何れ人か神の花〜今日も殺し損ねた少女と一つ屋根の下で暮らしています〜

本田ゆき

文字の大きさ
29 / 82
第二章

合縁奇縁 8

しおりを挟む
 どうやら全員殺し屋なのか、屈強な体格をしている人も多く見えた。

 普通に考えれば、人一人殺す為には多すぎる程の人員である。

「黒髪黒目で赤いリボンを付けた、刀を腰に差している和装の女性……貴女がどうやら標的ターゲットで間違いない様ですね?
全く、この国一のスナイパーさんですら対処出来ないとは。
まあこうなったら他勢に無勢です」

 そして、そんな黒スーツ集団の後ろから恐らくボスであろう女が口を開いた。

「皆さん、ここなら遠慮は要りません。
スナイパーもろとも始末しなさい」



 ◇




「これだけの人数がいたらいくら貴女でも無理でしょう?
今すぐその腰に差しているモノを捨てなさい」

 ボスであろう女が静かにそう言うと、少女は刀を鞘から抜いた。

「まさかこの人数でやり合う気ですか?
正気じゃないですね?」

 女はニヤリと笑いながら問い掛ける。

 それに対して少女はどこまでも無感情に返事をした。

「これ、捨てればいいの?

はい」

 すると、そう言った少女は刀を上に向かって思いっきり

 刀はくるくると回りながら空に投げ出される。

 その刀の様子を黒スーツの男達が呆気に取られて見上げて眺めている最中に、少女は和服の袂の中に隠していた拳銃を二丁取り出し両手でパンパンッと連射した。

「グハッ!」

「うぐっ!」

「っな!」

 銃声が鳴り響く毎に一人、また一人と男達は次々と撃たれて倒れていった。

 少女の放った銃弾は一発一発を確実に男達に当てていたのだ。

「お前達、油断するな!
相手はあのの異名を持つ女だぞ!」

 突然仲間がやられて皆びっくりしている中、一人の男がそう叫ぶと、他の男達も一気に臨戦態勢に入った。

 が、それは恐らく遅すぎた。
 いや、そもそも速くても意味はなかったかもしれないが。

 少女は何発か撃ち終わり弾切れになった拳銃を即座に投げ捨てたかと思うと、次は太もも辺りに身につけていたナイフホルダーからナイフを抜き取り複数人の急所を的確に切り裂き、腰に差している鞘を抜いて相手を即座に薙ぎ倒し、更に合間には蹴りまでお見舞いしている。

 その動きはどれも速く、恐らく相手は見知らぬ間に攻撃を受けているのだろう。

 攻撃を喰らった者は皆びっくりした表情を浮かべながら倒れていった。

 こうしてあっという間に少女は五十人弱の男達を倒し、残り二人になった所に丁度タイミング良く落ちてきた刀を手に取ると、取ったと同時に一閃して相手に斬りかかる。

「グフっ」

「ぎぃあ!」

「……マジかよ」

 その惨状を後ろで見ていた俺は思わずそう呟いた。

 刀を投げてから落ちてくるまでのほんの少しの時間。

 たったそれだけの時間で、五十名程の男達を全て倒してしまった。

 しかも、少女は返り血こそ浴びてはいるが、あれ程の人数の殺し屋が居たというのに誰一人として少女に傷一つつける事すら出来ていない。

 とてもじゃないが信じられなかった。

 こんなの、人間業じゃない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する

青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。 両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。 母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。 リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。 マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。 すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。 修道院で聖女様に覚醒して…… 大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない 完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく 今回も短編です 誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡

処理中です...