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第三章
戒心散花 4
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「おい、鳴ってるぞ」
「面倒、リトが出て」
「ふざけんなよお前マジで」
俺が青筋立ててキレるも、しかしアイリスは本気で出る気がないらしくベッドに横になり出す。
「チッ、なら居留守でも使うか……」
「アイリスちゃーん! 居るんだろー?」
俺も出る気が無いので放置しようと考えていると、外からドンドンと扉を叩く音と男性の大きな声が聞こえてきた。
恐らく先程話していたローガンという男なのだろう。
「おい、てめーをご指名だぞ?」
「……」
呼びかけてみるが、アイリスは依然眠りにつこうとベッドの中で蹲っていた。
「アイリスちゃーん! 居るのは分かってるんだぞ!
お金渡したんだからその分きっちりと楽しませてくれよな!」
しかし、ローガンは相当酔っているのかドンドンと扉を叩く手を止めず叫んでいる。
「……うるさい」
それに対して眠りを妨げられたアイリスはとうとうベッドから起き上がり、緩慢な動作で玄関へと向かった。
因みに俺は面倒事は嫌いなので隣の部屋に移動して菓子でも食べようかとしまっていた菓子袋を手に取る。
すると、玄関から二人の声が聞こえてきた。
◇
「アイリスちゃん、やっと出て来た」
「何の用?」
ローガンはにこにこと笑いながらちゃっかり家に上がろうとしてきたので私は短めにそう問い掛ける。
「何の用って、しらばっくれないでくれよアイリスちゃん。
ちゃんとお金も払ったんだし、満足させてくれよな……ん?」
すると、玄関に置いてあるリトの靴を見たローガンはそちらを凝視して尋ねてきた。
「アイリスちゃん、この男物の靴……誰の?」
「あ、これ? リトのだけど」
「リト……?
アイリスちゃん、俺の事騙してたのか!?」
「は?」
血相変えて怒り出すローガンに私はその理由が分からず訊き返す。
「アイリスちゃんは男慣れしていない無口な純情美少女だと思ってたのに、まさか男を家に連れ込む様なクソビッチだったなんてな!」
「は?」
「俺から貰った金で彼氏と楽しい事しようとしていたのかよ?」
「お楽しみ? リトは彼氏ではないけど」
「じゃあどんな関係なんだ?」
「どんな? ……虫捕り係?」
因みに普段リトは虫捕り係とか雑用係と言うとキレるので本人の目の前では最近言わない様にしている。
……言わない様にしているだけでたまにポロッと言ってしまうけど。
しかし、他に言い方が分からないので今の場面では取り敢えずそう言う事にした。
「虫捕り?」
「私、虫が嫌いだから家の掃除をしてもらってる」
「……ああ、成る程、ハウスキーパーみたいなものか。
じゃあ彼氏じゃないんだな?
それなら心置きなくヤレるな。
なぁに、俺は腕に自信があるんだ。すぐに気持ち良くしてあげるよ」
「へぇ、そう」
ローガンがドヤ顔でそう語る傍ら私は右手を自身のスカートの右端へと持っていき軽く捲る。
「お? そっちもヤる気になった?
……ぐわぁっ!!?」
それからスカートの下の右太ももに隠していたナイフで男の手を勢いよく斬りつけ、その後即座に私はローガンの顔面にストレートをお見舞いした。
「腕に自信があるならこっちも遠慮なく殺れるね」
「ひ、ひぃっ!!」
怯えるローガンに私は構わず右脚で蹴りを入れる。
そんなローガンの悲鳴を隣の部屋でチョコ菓子を食べながらリトは聞いていた。
……おじさん、終わったな。
恐らく家に押し入って無理矢理アイリスを犯そうとでもしていたのだろうけど、相手はしっかりと選んだ方が良いだろうと思わざるを得ない。
後あの女、何だよ虫捕り係って。
その後、玄関で伸びたローガンをアイリスは引きずって歩道にぽーんと投げ出したのだった。
「面倒、リトが出て」
「ふざけんなよお前マジで」
俺が青筋立ててキレるも、しかしアイリスは本気で出る気がないらしくベッドに横になり出す。
「チッ、なら居留守でも使うか……」
「アイリスちゃーん! 居るんだろー?」
俺も出る気が無いので放置しようと考えていると、外からドンドンと扉を叩く音と男性の大きな声が聞こえてきた。
恐らく先程話していたローガンという男なのだろう。
「おい、てめーをご指名だぞ?」
「……」
呼びかけてみるが、アイリスは依然眠りにつこうとベッドの中で蹲っていた。
「アイリスちゃーん! 居るのは分かってるんだぞ!
