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第三章
戒心散花 3
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◇
次の日の早朝。
「……ふあぁ、朝か」
床で寝転んでいた俺は朝いつもの様に目覚めて起き上がり取り敢えずベッドを確認してみると、そこにアイリスの姿はなかった。
どうやら昨日の夜出掛けたままの様である。
このまま帰って来なければ良いのに。
そしたら俺はまたあの薄汚い路地で一人暮らしていくのに。
俺には、それくらいの生活で丁度いいのに……。
そんな薄情な事を考えていた矢先に、玄関の方からガチャリと音がした。
俺の想いとは裏腹に残念ながら部屋の主人が帰って来た様である。
「ふあぁ~。
あ、リト、ただいま」
眠そうに生欠伸をして目を擦りながら部屋に入って来たアイリスはそう軽い口調で挨拶してきた。
「あ? んだよ帰って来たのか……って、何だその格好?」
部屋に入って来たアイリスの格好に俺はギョッと目を見開く。
何せアイリスは革製の黒のショートブーツに小さいリボンのついた黒のレザープリーツスカート、上着は白のフリフリのついた薄長袖のシャツを着ていたのだ。
普段は袴やら着物やらと脚を見せる事のない服装のせいか、膝上で露出の高い格好に違和感を感じざるを得ない。
両脚はすらっと細長くまるでモデルの様で、こんな奴がビルとビルの間をぴょんぴょんと飛び跳ねる跳躍力の持ち主の様にはとてもじゃないが見えなかった。
そんなアイリスの姿に俺がびっくりしてつい見入っていると、アイリスはいつも通り面倒そうに返事をした。
「ああ、この格好?
行きつけの呉服屋さんに渡されたんだよ。
今日の仕事の為にって」
「は? 今日の仕事の為?」
そう訊き返すと、アイリスは小さく頷く。
「この格好で、ローガンっていうおじさんとご飯食べてお喋りしてお酒に付き合うだけの簡単なお仕事って言われた」
「……それって」
どっからどう考えても援助交際なるものでは……?
いや、今のご時世パパ活とでも言うべきか?
というか、こいつがそういう仕事も引き受けるなんてちょっと意外だ……。
いや、別にこいつが誰と寝てようが関係ないけど。
「そんで、お前はそのローガンとかって言うおっさんと寝てきたって訳か?」
「いや、お店何件も梯子された上にお酒沢山飲まされて眠いから途中で帰って来だけ」
淡々と説明するアイリスに俺はすかさず突っ込む。
「酒って、お前未成年だろ。つーかその割には顔色一つ変わってねーけど?」
「私ザルなんだよね。
あ、そう言えば途中お金の入った封筒も渡された」
アイリスはケロッとした表情でそう言いながら札束の入っている封筒を見せてきた。
「いや、それ十中八九金をやるからヤらせろって意味じゃねーのかよ?」
恐らくローガンとかいうじいさんはアイリスと寝る為に食事代とは別にお金を支払ったのだろう。
それに酒を沢山飲ませたのも、酔い潰した後にホテルにでも連れて行くつもりだったのだろうし。
しかし、アイリスにはその意味が伝わらなかった様で、相変わらず無感情のまま封筒をしまっていた。
「ふあぁ、眠い……」
心底眠そうにそう呟いたアイリスはそのままふらふらとした足取りでベッドに向かう。
すると、突然ピンポンとインターホンが鳴らされた。
次の日の早朝。
「……ふあぁ、朝か」
床で寝転んでいた俺は朝いつもの様に目覚めて起き上がり取り敢えずベッドを確認してみると、そこにアイリスの姿はなかった。
どうやら昨日の夜出掛けたままの様である。
このまま帰って来なければ良いのに。
そしたら俺はまたあの薄汚い路地で一人暮らしていくのに。
俺には、それくらいの生活で丁度いいのに……。
そんな薄情な事を考えていた矢先に、玄関の方からガチャリと音がした。
俺の想いとは裏腹に残念ながら部屋の主人が帰って来た様である。
「ふあぁ~。
あ、リト、ただいま」
眠そうに生欠伸をして目を擦りながら部屋に入って来たアイリスはそう軽い口調で挨拶してきた。
「あ? んだよ帰って来たのか……って、何だその格好?」
部屋に入って来たアイリスの格好に俺はギョッと目を見開く。
何せアイリスは革製の黒のショートブーツに小さいリボンのついた黒のレザープリーツスカート、上着は白のフリフリのついた薄長袖のシャツを着ていたのだ。
普段は袴やら着物やらと脚を見せる事のない服装のせいか、膝上で露出の高い格好に違和感を感じざるを得ない。
両脚はすらっと細長くまるでモデルの様で、こんな奴がビルとビルの間をぴょんぴょんと飛び跳ねる跳躍力の持ち主の様にはとてもじゃないが見えなかった。
そんなアイリスの姿に俺がびっくりしてつい見入っていると、アイリスはいつも通り面倒そうに返事をした。
「ああ、この格好?
行きつけの呉服屋さんに渡されたんだよ。
今日の仕事の為にって」
「は? 今日の仕事の為?」
そう訊き返すと、アイリスは小さく頷く。
「この格好で、ローガンっていうおじさんとご飯食べてお喋りしてお酒に付き合うだけの簡単なお仕事って言われた」
「……それって」
どっからどう考えても援助交際なるものでは……?
いや、今のご時世パパ活とでも言うべきか?
というか、こいつがそういう仕事も引き受けるなんてちょっと意外だ……。
いや、別にこいつが誰と寝てようが関係ないけど。
「そんで、お前はそのローガンとかって言うおっさんと寝てきたって訳か?」
「いや、お店何件も梯子された上にお酒沢山飲まされて眠いから途中で帰って来だけ」
淡々と説明するアイリスに俺はすかさず突っ込む。
「酒って、お前未成年だろ。つーかその割には顔色一つ変わってねーけど?」
「私ザルなんだよね。
あ、そう言えば途中お金の入った封筒も渡された」
アイリスはケロッとした表情でそう言いながら札束の入っている封筒を見せてきた。
「いや、それ十中八九金をやるからヤらせろって意味じゃねーのかよ?」
恐らくローガンとかいうじいさんはアイリスと寝る為に食事代とは別にお金を支払ったのだろう。
それに酒を沢山飲ませたのも、酔い潰した後にホテルにでも連れて行くつもりだったのだろうし。
しかし、アイリスにはその意味が伝わらなかった様で、相変わらず無感情のまま封筒をしまっていた。
「ふあぁ、眠い……」
心底眠そうにそう呟いたアイリスはそのままふらふらとした足取りでベッドに向かう。
すると、突然ピンポンとインターホンが鳴らされた。
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