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幕間
花休め 6
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(……良かった、という事は、つまりこの大家はアイリスに好意的だという事だろうか?
あいつはやめといた方が良いと思うが、いや、それ以前に凄い歳離れてないか?)
そう頭をぐるぐるとフル回転させているリトに、イリアスは困った様に頭を掻きながら答えた。
「あ、いえいえすみません。
私情を仕事に挟むのはよくない事なんですけどね」
「いや、そもそもあんたとあいつじゃ一回り近く離れてるだろ?
下手したら犯罪……」
リトは目の前に居るイリアスとアイリスの事を思い浮かべながら思った感情を口に出す。
(……アイリスはどう見ても俺より歳下、よくて十四、五くらいだろうし、逆にこの大家は二十代後半といった感じだ。
未成年相手に恋愛は普通に犯罪だと思うのだが)
しかし、そんなリトの考えは次のイリアスの言葉で完全に否定された。
「いえ、こう見えても彼女との歳の差は2つだけなんですけどね」
「……は?」
イリアスの言葉にリトは一瞬時が止まったかの様に反応が遅れる。
「アイリスさんはああ見えても十九歳ですよ。
アジア人はやはり若く見えますよね。
それと私も、老け顔に見える様でよく年齢を間違えられるのですが、一応今二十一です」
「は、はぁぁ!?
あいつが十九!?」
そしてイリアスが語る内容にリトは驚愕した。
イリアスが二十一と結構若かった事も驚きだが、何よりアイリスの年齢に驚きを隠せなかったのだ。
「いやいや! あいつ俺より背も低いし、あんな見た目で俺より歳上とかあり得ないって!
それこそ嘘吐いてるとしか思えねー!」
「ですが、彼女はきちんと身分証と高校の卒業証書なども持ってたんですよ。
彼女の国では飛び級制度などもないので、どんなにサバを読んでも十八以上なのは確かです」
「ま、マジかよ……」
今までてっきひ歳下だと思い込んでいたアイリスが、まさか歳上だったとは思いもよらなかったリトはその事実に顔を歪める。
「あ、それと私が密かにアイリスさんを想っている事はご内密にお願いしますね」
そんなリトにイリアスは人差し指を口にあて「しー」と言うかの様にニコリと微笑む。
「まあ、それは別にいいすけど……
でも、あいつは色々とやばいですよ?
やめておいた方が……」
「おや? もしかして、君もアイリスさんの事を狙っていますか?」「断じてそれはないですっ!!」
リトのまたしても全力の否定に、イリアスはまた笑いながら応じた。
「ははっ、そんなに必死に否定しなくてもいいですよ。分かりましたから。
……では、残りの空欄も埋めていくので、いくつか質問させて頂きますね?」
「え? あ、はい」
それからイリアスにいくつか質問され、リトはそれに話せる限りで答えて何とか同居人の空欄部分が一通り埋まった。
「もう大丈夫ですよ。
ご協力ありがとうございました」
「あ、いえ、こちらこそ全然自力で埋めれなくてすんません」
「いえ、いいですよ。
君の様な人が初めてではないですから」
「ふーん、そうなんすか」
それを聞いてリトはそうだろうなと内心呟く。
この辺りは一見表通りだけなら観光が賑わい活気ある街に見えなくもないが、かと言ってそこまで治安がいい部類ではない。
(このアパートにも、俺の様に素性不明、もしくは素性を明かしたくない人もいるのだろう。
それもそれで問題だろうけど、しかし大家がいいと言うならそれでいいのだろう)
「ではもう戻っていいですよ。
今後ともお隣さん同士、よろしくお願いします」
「え? ああ、はい。よろしく……お願いします」
その後イリアスに握手を求められたリトはぎこちない挨拶とともに握手を交わし、リトはアイリスの居る一○二号室へと戻るのだった。
あいつはやめといた方が良いと思うが、いや、それ以前に凄い歳離れてないか?)
そう頭をぐるぐるとフル回転させているリトに、イリアスは困った様に頭を掻きながら答えた。
「あ、いえいえすみません。
私情を仕事に挟むのはよくない事なんですけどね」
「いや、そもそもあんたとあいつじゃ一回り近く離れてるだろ?
下手したら犯罪……」
リトは目の前に居るイリアスとアイリスの事を思い浮かべながら思った感情を口に出す。
(……アイリスはどう見ても俺より歳下、よくて十四、五くらいだろうし、逆にこの大家は二十代後半といった感じだ。
未成年相手に恋愛は普通に犯罪だと思うのだが)
しかし、そんなリトの考えは次のイリアスの言葉で完全に否定された。
「いえ、こう見えても彼女との歳の差は2つだけなんですけどね」
「……は?」
イリアスの言葉にリトは一瞬時が止まったかの様に反応が遅れる。
「アイリスさんはああ見えても十九歳ですよ。
アジア人はやはり若く見えますよね。
それと私も、老け顔に見える様でよく年齢を間違えられるのですが、一応今二十一です」
「は、はぁぁ!?
あいつが十九!?」
そしてイリアスが語る内容にリトは驚愕した。
イリアスが二十一と結構若かった事も驚きだが、何よりアイリスの年齢に驚きを隠せなかったのだ。
「いやいや! あいつ俺より背も低いし、あんな見た目で俺より歳上とかあり得ないって!
それこそ嘘吐いてるとしか思えねー!」
「ですが、彼女はきちんと身分証と高校の卒業証書なども持ってたんですよ。
彼女の国では飛び級制度などもないので、どんなにサバを読んでも十八以上なのは確かです」
「ま、マジかよ……」
今までてっきひ歳下だと思い込んでいたアイリスが、まさか歳上だったとは思いもよらなかったリトはその事実に顔を歪める。
「あ、それと私が密かにアイリスさんを想っている事はご内密にお願いしますね」
そんなリトにイリアスは人差し指を口にあて「しー」と言うかの様にニコリと微笑む。
「まあ、それは別にいいすけど……
でも、あいつは色々とやばいですよ?
やめておいた方が……」
「おや? もしかして、君もアイリスさんの事を狙っていますか?」「断じてそれはないですっ!!」
リトのまたしても全力の否定に、イリアスはまた笑いながら応じた。
「ははっ、そんなに必死に否定しなくてもいいですよ。分かりましたから。
……では、残りの空欄も埋めていくので、いくつか質問させて頂きますね?」
「え? あ、はい」
それからイリアスにいくつか質問され、リトはそれに話せる限りで答えて何とか同居人の空欄部分が一通り埋まった。
「もう大丈夫ですよ。
ご協力ありがとうございました」
「あ、いえ、こちらこそ全然自力で埋めれなくてすんません」
「いえ、いいですよ。
君の様な人が初めてではないですから」
「ふーん、そうなんすか」
それを聞いてリトはそうだろうなと内心呟く。
この辺りは一見表通りだけなら観光が賑わい活気ある街に見えなくもないが、かと言ってそこまで治安がいい部類ではない。
(このアパートにも、俺の様に素性不明、もしくは素性を明かしたくない人もいるのだろう。
それもそれで問題だろうけど、しかし大家がいいと言うならそれでいいのだろう)
「ではもう戻っていいですよ。
今後ともお隣さん同士、よろしくお願いします」
「え? ああ、はい。よろしく……お願いします」
その後イリアスに握手を求められたリトはぎこちない挨拶とともに握手を交わし、リトはアイリスの居る一○二号室へと戻るのだった。
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