お金渡したんだからその分きっちりと楽しませてくれよな!」
しかし、ローガンは相当酔っているのかドンドンと扉を叩く手を止めず叫んでいる。
「……うるさい」
それに対して眠りを妨げられたアイリスはとうとうベッドから起き上がり、緩慢な動作で玄関へと向かった。
因みに俺は面倒事は嫌いなので隣の部屋に移動して菓子でも食べようかとしまっていた菓子袋を手に取る。
すると、玄関から二人の声が聞こえてきた。
◇
「アイリスちゃん、やっと出て来た」
「何の用?」
ローガンはにこにこと笑いながらちゃっかり家に上がろうとしてきたので私は短めにそう問い掛ける。
「何の用って、しらばっくれないでくれよアイリスちゃん。
ちゃんとお金も払ったんだし、満足させてくれよな……ん?」
すると、玄関に置いてあるリトの靴を見たローガンはそちらを凝視して尋ねてきた。
「アイリスちゃん、この男物の靴……誰の?」
「あ、これ? リトのだけど」
「リト……?
アイリスちゃん、俺の事騙してたのか!?」
「は?」
血相変えて怒り出すローガンに私はその理由が分からず訊き返す。
「アイリスちゃんは男慣れしていない無口な純情美少女だと思ってたのに、まさか男を家に連れ込む様なクソビッチだったなんてな!」
「は?」
「俺から貰った金で彼氏と楽しい事しようとしていたのかよ?」
「お楽しみ? リトは彼氏ではないけど」
「じゃあどんな関係なんだ?」
「どんな? ……虫捕り係?」
因みに普段リトは虫捕り係とか雑用係と言うとキレるので本人の目の前では最近言わない様にしている。
……言わない様にしているだけでたまにポロッと言ってしまうけど。
しかし、他に言い方が分からないので今の場面では取り敢えずそう言う事にした。
「虫捕り?」
「私、虫が嫌いだから家の掃除をしてもらってる」
「……ああ、成る程、ハウスキーパーみたいなものか。
じゃあ彼氏じゃないんだな?
それなら心置きなくヤレるな。
なぁに、俺は腕に自信があるんだ。すぐに気持ち良くしてあげるよ」
「へぇ、そう」
ローガンがドヤ顔でそう語る傍ら私は右手を自身のスカートの右端へと持っていき軽く捲る。
「お? そっちもヤる気になった?
……ぐわぁっ!!?」
それからスカートの下の右太ももに隠していたナイフで男の手を勢いよく斬りつけ、その後即座に私はローガンの顔面にストレートをお見舞いした。
「腕に自信があるならこっちも遠慮なく殺れるね」
「ひ、ひぃっ!!」
怯えるローガンに私は構わず右脚で蹴りを入れる。
そんなローガンの悲鳴を隣の部屋でチョコ菓子を食べながらリトは聞いていた。
……おじさん、終わったな。
恐らく家に押し入って無理矢理アイリスを犯そうとでもしていたのだろうけど、相手はしっかりと選んだ方が良いだろうと思わざるを得ない。
後あの女、何だよ虫捕り係って。
その後、玄関で伸びたローガンをアイリスは引きずって歩道にぽーんと投げ出したのだった。
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