよ」
俺は頭を抱えながらそう質問すると、少女はこくんと頷く。
「だって、お前路地に住んでるんでしょ?
ここなら雨風凌げる屋根もあるし、何より虫を殺してくれた分だけお金をあげるよ?
良い条件だと思うんだけど」
確かに、色々と破格ではある。
路地の暮らしには慣れてるし、別に屋根のある家でぬくぬくと過ごしたいとは思わないが、虫を退治するだけで金が入るだなんてそんな簡単な仕事恐らく殆どないだろう。
でも俺は。
「断る。
別に金に困ってねーし、屋根のある家に住みたい訳でもねぇんだ。
それにそんな良い条件なら、俺でなくともやりたがる奴は五万といるだろ?
そんじゃ俺は帰る。世話になったな」
俺はそれだけ言ってまだ鈍くズキズキと痛む腹を気にせずベッドから起き上がってそのまま扉に向かって歩き出した。
「そっか。残念」
少女は無表情のまま、特に見送る事もなく部屋に立っていた。
こうして、俺は少女の部屋を出て玄関から外へ出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
王女を好きだと思ったら
夏笆(なつは)
恋愛
「王子より王子らしい」と言われる公爵家嫡男、エヴァリスト・デュルフェを婚約者にもつバルゲリー伯爵家長女のピエレット。
デビュタントの折に突撃するようにダンスを申し込まれ、望まれて婚約をしたピエレットだが、ある日ふと気づく。
「エヴァリスト様って、ルシール王女殿下のお話ししかなさらないのでは?」
エヴァリストとルシールはいとこ同士であり、幼い頃より親交があることはピエレットも知っている。
だがしかし度を越している、と、大事にしているぬいぐるみのぴぃちゃんに語りかけるピエレット。
「でもね、ぴぃちゃん。私、エヴァリスト様に恋をしてしまったの。だから、頑張るわね」
ピエレットは、そう言って、胸の前で小さく拳を握り、決意を込めた。
ルシール王女殿下の好きな場所、好きな物、好みの装い。
と多くの場所へピエレットを連れて行き、食べさせ、贈ってくれるエヴァリスト。
「あのね、ぴぃちゃん!エヴァリスト様がね・・・・・!」
そして、ピエレットは今日も、エヴァリストが贈ってくれた特注のぬいぐるみ、孔雀のぴぃちゃんを相手にエヴァリストへの想いを語る。
小説家になろうにも、掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる