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第三章
戒心散花 23
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薄暗い路地の中、路地に不釣り合いなブランドスーツを身に纏っているローガンが、更に路地に不釣り合いなドレスに大きなネックレスやピアスをジャラジャラと付けているカミラに声を掛ける。
「カミラ、お前が私の金目当てで結婚した事は知っている。
俺の事なんて本当は愛してないんだろう?
それに、今までだって俺の浮気には気付いていただろ?
なのに、今更何故俺の愛人達を殺したんだ!?」
混乱した様に問い掛けるローガンに対し、カミラははぁ、と大きく溜め息を吐いた。
「そんなの、貴方の事が好きだから許せないに決まってるじゃない!
それに、私のお腹の中には貴方との愛の結晶が入っているのよ!
これからはこの赤ちゃんの為にお金をよその女なんかに使わないで欲しいの!」
カミラは自身のお腹を撫でながらそう語る。
「……は?
俺の子供?」
突然の話に、ローガンは目を丸くする。
「そうよ。結婚六年目にしてついに出来たのよ!
中々授からないから、不妊治療だって頑張ったんだから!
お腹には私と貴方の……」
「そんな訳ないだろっ!!」
カミラが目を輝かせながら話しているのを途中でローガンが叫んで掻き消した。
「俺はなっ! 元々子供が出来ない体質なんだよ!
だから俺の両親だって無理に跡継ぎをなんて言わなかったんだ!」
「……え?」
ローガンの発言にカミラは薄い笑顔のまま顔を凍らせる。
「不妊治療だぁ!? 要するに他の男に股開いていただけだろっ!
それをよくこれ見よがしに俺の子と言えたな!?」
憤慨するローガンに対し、しかしカミラは至って冷静に答える。
「……なぁーんだ。バレちゃったか」
それからカミラはさも面白そうに話し出した。
「ええそうよ? 貴方と結婚したのは金があったから!
でもあなただって世間体で私と結婚しただけでしょ?
まさか自分は浮気三昧のくせに、私の浮気には口出すとか言うつもりないでしょうね?」
「それは……確かにそうだが、だけど!
お前と浮気相手の子供なんか、俺が認知する訳ないだろ!」
「別に認知してくれなくて結構よ。
でも、私はこの子の為にもあなたのお金が必要なの。
今までは浮気だって許してたけど、この子が出来てから他の女に無駄金使うのが許せなくなっちゃって。
だから殺したの」
「成る程、それが動機なんだね」
しばらく二人の言い合いを見ていたアイリスはカミラに対してそう口を開く。
「そうよ。
自分の子にはお金をかけたい。当然でしょ?
でも、愛人三人も殺せばあなたは暫く女遊びをやめるかもと思ったけど、全然懲りてなくてびっくりだわ」
「あのさ、質問なんだけど、おじさんの傷を治したのも貴女の能力なの?」
アイリスの問いに、カミラはああ、と答える。
「まあね。
だって、ローガンが今死んだら嫁入りした私は家から追い出されると思って。
せめて後継のこの子が産まれるまでは元気でいてもらわないとと思ったけど……。
でも、そもそもあなたの子じゃないとなれば話は別よね。
もうこうなったらあなたを殺して、あなたのご両親も殺すわ。
そうすれば遺産はぜぇーーんぶ私とこの子のものだもの♡」
カミラはアハハッと楽しそうに笑いながら語っていた。
それから、両手の平を前に出したかと思えば、その手の平からポンポンっといくつもの赤い石楠花を出していく。
「それじゃあ私の輝かしい未来の為にあなた達も死んでね♡」
カミラは満面の笑みで石楠花を二人に投げつけた。
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