何れ人か神の花〜今日も殺し損ねた少女と一つ屋根の下で暮らしています〜

本田ゆき

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第三章

戒心散花 24

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 いくつもの石楠花がカミラの手からフワッと飛び立ちアイリスとローガンを狙う最中。

 石楠花は二人に届く前に爆散した。

「なっ、何事っ!?」

 カミラは突然爆発した石楠花の煙を手で振り払いながら辺りを見渡す。

 すると、その路地の上から少年の声が聞こえてきた。

「おい、てめー朝から出掛けてまだ犯人捕まえてなかったのかよ?」

 三階建の建物の上から少年……リトは銃を構えながらアイリスへと問い掛ける。

「リト、来てくれたんだ」

 不思議そうにリトに問い掛けるアイリスに、リトは不機嫌そうに顔を顰めながら答える。

「あんまり遅いから、てめーが一人で報酬持ち逃げしてんじゃと思ってきた訳でお前が心配だとか微塵も思ってねーからな!?」

「そう。分かったよ」

 そんなどこかゆるい会話を繰り広げる二人に対しカミラは更に石楠花を作り出して飛ばした。

「~~っ!! あんたら一体何なのよ!?
私の計画の邪魔をしないで!!」

 しかし、カミラの飛ばした石楠花はやはり二人に届く前に銃弾によって途中で爆散してしまう。

「どうやら貴女の作り出している石楠花は対象物に対しての爆破威力は凄まじいけれど、その対象物にまで届かなかったらそんなに威力は高くないんだね」

 石楠花の爆発に物ともせず冷静にアイリスはそう淡々と告げる。

「カミラ! 何なんだその花は!?
それに人を殺すだなんてどうかしてるぞ!!」
「今更命乞いしたって遅いわよ!
仕方ないじゃない! もう人を三人も殺してしまった! 後には引けないわっ!」

 最早自棄になっているカミラに向かいほぼ一瞬でアイリスはカミラに近付くと、すぐ様腰に差していた刀を抜く。

「あ! てめーまた人を殺すなよ!」

 そんなアイリスの一瞬の動きを見逃さなかったリトはアイリスに叫びながら忠告した。

「分かってる」

 それに対して短かく呟く様に返事をしたアイリスはカミラの首元すんでのところで刃を止める。

「なっ!?」

 アイリスの動きに追いつけなかったカミラは急に自分の首元にピタリと当たった刃に驚いていた。

「すっかり瞳がオレンジに染まってるね。
このまま私やリトやおじさんや、それにおじさんの両親達まで殺してしまえば、その殺人衝動はどんどん抑えられなくなるよ」

 カミラは目の前で面と向かって対峙しているアイリスにそう言われてハッとする。

「殺人……衝動?
な、何言ってるのよ?
私はこの子の為にお金が必要で……だから」
「最初の三人はもっと緻密に計画して殺したんじゃないの?
何せ目撃者は誰も居ない。みんな部屋の中での突然の爆死。おじさんの浮気相手だったという情報が出て疑われはしても証拠がなければ罪にも問われない。
ここまで計算してた貴女が、路地とは言えこんな街中で爆発を起こすなんて考えづらい。

しかも、ローガンおじさんのいる近くで。

私にバレたとしても一旦身を隠して夜にでもまた襲撃すれば良かったのに」

 アイリスに説明されたカミラは何かを思い出した様な、思い詰めた様な表情を浮かべる。

 ……そうだ。私は、あのチャイナ娘とこの和服の娘を夜まで追って家を探る予定だったのに。

 どこで計画が狂ってしまったのだろう?
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